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2009年11月 4日 (水)

松本孝行氏の拙著書評

「人材ビジネス総合商社と称し、人材に関するあらゆるサービスの窓口として研修や採用、コンサルティングなどを企業向けに企画」されておられる松本孝行氏が、その「労働問題中心、ブログ」において、拙著を書評されています。

http://matton.blog91.fc2.com/blog-entry-363.html(【書評】それでは時間がかかりすぎる…)

松本さんは、わたくしの説明には特に異議はないようですが、わたくしの結論にはきわめて否定的です。その理由は、

>ただ、最後の結論部分がいただけません。それでは遅すぎる、個人的にそう思います。

>赤木さんがなぜ希望は戦争と言ったのか、それは戦争によって立場がフラットになり、丸山真男のような地位にあった人であっても、中卒の上官から殴られるような逆転状況が直ちに起こるため、戦争という方法に活路を見出していたわけです。

>つまり最も重要なのは圧倒的パワーとスピードによって現在のワーキングプア問題や正社員・費正規社員の格差問題などが解決されることが望まれているわけです。もし著者の言うような方法で政労使の話し合いを進めていった場合を考えてください。時間がかなりかかることが予想されます。おそらく、10年以上の時間を要するでしょうことは想像できます。その時、赤木さんたち氷河期世代は40代後半へ突入していくわけです。

>このようなスピード感覚では今そこにある危機には対応できません。だからこそ城氏をはじめ、圧倒的パワーとスピード、すなわち小泉元首相のようななりふり構わない手腕を用いて一気に物事を進展させる必要があると考えているわけです。今、労働関連の苦境に立たされている人たちからすれば、ハードランディングが熱望されるのは当たり前のことです。

>著者の言うような方法は確かに民主的な手続きを経ており、制度としては非常にキレイです。ただ、民主的な手続きというのは時間がかかるものなのです。時間がかかる民主的な手続きをとることは、現在の労働諸問題においてはまったく非現実的なものであると言わざるを得ません。今必要なのはキレイな方法で労働問題を解決することではなく、なりふり構わず問題を解決する圧倒的パワーとスピードが必要なのです。

松本さんも「ウルトラC」を期待する陣営なのですね。

でも、人類史、とりわけ20世紀の現代史は、「圧倒的パワーとスピード」で「ハードランディング」させようとしたナチスやソ連の実験が結局大いなる失敗であったと物語っているように思います。

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コメント

しかしながら、やはり、もう時間が無いというのは事実ではないでしょうか。
ウルトラCに期待刷るべきではないがもう時間がないという場合は、仮に変革に10年必要ならば変えるまで10年掛かるということではなく必要な工程を3年でやり遂げるということ、許される猶予から逆算して工程を配置し、必要なリソースを投入するということです。
ウルトラCは一足飛びにやろうとするからウルトラCなので、この場合は一足飛びにはやらないがリソースを投入し工程を3倍に圧縮するということです。

従来の日本企業の採用方式は新卒一括採用で
これは「軍隊モデル、徴兵モデル」ですね。

丸山は終戦時の年齢は31歳です。
そして軍隊内での出世のスピードには
大卒と中卒では差があります。
大卒者は召集後でも幹部候補生に志願すれば
将校になる道があったにもかかわらず
二等兵のままでいることを選んだのは
丸山の意志です。

「丸山真男のような地位にあった人であっても、
中卒の上官から殴られるような逆転状況」は
「同世代内」でしか起こってませんし、
「帝国大学の助教授」が招集されるのは
当時でもレアケースです。
また、その「中卒の上官」がその後どうなったのかも
わかってはいません。戦後東大教授となった丸山よりも
彼が立身出世したという記録はどこにもない。
その後戦死した可能性もありますね。
そして、日本軍兵士の死因の第一は「餓死」です。
現在の若者と同様、招集された若者は
「餓死」のリスクにさらされていた。

「階層」は「世代」ではありませんし、もし丸山のエピソードを
適用するのであれば、「同世代内」で「資源分配の適正化」を
図ることになります。それでいいんでしょうか?
まあ、それなら「世代内合意」は取れているはずの
「ハードランディング」も可能かもしれませんね。
「丸山」を「中高年世代」と置き換えることができる
根拠は「自らよりも恵まれた人」と仮に「丸山」の
意味内容を定義したとしても、ないでしょう。

 なぜかブログのアクセスが増えたので原因を探ってみると、ご本人のブログからだったのですね。私のような弱小ブロガーを取り上げていただき、誠にありがとうございます。

 おっしゃるとおり、私はだいたい先生のおっしゃるような方法が最もキレイで最も民主的な方法だと思います。やはり何でも刷り合わせて合意することに越したことはありません。
 ただ、なぜ城氏のような性急な意見を支持しているかと言えば、それはただ一点、すぐに解決する必要があると考えているためです。それはロスジェネが老人になるまでにしなければなりませんし、今の子供たちが社会に出る前に出来るだけ早く解決すべき問題だと考えています。

 それが終わって、なんとか労働問題も落ち着いてきたな、という社会コンセンサスが出来てから、先生のおっしゃる方法論を取ることが一番と思っています。

 まぁ小物の意見ですし、あまり気にされずに活動がんばってください(笑)私のブログ読者にも先生のファンは多いですから。

私も、「目の前の困っている人」を救えないのよろしくないと思います。目の前の火事を消すのに必要なのは、翌日にならないと入手できないため池一杯の水ではなくて、すぐに入手できるポンプ車一台分の水ではないでしょうか。松本孝行さんのおっしゃるとおり、時間のかかる本質的な解決法と、即効性のある表層的な解決法を併用するのも有りだと思います。

それでは、本質的な解決法が本当に時間がかかるものなのかというと、それはやり方次第ではないでしょうか。例えば、小泉改革は日本の姿をあっという間に変えてしまいましたね。悪い例かもしれませんが。だから、本質的かつ即効性のあるというムシの良い解決法を追い求めて良いんじゃないかと思います。

それでは、城氏の提案は本当に即効性のある解決法たり得るかというとそうは思えません。なぜならば、今は仕事そのものが不足しているのですから、解雇規制を緩和すると、単純に失業者が増えるだけに終わるような気がするからです。つまり、高給な正社員を解雇するだけで、代わりの若者を雇用しないのでは無いかと思います。個人投資家が価値の下がった株を価値が回復するまで塩漬けにするのと同じように、企業は景気が本格的に回復するまで(=それは現時点では無いはずです)雇用を増やさないのではないかと。

単純な解雇規制緩和を行うだけでは、好況時は至る所で人手不足が発生し、不況時は至る所で失業者が溢れるという、ぶれ幅が極端化するだけではないかと思います。関係ないかもしれませんが、バブル崩壊前と崩壊後で、企業の学卒採用の姿勢ががらりと変わりましたよね。これを酷くしたようなものになりはしないかと思います。

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