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2009年11月27日 (金)

ミスマッチ社員の対応

『経営法曹研究会報』62号をお送りいただきました。いつも有り難うございます。

今号の特集は、「ミスマッチ社員の対応」。ミスマッチ社員とは、能力・適性不足、協調性欠如の社員のことで、まずはミスマッチ社員の早期発見・早期対応のための採用・試用期間中の留意点(石井妙子)、次ぎにミスマッチ社員に対して注意・指導を尽くす際にパワハラといわれないための注意点(三上安雄)、そして降格・降級、配転の留意点(丸尾拓養)、退職勧奨の留意点(峰隆之)、最後に解雇の留意点(深野和男)と、まさに経営法曹のみなさんにとって最大の関心事項がぎっしり詰まった特集になっています。

実際、ミスマッチ社員というのは確かにいるもので、そういうのに限って下手に扱うととんでもない祟りをもたらしたりしますので(ほら、そこのあなた、今、うんうんとうなずきながら読んでたでしょう)、このあたりは労務管理の立場からすると大変重要なところでしょうね。

どれも面白いのですが、最初の石井妙子弁護士の「早期発見・早期対応」のところから、大変率直な一節を

>「いい人を採用して育てる」というノウハウは、弁護士としては、分野が違うところがありまして、本日は、「解雇対策」という観点からの報告です。

さて、「解雇」をしやすくするには、「採用時からポストや担当職務を限定して契約締結する」、「要求される能力水準、知識・技能の水準を明示して契約する」ということになると思います

そして、とりわけ最後の深野弁護士の解雇の留意点のこのあたりは、まことに味わい深いものがあります。

>「指導や教育」についても、従業員を再生させる意味で行うこともありますが、他方、従業員の解雇準備のために行うこともあるわけで、後者の場合には、いくらいっても聞かないという状況、向上の見込みがないということを、客観的に明らかにするために、指導・教育をするということもあるわけです。

>・・・この人をいくら活用しようとしても会社で活用しきれませんということを、裁判所にアピールするためにやっている。そうだとすれば、何をどのようにやるべきかということが、自ずと出てくるわけです。

>裁判所にアピールするためにやるのに、必要以上に叱り飛ばしたり、あるいは罵詈雑言を浴びせたり、そんなことをする必要は、全くないわけです。

>上司が部下に一生懸命に教育・指導、忠告と行っても、あまり効き目がないという場合に、管理職の方はカリカリしてしまうことも往々にしてあると思います。しかし、そうした指導等には、会社と部下との雇用契約関係を解消するための前段階としての意味もあるということになれば、効き目があろうとなかろうと、冷静にかつ周到に指導等を行うことができるのではないかと思います。

自覚症状のあるみなさん、やたらにうるさい上司が、最近妙に冷静に指導するようになったな・・・と思ったら、もしかしら『経営法曹研究会報』を読んだのじゃなかろうかと疑ってみてもいいかもしれませんよ。

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