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« 攝津正さんの拙著書評 | トップページ | 人材立国をめざした成長戦略 by 生産性本部 »

2009年12月30日 (水)

新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~

本日、「新成長戦略~輝きのある日本へ~」が臨時閣議で決定されました。

http://www.dpj.or.jp/news/files/1230sinseichousenryaku.pdf

・ 強みを活かす成長分野(環境・エネルギー、健康)、
・ フロンティアの開拓による成長分野(アジア、観光・地域活性化)、
・ 成長を支えるプラットフォーム(科学・技術、雇用・人材)

という6つの戦略分野のうち、

(6)雇用・人材戦略
~「出番」と「居場所」のある国・日本~

を見ていきます。

(雇用が内需拡大と成長力を支える)

内需を中心とする「需要創造型経済」は、雇用によって支えられる。国民は、安心して働き、能力を発揮する「雇用」の場が与えられることによって、所得を得て消費を拡大することが可能となる。雇用の確保なくして、冷え切った個人消費が拡大し、需要不足が解消することはあり得ない。

また、「雇用・人材戦略」は、少子高齢化という制約要因を跳ね返し、「成長力」を支える役割を果たす。少子高齢化による「労働力人口の減少」は、我が国の潜在的な成長エンジンの出力を弱めるおそれがある。そのため、出生率回復を目指す「少子化対策」の推進が不可欠であるが、それが労働力人口増加に結びつくまでには20 年以上かかる。したがって、今すぐ我が国が注力しなければならないのは、若者・女性・高齢者など潜在的な能力を有する人々の労働市場への参加を促進し、しかも社会全体で職業能力開発等の人材育成を行う「雇用・人材戦略」の推進である。

雇用がマクロ経済を支えるという当たり前の認識がようやく政府の戦略に明記されました。

(国民参加と「新しい公共」の支援)

国民すべてが意欲と能力に応じ労働市場やさまざまな社会活動に参加できる社会(「出番」と「居場所」)を実現し、成長力を高めていくことに基本を置く。

このため、国民各層の就業率向上のために政策を総動員し、労働力人口の減少を跳ね返す。すなわち、若者・女性・高齢者・障がい者の就業率向上のための政策目標を設定し、そのために、就労阻害要因となっている制度・慣行の是正、保育サービスなど就労環境の整備等に2年間で集中的に取り組む。

また、官だけでなく、市民、NPO、企業などが積極的に公共的な財・サービスの提供主体となり、教育や子育て、まちづくり、介護や福祉などの身近な分野で活躍できる「新しい公共」の実現に向けて、円卓会議を設けて、民間(市民、NPO、企業等)の声を聞きつつ、本格的に取り組む。

「出番」と「居場所」という言葉が的確です。仕事を通じた社会参加という哲学が明確に示されています。

(成長力を支える「トランポリン型社会」の構築)

北欧の「積極的労働市場政策」の視点を踏まえ、生活保障とともに、失業をリスクに終わらせることなく、新たな職業能力や技術を身につけるチャンスに変える社会を構築することが、成長力を支えることとなる。このため、「第二セーフティネット」の整備(求職者支援制度の創設等)や雇用保険制度の機能強化に取り組む。また、非正規労働者を含めた、社会全体に通ずる職業能力開発・評価制度を構築するため、現在の「ジョブ・カード制度」を「日本版NVQ(National Vocational Qualification)」へと発展させていく。

※NVQ は、英国で20 年以上前から導入されている国民共通の職業能力評価制度。訓練や仕事の実績を客観的に評価し、再就職やキャリアアップにつなげる役割を果たしている。

第一次職業訓練法で技能検定制度が導入されてから半世紀、その後スキルは企業内で身につけ、企業内で認定されるものという認識が一般化してからも長い時間が流れ、もはや誰もかつての理想を忘れた頃になって、ようやく日本版NVQが政府の戦略に打ち出されるに至りました。

(地域雇用創造と「ディーセント・ワーク」の実現)

国民の新たな参加と活躍が期待される雇用の場の確保のために、雇用の「量的拡大」を図る。このため、成長分野を中心に、地域に根ざした雇用創造を推進する。また、「新しい公共」の担い手育成の観点から、NPO や社会起業家など「社会的企業」が主導する「地域社会雇用創造」を推進する。

また、雇用の安定・質の向上と生活不安の払拭が、内需主導型経済成長の基盤であり、雇用の質の向上が、企業の競争力強化・成長へとつながり、その果実の適正な分配が国内消費の拡大、次の経済成長へとつながる。そこで、「ディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)」の実現に向けて、「同一価値労働同一賃金」に向けた均等・均衡待遇の推進、給付付き税額控除の検討、最低賃金の引上げ、ワーク・ライフ・バランスの実現(年次有給休暇の取得促進、労働時間短縮、育児休業等の取得促進)に取り組む

雇用の質が大事です。

これら4つの項目のすべてに、1990年代以来のEU雇用戦略やその影響を受けたOECD雇用戦略の知的影響が明確に見て取れます。

これこそが今日の先進社会の知識層(政策担当者や研究者)が共有している政策思想なのであって、これを成長戦略がないなどと小馬鹿にしてみせるのが自分の頭のよい証拠だと思いこんでいるような井の中の蛙は笑いものにされます。

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コメント

基本的な戦略が正しいものでなければならないというのはもちろんですし、正しい戦略を立てたら評価しなければならないとは思うのですが、その戦略の実施はどこが担うのでしょうか?
雇用能開機構も中央能開協会も叩き潰して、一体どこにやらせるつもりなのかな?
「コンクリートから人へ」というスローガンは正しい方向だと思いますが、「人」を扱うのはものすごく手間(人手と時間)がかかるという認識が欠けていると思うのですよね。
天下り法人はすべて叩き潰して、現金給付と市場メカニズムの組合せでうまくいくと考えているのでしょう、きっと。

まあ、池田氏とあなたのどちらが正しいか、数年後にはすべて結果として明らかになってしまいます。私は池田氏のほうが正しいと思いますけどね。

http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010010401000720.html">http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010010401000720.html

こちらの話題とは直接リンクしている訳ではないのですが、ようやく雇用における住宅問題の提起が起りつつ事を素直に喜んでいます。
ようやく世間的な認識に行政が追いついた今更感があるのは事実なのですが、住宅問題は経済活動という今までの状況に比べればはるかに進歩したように思います。
もちろん問題を認識しての諸政策はこれからですので、過度な期待は禁物かもしれませんが、私としては思いつきと軽慮な発想でしかない「ウルトラC」よりも、残酷かつ凄惨な現実を直視し、それを踏まえ一つ一つ問題を取り組む「地道かつ堅実な一歩」を政府・行政には望むところです。
今日の事態は一つ一つの問題の見落しといった問題の積み重ねが招いた「大惨事」である以上、諸問題への丁寧な取り組みと対策をしなければ、本当の解決はありえないと痛感します。漠然と結果ばかりを求める風潮もあるようですが、それは真の解決はおろか新たな問題を引き起こす事態しか招かないと強く危惧します。

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