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2010年1月18日 (月)

「労務屋」は「ジョブ」か?

連合の機関誌『連合』の1月号に、連合総研前副所長(現同志社大学教授)の鈴木不二一さんが、「気になる言葉「○○屋」-企業を超えた職業的連帯の可能性」というエッセイを書いています。

>日本人は職業意識が弱く、職業生活に入るのは「就職」ではなく「就社」だとよくいわれる。けれども、、「そもそも日本人は・・・」という訳知り顔の言い方は、だいたい眉唾で聞いておいた方がいい。この場合も然り。確かに、我々の職業生活が企業の軛にきつく縛られていることは否定できない。とはいえ、企業社会とは次元を異にする職業意識が全然ないかといえば、そんなことはないのだ。

>かくいう筆者も、かつては労働組合の世界の中の、いわゆる「賃金屋」をなりわいとしていた。「労働組合の書記です」というよりは、何となくこの言い方の方が気に入っていて、対外的にはもっぱら「賃金屋」で通していた。自立した職業人としてのプロ意識と、その背後にある同業の仲間との連帯感が感じられたからだ。当然ながら、所属組織よりは、「賃金屋」の仲間への帰属意識の方がはるかに強かった。

>・・・だから、「○○屋」という表現には、ある世界を共有し合う仲間同士の連帯感が言外に込められているともいいうるのである。また、その道のプロにしか見えない世界を共有しているという感情は、職業的誇りにも通じていく。

>つまり、これは職業的アイデンティティの自己表明にほかならないともいえる。われわれの職業意識は、必ずしも企業社会に埋没しきっているばかりではないのだ。この「○○屋」という職種・職能のくくり方は、企業を超えた連帯の新しい形につながるのかもしれない。ともあれ、洋行帰りのお説教にではなく、足もとの職業生活の日常の中にこそ変革の芽を探るべきだ。

日本の労働社会にも、メンバーシップばかりじゃなくジョブ型の確固たる意識基盤があるのだ、という主張です。

その当否はとりあえずおいといて、ここまで「○○屋」の職業意識といわれると、当然思い出されるブログがありますね。実は、このエッセイの真ん中の図は、「ネットの中に棲む「○○屋」さんたち」と題して、いくつかのHPやブログの表紙が重ねてありまして、その中にひときわ大きな字で「労務屋」の文字が・・・。

鈴木さん曰く、

>企業内の職能を「労務屋」、「人事屋」とくくることもある。こうしてくくられたときに、それらは企業内の部署を指すのではなく、企業を超えた職能集団の呼称となる。

http://www.roumuya.net/

そう、そこには、

http://www.roumuya.net/introduction.html

>世間向けには労働ロビイストといううさんくさい言い方をしていますが、自分自身としては「労務屋」という呼び名の方にはるかにアイデンティティを感じます。必ずしもいいニュアンスの言葉ではありませんが、それを仕事にして生活している人、という感じが好きです。

と書かれています。なんとジョブ意識に満ち溢れた言葉。そうだったのか!「企業を超えた職業的連帯の可能性」は、企業の人事労務管理の現場にこそあったのですね。

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コメント

ご紹介ありがとうございました。なにせ、ブログ名称を「労務屋ブログ」に変えたばかりでして。月刊「連合」1月号は職場回覧中で未読なのですが、hamachan先生にも時折お出ましいただいている経団連の会合などはまさに労務屋の集合なわけですね。で、彼らの中に大学で人事管理論を専攻していた人や専門職大学院で人的資源論を研究していた人がどれほどいるかというとそれほど多くはないのではないかと。大半は、小池和男先生が明らかにされた「ある分野内でのはば広いOJT」を通じて労務のプロになった人ではなかろうかと思います。もちろん、企業を超えた仲間意識は当然持っているでしょうが、職業的連帯とまでの意識はあるかどうか…。そして、当然ながら企業によって賃金水準の差はあるわけではありますが、それに疑問を感じている人はほとんどいないでしょう。

『連合』誌をご覧いただいてのコメントを是非「労務屋ブログ」の方でお願いします。

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