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教育・訓練研究の視界

JILPTのコラム、今回は小杉礼子さんです。

http://www.jil.go.jp/column/bn/colum0132.htm(教育・訓練研究の視界)

>教育・訓練は、投資をすればすぐに成果が上がるものではない。少し考えただけでも、まず、実行してから成果が見える水準になるまでにタイムラグがある。第2に、教育・訓練を行う側が、教育プログラムを適切に設計していなければならないし、教育できるだけの力を持った人がいなければならないし、適切な設備・教材が必要である。第3に、教育を受ける側が適切に選ばれ、さまざまな面での学習する準備が整っていなければならない。第4に、学習成果が適切に測られフィードバックされなければならない。

>公共職業訓練で養成訓練(中学卒業者対象)の指導員をされていた方から話をうかがったことがある。中学校で授業にきちんと参加してこなかったような生徒が少なからずいたという。一人ずつと向き合い、できたことをほめ続けて、やっと口を開くようになってくれる。自信、自尊心を取り戻す過程を経て、技能訓練が身につくようになるという。・・・

>メアリー・C・ブリントン(2008)は日本の若者へのヒアリング調査をしているが、そこで、常軌を逸した労働条件で働かされていた若者が同僚の自殺をきっかけに会社を辞め、その際、離職を自分の失敗と考え、同僚の死がその人物の性格ゆえであると考えていたことに愕然としたという。アメリカ人の目から見れば、会社が責任を感じるべきなのに、辞めた若者が自己肯定観を失っている。

>次への一歩のために、整えなければならない課題は複雑である。教育・訓練の現場は、技能訓練と平行して、こうした意識にまで降りた相談や生活を支える手立てが必要だったりする。教育訓練を提供する側にもここまでの視野が必要だし、理論と経験を備えた指導担当者が要る。教育・訓練とはそうした蓄積の上に成り立つものだと思う。

特に解説は不要でしょう。あえていえば、教育訓練を論じるには、こういう目線の低さが不可欠であって、挫折したエリート意識からくるねじけた高慢さでものを語るとろくなことにはなりません。

なお、その小杉さんのまとめた資料シリーズとして、「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」がアップされています。

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2009/09-061.htm

このうち、興味深いのは

>(3)平成19年調査で新たに加わった「初職」に関する項目を利用して、<初職+前職+現職>からなる職業キャリア類型を作成し、キャリアの視点から若者就業の現状を明らかにする。とりわけ、非典型雇用から正社員への移行の実態を明らかにする。

というところで、PDFファイルでは65ページあたりから職業キャリアの類型のパノラマが展開します。資料シリーズなので、データが並ぶだけで解釈はおあずけですが、どういう風に料理されていかれるのか楽しみです。

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