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2009年11月15日 (日)

グローバル経済危機と労働法の役割

本日、早稲田大学小野講堂で開催された「グローバル経済危機と労働法の役割-国際比較を通じて」という国際シンポジウムを傍聴してきました。

http://www.globalcoe-waseda-law-commerce.org/symposium/index.html

正確には、早稲田大学比較法研究所&グローバルCOE共同主催「法創造の比較法学-新世紀における比較法研究の理論的・実践的課題」という2日間のシンポジウムの第2日目です。

>アメリカの金融危機に発したグローバルな経済危機は、世界各国における雇用危機を引き起こしている。ILOは、もっとも楽観的なシナリオによっても、2009年には、2007年末よりも1800万人も多い失業者と世界平均で6.1%の失業率を記録するであろうと予測している。日本においても、「派遣切り」の横行や「ホームレス」の増大の中で、<格差社会論>から<反貧困論>へと議論の基調が推移している。

本シンポジウムの目的は、以下の二つの問題について国際比較を通じて検討することである。一つは、アメリカの金融危機に発したグローバル経済危機が各国の雇用状況にどのような影響を与えているのかであり、もう一つは、そうした状況がそれぞれの国の労働法制や労働法理論にどのような問題を提起しているのかである。
この検討を通じて、21世紀における労働法の新たな課題を明らかにし、労働法の再構築の方向性について展望のある議論を行いたい。


本シンポジウムには、イギリス、アメリカ、イタリア、デンマーク、韓国、日本のそれぞれの国から労働法の専門家が参加する。

パネラーは以下の通りです。

司会:浅倉むつ子(早稲田大学)、清水敏(早稲田大学) 
09:30~09:45 挨拶 開会にあたって-G-COEからのメッセージ
    上村達男(G-COE拠点リーダー・法学学術院長)
09:45~10:00 シンポジウムの趣旨説明-日本からの問題提起(1)
問題提起(1):石田 眞(早稲田大学) 
10:00~10:50 イギリス:報告・コメント・質疑
報告:Hugh Collins(LSE) コメント:石橋 洋(熊本大学)
10:50~11:40 アメリカ:報告・コメント・質疑
報告:Karl Klare(Northeastern University) コメント:林弘子(福岡大学)
11:40~12:30 イタリア:報告・コメント・質疑
報告:Bruno Caruso(Catania University) コメント:大内伸哉(神戸大学)
12:30~14:00 昼食
14:00~14:50 デンマーク:報告・コメント・質疑
報告:Ole Hasselbalch(Aarhus University) コメント:和田肇(名古屋大学) 
14:50~15:40 韓国:報告・コメント・質疑
報告:盧尚憲(ソウル市立大学) コメント:根本到(大阪市立大学)
15:40~16:00 コーヒーブレイク
16:00~18:00
日本からの問題提起(2)と全体討論
問題提起(2):島田陽一(早稲田大学)
指定討論者:各国参加者 毛塚勝利(中央大学) 菊地馨実(早稲田大学)

長時間の中身の濃いシンポジウムで、1日聞いているだけで結構疲れました。

はじめのイギリスのヒュー・コリンズ先生は、第3の道の労働法で有名ですが、今日のお話は「労働法における第3の道を超えて:労働法の憲法化に向けて」というもので、実は、その肝心の「憲法化」の中身がよく理解できないままでした。でも、たぶん多くの聴衆がそうだったんではないかと思います。

次のアメリカのクレア先生のお話はわかりやすいというか、いかにアメリカがダメかというペシミズムに満ちたお話。アメリカの労働法は禄でもなくて、労働基準をきちんと守らせることもできないし、労働組合を作るのも難しいので、低賃金のやり放題。ウォールマートなんか、最賃違反でいっぱい訴えられて5億ドル払わされているけど、それでもお釣りがいっぱい来るほど低賃金で利益を得ている。低賃金を福祉給付で面倒みているので、これは国民の税金に寄生しているのと同じだ等々。その低賃金の連中に返せる当てもなく金を貸し込んだのがサブプライムローンなので、金融危機をもたらしたのは実はアメリカ労働法の弱さである云々。

イタリアのカルーゾ先生はイタリアのフレクシビリティを目指したビアジ改革と最近のEU流のフレクシキュリティの話。

フレクシキュリティといえば、デンマークというわけで、たぶん今日のシンポの目玉は、デンマークの労働法の先生であるハッセルバルク先生が、デンマーク流のフレクシキュリティを歴史をさかのぼりながら説明されたことでしょう。いい加減なセコハン情報ばかりが流通するフレクシキュリティだけに、こういう機会は大変貴重だと思います。

当然のことながら、先生が指摘されたのはデンマークの労使関係システムで、労働者の90%近くが労働組合員で、失業保険が組合経由で支給されるコーポラティズムを抜きにフレクシキュリティは語れないということなのですが、その労使関係システムがEUの圧力で危機に瀕しているというのが皮肉です。

韓国の廬先生のお話は、むしろ日本の現下の課題とよく似ていて、特に非正規職保護法の2年経過後のドタバタ劇の話は、日本の派遣法の2009年問題とよく似ています。

最後の島田陽一先生のお話は、わたくしの現在の問題意識に一番近いものだと感じました。

何にせよ、こういう中身の濃い話を1日聞いていると、「脳みそがお腹いっぱい」状態になります。もう入りません。

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