フォト
2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 『プラクティス労働法』(信山社) | トップページ | 拙著短評 »

2009年12月15日 (火)

『季刊労働法』2009年冬号(227号)

Tm_i0eysjiyn42g 『季刊労働法』の最新号が刊行されました。

http://www.roudou-kk.co.jp/quarterly/archives/004343.html

>特集では、近時改正法令のポイントと課題を点検します。改正労働基準法は長時間労働を解消するのか、改正育児介護休業法は男性の育児休業取得をどこまで推し進められるのかなどといった焦点について検討します。
その他、改正雇用保険法、「職場における心理的負荷評価表」の改正についても言及します。

ということですが、内容はそれぞれに興味深いものですが、特集としてはいささか散漫な感じがします。もう少し焦点を絞るというやり方はなかったのかな?という印象です。

特集
近時改正法令の意義と課題

労基法改正と企業実務への影響
 専修大学教授 廣石忠司

育児・介護休業法改正の意義と立法的課題
 ―2009年法改正が残したもの―
 日本大学教授 神尾真知子

2009年雇用保険法改正によるセーフティネットの再構築
 佐賀大学准教授 丸谷浩介

職場における心理的負荷評価表の改正とその影響
 大阪大学准教授 水島郁子

企業年金連合会「DCあり方検討会」の最終報告書(ハンドブック)と実務的ポイント
 企業型確定拠出年金の今後のあり方に関する検討会 上田憲一郎

廣石さんの最後の言葉はなかなか辛辣です。

>以上のように考察すると、今回の法改正は極端に言えば企業実務にとって(労組・労働者にとっても)面倒なことばかりで、労働者の時間外労働の削減、年休消化率の促進には必ずしもつながらないように思われる。

>・・・使い勝手の悪い制度は結局使われないで終わってしまう。本稿で述べた私見が杞憂に終われば幸いである。

この「杞憂」が全面的に展開されているのが、今号のおそらく最大の目玉商品であろうと思われる豪華座談会です。

■座談会■
労働時間規制の現状と課題
 早稲田大学教授 島田陽一
 名古屋大学教授 和田 肇
 労働政策研究・研修機構主任研究員 小倉一哉
 経済産業研究所上席研究員 鶴 光太郎
 連合・参与(前総合労働局長) 長谷川裕子
 トヨタ自動車人事担当部長 荻野勝彦

>今回の改正労基法では、長時間労働対策として、割増率の引き上げ等が盛り込まれましたが、これでは不十分という声もあります。
今回の労基法改正は「法と実態が乖離する」裁量労働制、管理監督者に触れていませんし、ホワイトカラーにおける労働時間制度の未来像に関する議論は小康状態にあります。「長時間労働対策」と「法と実態の乖離」については、近い将来、なんらかの立法的解決が望ましいのではないでしょうか。
この2つの問題点を中心に、労働時間規制の今後の在り方を討論します

これはもう、読んでください、ですね。労働時間問題について、徹底して本当に議論すべきことを議論しています。

ちなみに、労務屋さんこと荻野さんが、最後の一言で「ヒラの人たち」が真面目に働く社会のあり方を擁護しつつ、

>確かに長時間労働は問題だと思います。弊害もあります。でも、あまり働くな、働くな、働かないことがいいことだというようなことになるのはまた怖いなと思います。そこのところがともするとないがしろになっていると思いますので、改めて申し上げたかったということです。

と述べておられるのは、最近「吐息の日々」で宮本・勝間対談に対して漏らされた「階級社会にしたいの?」という皮肉混じりの「吐息」とも通じるものがあり、突っ込むといろいろと議論のネタが出てきそうです。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20091211宮本・勝間対談

>いや失礼かつ下品なあてこすりでさすがの私もかなり気がさすのではありますが、しかしこのエースストライカー・ディフェンダー論というのは、一歩間違うとこういう階級社会になってしまいかねませんよというのは真剣に心配したほうがいいと思うのですが。宮本先生はもちろんそんなことはないと思うのですが、勝間さんは案外階級社会でいいじゃないのと思っておられるかもしれませんが…そんなことはありませんかね。

さて、それ以外の論文は次の通りですが、

■集中連載■比較法研究・中小企業に対する労働法規制の適用除外
中小企業に対する労働法規制の適用除外に関する共同比較法研究
 ―連載を終えるにあたって―
 神戸大学大学院法学研究科教授 大内伸哉

■労使が読み解く労働判例■
松下プラズマディスプレイ(パスコ)事件
 (大阪高判平成20・4・25労判960号5頁)
 成蹊大学准教授 原 昌登

■研究論文■
団結権侵害を理由とする損害賠償法理(2)
 北海道大学教授 道幸哲也

雇用改革の失敗と労働法(1)
 ―さらなる立法を考える
 青山学院大学教授 手塚和彰

フランスにおけるテレワーク
 ─全国職際協約による法的枠組みの考察を中心に
 中京大学准教授 柴田洋二郎

■書評論文■
日本の労使関係の法化をめぐる理論動向
 ─2008年8月?2009年7月の著書から
 琉球大学教授 矢野昌浩

■神戸労働法研究会■
子会社解散・解雇と親会社の法的責任
 第一交通産業ほか(佐野第一交通)事件を素材として
 三重短期大学准教授 山川和義

■北海道大学労働判例研究会■
津守自動車教習所ほか事件
 大阪地判平成20.11.26労判981?107
 弁護士 開本英幸

■筑波大学労働判例研究会■
労働保険料認定決定処分が取り消された事例
 東京労働局長ほか事件 東京地判平成20年2月15日判タ1277?60
 社会保険労務士 北岡大介
 

■連載■
個別労働関係紛争「あっせんファイル」(連載第9回)
台湾における労使紛争解決制度と民間委託あっせん
 九州大学教授 野田 進

労働法の立法学(連載第21回)――在宅労働の法政策
 労働政策研究・研修機構統括研究員 濱口桂一郎
 

アジアの労働法と労働問題?
シンガポールにおける単純外国人労働力受け入れ法制の紹介
 青山学院大学教授 藤川久昭

わたくしの連載は今回は「在宅労働」です。「家内労働」と「在宅ワーク」という非雇用型ホームワークに関する法政策の歴史をたどっています。

そして、あんまり目立たないかも知れませんが、大変興味深い論点を扱っているのが北岡大介さんの判例評釈です。この判決、実はかつて本ブログで取り上げたことがあります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-e822.html(建売住宅の労働保険料は誰が払うべきか?)

そこでも「さて、いささかマニアックな労働法の話です」といったくらい、ある意味でマニアックな話ですが、労働行政からするとなかなか深刻な問題でもあるんですね。

« 『プラクティス労働法』(信山社) | トップページ | 拙著短評 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『季刊労働法』2009年冬号(227号):

« 『プラクティス労働法』(信山社) | トップページ | 拙著短評 »