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2009年10月14日 (水)

eurociettの『より多くの人々に雇用機会を』邦訳

フジスタッフホールディングスが設立したグローバルスタッフィングリサーチセンターから、『より多くの人々に雇用機会を-人材派遣業界が労働市場の機能改善に貢献するために』という冊子が送られてきました。

これはネット上でも公開されていますので、ダウンロードして読めます。

http://www.fujistaff-holdings.jp/gsrc/index.html

>これは、国際人材派遣事業団体連合(Ciett)で欧州地域を統括するEurociettが、2007年に発行した調査レポートを日本語に翻訳したもので、EUにおいて人材派遣業界が果たしてきた経済成長や雇用創出への貢献などを客観的な視点から報告しています。また、業界が成せる一層の貢献を妨げる規制や根強い誤解を明確にし、それらの撤廃に向けた取り組みと規制当局への要請事項についてまとめています。今後、わが国における派遣制度や労働市場そのもののあり方について再考する際、参考資料としてご活用いただきたい冊子です。

もとの英文の冊子はeurociettのサイトで入手できます。

http://www.euro-ciett.org/index.php?id=155&MP=155-170

http://www.euro-ciett.org/fileadmin/templates/ciett/docs/20071126_strategic_report.pdf

この冊子を熟読玩味すべきは、まず第一には派遣という働き方自体を極悪非道と思いこみ、製造業派遣を禁止することが労働者のためになると信じ込んでいる人々であることはいうまでもありませんが、実は本当にこの冊子のメッセージをきちんと読まなければいけない人々は、「派遣を禁止したら労働コストが跳ね上がって産業が空洞化するぞ!」などと脅迫めいたものの言い方を平然として恥じない人々ではないかと思います。

派遣業界も、そういう安易なチープレーバー論者を味方だと思って使っていると、「なるほど、派遣業界も派遣労働者は安く使えるからと売り込んでいるのか」と思われて、却って逆効果になりますよ。正直言って、人件費が安いだけが取り柄の派遣事業をわざわざマニフェストに逆らってまで擁護しなければならない義理はないわけで、いい加減にした方がいいと思います。

今の日本の派遣論議は派遣というフレクシブルな働き方をいかにしてセキュリティと結びつけていくかという発想はなく、一所懸命でない働き方はひたすら悪だとして禁止を叫ぶか、労働者保護はことごとく悪であるという信仰告白の道具にされるかなので、均等待遇原則の確立したヨーロッパからのメッセージはきちんと読まれる意味は大きいと思います。

(ついでに)

先日某誌から新政権の派遣禁止に異論を書けという依頼が来たのですが、私の考えを説明し、「製造業派遣禁止なら海外移転で日本から雇用は消える」という所与のテーマ設定での書き方はできないということでお断りしました。派遣禁止批判といえばそういう枠組みの安易なチープレーバー礼賛論しか思い浮かばないというのが最大の問題だと私は思うのですが、なかなか通じないのですね。

まあ、そういうチープレーバー礼賛論はいくらでもほいほいと書く人がいるので、別に困らないのでしょう。

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コメント

問題は、この日本ではその「自由な働き方」を選ぶと安く買いたたかれてしまうという労働市場の相場(or システム)が問題ですよね。まじめに働いた人がホームレスになってしまう程度に。

つまり、そういった(日雇いなどの)非正規労働者の賃金を上げる(or 生活を保障する)必要があると思いますが、それは出来ないだろうから、いっそのこと、そういった働き方そのものを禁止してしまえば、少なくとも、その分は買いたたきが無くなる(悲惨な境遇の人が減る)だろうという考え方だと思います。

(そんなことをしても、使用者は他の抜け道を探して、ユニオンはその抜け道を糾弾して、いたちごっこになるでしょうけど。)

結局、買いたたきを防げないことには、「自由な働き方」を持ち上げたところで、絵に描いた餅になってしまいます。生活さえ保障されていれば、誰も日雇い派遣などの非正規労働を問題視することは無いはずですよね。

したがって、「どうすれば、買いたたきのシステムを修正できるのか?」が、本当の課題ではないかと思いますが、やはり、「労使の話し合い」ということに尽きるのでしょうか?

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