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2010年1月23日 (土)

日本経団連『経労委報告2010』その1 三者構成原則の堅持

毎年春闘に向けて恒例の日本経団連の『経営労働政策委員会報告』が出ております。以前はHPに概要が載っていたのですが、最近は目次しか載らなくなってしまい、連合の批判だけが全文で読めるという皮肉な状態です。

いや、たった600円なんだから横着せずにちゃんと買って読んでくれということですね。

さて、今年の経労委報告で、私が一番注目したいのは「労働政策の決定プロセス」という項目です。

>労働政策は、企業経営に多大な影響を及ぼすほか、労働者の生活と密接に関わってくることから、その決定に、職場実態を熟知している労使が関与することは、現場での大きな混乱を減らし、法令遵守の徹底を図りやすくするという利点が認められる。

そのため、公労使三者構成で構成される審議会の結論を最大限尊重していく従来の決定プロセスを今後とも堅持することが重要である。

今の時点で日本経団連が三者構成原則を強調するのは、もちろん連合が支持し、日本経団連は支持してこなかった民主党政権になってしまい、政治主導でやられると、自分たちに不利な政策が、自分たちが関与することが出来ないままで実行されてしまうかも知れないという危機感によるものであることは明らかですが、この問題をそういう表層的な政局レベルでだけ捉えるべきではないということは、本ブログや累次の論文などで述べてきたところです。

ある意味では、90年代末以来、規制改革会議が主導する形で労働政策の枠組みが決定され、三者構成審議会はそれを実行するだけという事態も部分的に出現したわけですが、そういうあり方はよろしくないものであるということを、日本経団連としてきちんと確認したという意味で、なかなか意義深い文章であると思います。

実際、政権交代で何でもかんでも政治主導で進めるという雰囲気が強まるなかで、連合が政労会見の場で、明確に三者構成原則の堅持を求めたことは、下手をすれば政策決定過程から疎外されかねない状態にあった経営側にとって、実にフェアな態度であったと評価すべきでしょう。

いろいろ議論はあるものの、派遣法改正の審議がすでにマニフェストで大枠が決められている中で、常用型の製造業派遣は禁止しないという若干の修正が可能であったのは、これが三者構成であったことが大きいと思われます。

ちなみに、参考までに、かつて内閣府の規制改革会議の労働タスクフォースが三者構成原則を徹底的に批判したときに、わたくしが本ブログで述べたことをリンクしておきます。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_a044.html(三者構成原則について)

>意見書の記述のうち、「労働政策の立案について」のところは政策の中味ではなく、政策決定過程のあり方に関わる問題なので、エントリーを別に起こして論じておきたいと思います。

また、この問題に関わるわたくしの論文や鼎談をリンクしておきます。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/jilzoukan.html(『日本労働研究雑誌』2008年特別号「労働立法プロセスと三者構成原則」 )

http://homepage3.nifty.com/hamachan/teidan.html(『季刊労働法』座談会「労働政策決定過程の変容と労働法の未来」)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/juristtripartism.html(ジュリスト立法学特集号原稿 「労働立法と三者構成原則」)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/minshu.htm(『現代の理論』21号「労働政策:民主党政権の課題」)(最後の一節)

(追記というか言い訳)

労務屋さんから早速痛烈な皮肉が・・・

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20100125三者構成の堅持

>はあそうですか、「自分たちに不利な政策が、自分たちが関与することが出来ないままで実行されてしまうかも知れないという危機感によるものであることは明らか」で、「表層的な政局レベルでだけ捉え」たものなんですかそうですか。でも、経団連は昨年の「2009年版経営労働政策委員会報告」でもすでに三者構成の重要性に言及しているんですが何か。

すみません、日本経団連全体というか主流派(旧日経連じゃない方)のセンスを皮肉ったつもりではあったんですが。その方々にとっては、政権交代で「自分たちに不利な政策が、自分たちが関与することが出来ないままで実行されてしまうかも知れないという危機感」は初めて味わうものだったのではないかと思います。

それに対して、旧日経連の方々(まさに日本の「労務屋」さんたち)が三者構成原則の重要性を説き続けてきたことは重々承知の上です。ただ、それこそミクロレベルでの労務部門の地盤沈下と相伴って、マクロレベルでも労働行政や旧日経連の影響力が落ちてきたことが、全体的な政治状況の中で三者構成原則の地位を低めてきたことは確かだと思います。お互いあんまり愉快な歴史認識ではないですけど。

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