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規制改革の取組と成果-私たちの暮らしをもっと豊かに

同じ内閣府の規制改革会議の方は、「規制改革の取組と成果-私たちの暮らしをもっと豊かに」というパンフレットを作成して、規制緩和がいかに役に立っているかを宣伝しようとしているようです。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2009/0901/item090901_04.pdf

>規制改革の効果が顕著に現われている事例を、過去に遡って、平易な表現で分かりやすく広く国民へPRすることで、規制改革の必要性やメリットについて更なる理解を促すとともに、国民生活を豊かなものへと導く規制改革の取組みについてより関心を深めていただくために、パンフレットを作成いたしました。

ということになれば、増田悦佐氏と並んで幸福実現党応援団代表の福井秀夫氏が精魂込めて取り組んでこられた労働分野の規制緩和の成果がさぞ大々的に掲載されているのではないかと期待したのですが、

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2009/0901/item090901_01.pdf

>1 携帯電話をさらに便利に使えるようになりました
2 国内の航空運賃に利用者のニーズが反映されるようになりました
 【コラム】 規制改革は消費者のための取り組みです
3 一般用医薬品が安全でより便利に買えるようになりました
4 車検の有効期間が延長されました
5 就学校の変更が認められても良い理由が明確になりました
 【コラム】 規制には明確な根拠が求められます
6 駐車違反の取締り関係事務の一部が民間委託されました
 【コラム】 公的な仕事に民間の力を活用しましょう
その他の事例紹介

あれ?

「その他」にあるのかな?

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2009/0901/item090901_03.pdf

労働分野の事例がたった一つだけありました。

>労働契約法制の整備

をいをい、労働契約法を作れといってきたのは誰ですか(いろんなところが俺だ私だといいそうですが)。規制改革会議でないことだけは確かですが。

どうして、ちゃんと規制改革会議が要求して実現してきた「成果」を誇らしげに書かないんでしょうか。不思議でなりません。

まさか、たった2年前のあの心意気をお忘れになったわけではないのでしょうが。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2007/0521/item070521_01.pdf(脱格差と活力をもたらす労働市場へ)

>一部に残存する神話のように、労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている。不用意に最低賃金を引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させることにつながる。過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となるなどの副作用を生じる可能性もある。正規社員の解雇を厳しく規制することは、非正規雇用へのシフトを企業に誘発し、労働者の地位を全体としてより脆弱なものとする結果を導く。一定期間派遣労働を継続したら雇用の申し込みを使用者に義務付けることは、正規雇用を増やすどころか、派遣労働者の期限前の派遣取り止めを誘発し、派遣労働者の地位を危うくする。長時間労働に問題があるからといって、画一的な労働時間上限規制を導入することは、脱法行為を誘発するのみならず、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益と、そのような労働によって生産効率を高めることができる使用者の利益の双方を増進する機会を無理やりに放棄させる。

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コメント

規制改革会議の前身である規制改革・民間開放推進会議は、平成18年3に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」で「労働契約法制の整備」を求めていますよ。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/old/publication/2005/0331/item050331_02-02.pdf
ご指摘のように、他にはたいした成果は上がっていないかもしれませんが、規制改革会議が労働契約法を作れといっていたことだけは確かです。

投稿: 労務屋@保守おやじ | 2009年9月 3日 (木) 18時34分

いやまあ、もうすでにさまざまな関係者が作れ作れと言ってきて、2003年の労基法改正の国会付帯決議で作れといわれ、厚生労働省が研究会を立ち上げてその報告書が出されて、労働政策審議会という許し難くもけしからん三者構成機関(下記参考)で議論がされるようになってから、しかも

>上述した労働時間規制の適用除外制度について検討を進めていくためにも、労働契約法制の在り方についての検討は、必要不可欠であると考えられる。

というなんだか契約法いのちでがんばってきた人から見たら馬鹿にされたみたいな言い方で「労働契約法制の整備」といったことがあるからといって、それだけが規制改革会議の労働分野における「取組と成果」だというのは、いささか恥ずかしくないのかな?
と思っただけでして、確かに規制改革会議の立派な「取組と成果」であることは間違いありません。

それにしても、労働契約法なんかよりもっと熱っぽく説いてきたことは「取組と成果」に入らないのかな?ともやはり感じるわけですが。

(参考)(脱格差と活力をもたらす労働市場へ)

現在の労働政策審議会は、政策決定の要の審議会であるにもかかわらず意見分布の固定化という弊害を持っている。労使代表は、決定権限を持たずに、その背後にある組織のメッセンジャーであることもないわけではなく、その場合には、同審議会の機能は、団体交渉にも及ばない。しかも、主として正社員を中心に組織化された労働組合の意見が、必ずしも、フリーター、派遣労働者等非正規労働者の再チャレンジの観点に立っている訳ではない。特定の利害関係は特定の行動をもたらすことに照らすと、使用者側委員、労働側委員といった利害団体の代表が調整を行う現行の政策決定の在り方を改め、利害当事者から広く、意見を聞きつつも、フェアな政策決定機関にその政策決定を委ねるべきである。

投稿: hamachan | 2009年9月 3日 (木) 22時05分

 私としては規制改革・民間開放推進会議が現に労働契約法制の整備を求めていたという事実が確認したかっただけでして、規制改革会議が労働契約法制の整備を「成果」として誇るのは変だよね、というのにはまったく同感です。
 もっとも、他の成果を誇ろうとしても、雇用失業情勢が急速に悪化している中では、およそ冷静な議論が期待できる状況ではありません。また、この手の話には雇用失業情勢に関わらず悪い面だけしか見ない人というのも一定割合います。現実には、たとえば女性の時間外労働や深夜業の規制緩和は女性の職域拡大や社会進出に大きく寄与したわけですが、これとてそれによっていかに女性の就労環境が悪化したか、ということだけを言い募る人というのもいるわけですし。それやこれやで、この文書への掲載は見送らざるを得なかったのでしょう。
 なお福井先生に関しては、引用されている「脱格差と活力をもたらす労働市場へ」で主張されている内容はほとんど実現していませんから、成果として誇りようがないというのが現実ではないかと。ただ、その中には派遣労働に関する規制緩和のように、実現が望ましいものもあると私は考えます(解雇規制の撤廃や三者構成の見直しのように、実現されるべきでないもののほうがむしろ多いのではありますが)。

投稿: 労務屋@保守おやじ | 2009年9月 4日 (金) 09時23分

いや、おっしゃるとおりでして、まあどっちかというと、福井氏に対する揶揄の気持ちが前面に出たエントリでありました。
それ以前からの派遣「事業」の規制緩和(無意味な業務限定の緩和)などは、私も賛成なのですが、それに派遣労働者への適切な保護が相伴わなかったわけで。

新政権は経済財政諮問会議や規制改革会議の廃止を考えているようですが、私はむしろ労働者や消費者の代表を入れることを前提として残した方がいいと思っています。
タクシー運転手の労働条件のために台数規制をしようというような業界主義的な発想には、やはりもう少しマクロな視点からの監視があった方がいいと考えるので。それならむやみな出来高給を規制して、保障給を確保した方がいい。

投稿: hamachan | 2009年9月 4日 (金) 10時34分

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