フォト
2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ

« 一知半解でも判ること | トップページ | 『労働情報』誌における拙著書評 »

2009年11月 2日 (月)

こういう「官僚主導」はなくなるんでしょうね

労務屋さんのところで、雇用保険料率の引き上げに労使が合意したという日経の記事について論評されています。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20091030

その中で、

>さて、今回の引き上げに関しては、そもそも前政権が現行の0.8%に引き下げた際に公労使三者が三者とも「雇用失業情勢が悪化しているときに、妙なことをするものだ」と思っていたわけで、まあ予想通りの展開といえましょうか。

と、生ぬるい書き方をしているところは、実際の政治過程はまことに奇怪千万であったわけで、そのいきさつについては、産経の記事を引いて本ブログで詳しく取り上げたことがありますので、復習しておきましょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-fe7d.html(経済同友会代表幹事の正論と財務省の陰謀)

>>産経新聞 【経済深層】大失業時代 雇用保険料引き下げの“陰謀”

http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/081227/wlf0812272101000-n2.htm

> 失業者の増大に加え、非正規社員への適用拡大で保険金の支給が急増するのは確実なのにもかかわらず、保険料を引き下げた背景には、巨額の積立金の存在がある。

 「貯金があるので、企業や雇用者に還元する」というわけだが、そんな単純な話ではない。

 「保険料引き下げの裏には、国庫負担をやめたい財務省の陰謀がある」

 雇用保険部会の多くの委員と厚労省が引き下げに猛反発した理由がこれだ。

 国は毎年度1600億円のお金を拠出しており、財政事情が悪化の一途をたどり続ける中、財務省としては少しでも支出を減らしたい。ただ、積立金が余っているなら、まず保険料引き下げるのが筋で、国庫負担だけをやめるわけにはいかない。

そこで財務省は「景気対策の目玉の一つとして、麻生首相に引き下げを進言した」(政府関係者)。引き下げに乗じて国庫負担もやめようという戦略だ。

 さらに平成21年度予算編成の過程で、シーリング(概算要求基準)で定められた社会保障費の自然増を2200億円抑制するという取り決めをほごにする議論が浮上。財務省は「雇用保険の国庫負担廃止とたばこ1本当たり3円の増税で、2200億円の財源を捻出(ねんしゆつ)するシナリオを描いた」(同)。

 結局、たばこ増税は与党税制調査会の反対で、国庫負担廃止も「雇用情勢の悪化」を理由に、実現しなかった。

そして、この財務省によるぺんぺん草の跡地に、雇用保険料率の引き下げという奇怪なお荷物だけが残されたわけであります。

これと、経産省が旗を振る賃上げによる内需拡大論とが不気味な融合を遂げたのが、雇用保険料率引き下げ分による賃上げ要請という世にも不思議な「政策」というわけで。

財務、経産という霞ヶ関の御優秀な官僚が、厚労省の三流役人を無視して制度をいじくり回すと、こういうスバラ式政策が産み出されるという標本のような事例でありました。

これからは、こういう「官僚主導」はなくなるんでしょうねえ。「埋蔵金」がどうとか譫言を垂れ流す脱藩官僚諸氏の主導とかも。

なくなってもらわないと困ります。

« 一知半解でも判ること | トップページ | 『労働情報』誌における拙著書評 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: こういう「官僚主導」はなくなるんでしょうね:

« 一知半解でも判ること | トップページ | 『労働情報』誌における拙著書評 »