大内伸哉『最新重要判例200労働法』
大内伸哉先生より、弘文堂から出版された『最新重要判例200労働法』をお送りいただきました。いつもいつもありがとうございます。
現時点では大内先生のブログ「アモーレと労働法」では取り上げておられないようです。
http://souchi.cocolog-nifty.com/blog/
出版元のHPでは、
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/30160.html
>「生きた労働法」を学ぶために、重要判例のうち新しいものを中心に213判例を厳選し、単独著者による解説で統一的に理解できるように工夫された判例集です。
判例の理解に必要な解説をコンパクトに付し、2色刷りにより判旨のポイントがひと目でわかる判例ガイド。労働法を学ぶ学生、司法試験をはじめとした国家試験受験生、法曹、企業関係者等の判例整理に最適の1冊。
題名は「200」ですが、実際は213の判例、裁判例が載っています。
労働法の場合、最高裁判例だけでは全貌は判りかねるところがあり、下級審の裁判例も重要なんですが、とはいえまだ上告中で判例として固まっているとは言えないような裁判例をどう扱うかというのはなかなか判断を要するところではないかと思います。
というのは、第17番として例の松下プラズマディスプレイ高裁判決が載っているのですが、これがおそらく最高裁で見直される公算が高くなったようだからです。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009091400878
>パナソニックの子会社「松下プラズマディスプレイ」(現パナソニックプラズマディスプレイ)の工場で働いていた元請負会社社員の男性が、「偽装請負」を内部告発した後、不当解雇されたとして地位確認などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は14日、弁論を11月27日に開くことを決めた。
弁論は二審の結論変更に必要な手続きで、男性の主張をほぼ全面的に認めた二審大阪高裁判決が見直される可能性がある。
この判決については、わたしもすぐに批判的な評釈を書きましたが、
http://homepage3.nifty.com/hamachan/nblhyoushaku.html(いわゆる偽装請負と黙示の雇用契約)
最近経営法曹会議事務局長の中山慈夫さんが『経営と労働法務の理論と実務 安西愈先生古稀記念論文集』(中央経済社)に書かれた論文でも、同様の観点から批判をしておられます。
これは、実は昨日中山さんから直接抜き刷りをいただいたもので、まだ生々しいのですが、この高裁判決はやはり論理構成があまりに粗雑で、見直しは免れないところでしょう。
それはともかく、最高裁でひっくり返る可能性が高い下級審判決を『最新重要判例』に入れるかどうかというのは、これ自体議論のあるところではないかと思いますが、とはいえ学会でも実務界でも大きな騒ぎをもたらした判決には違いないので、あえて落とすのも不自然なのでしょうか。
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