個人請負型就業者に関する研究会
さる8月28日に第1回目が開催された「個人請負型就業者に関する研究会」の資料が厚労省HPにアップされています。
http://www.mhlw.go.jp/za/0901/d41/d41.html
まず趣旨ですが、
http://www.mhlw.go.jp/za/0901/d41/d41-01.pdf
>雇用労働者の働き方が多様化する一方で、個人自営業者であっても、1つの企業と専属の委託業務契約や請負契約を交わし、常駐に近い形で就業するいわゆる個人請負型就業者(ディペンデント・コントラクター)のような雇用と非雇用の区別がつきにくい層が出現し、既存の制度や法律の適用から漏れている場合が見られるといった問題が指摘されている。
しかしながら、個人請負型就業者の就業については、これまでその実態を正確に把握できておらず、課題や対応策も整理できていない状況にある。
このため、本研究会を開催し、個人請負型就業者の実態把握を行うとともに、実態を踏まえた施策の方向性について検討する。
と、まずは実態把握から、ということのようです。
委員は、
奥田 香子 京都府立大学公共政策学部准教授
佐藤 厚 法政大学キャリアデザイン学部教授
佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所教授
佐野 嘉秀 法政大学経営学部准教授
原 ひろみ 労働政策研究・研修機構人材育成部門副主任研究員
調査系4名、法律系1名というのは、上の趣旨からして妥当でしょう。実態を抜きにした法律論というのはとかく空中の神学論になりがちですから。ただ、実態の議論をする際に、その法律的位置づけは常に意識しながらでなければなりません。
資料2が総括的にまとめていて、
http://www.mhlw.go.jp/za/0901/d41/d41-02.pdf
以下さらに詳しい資料が並んでいます。
現行の法制度は、
http://www.mhlw.go.jp/za/0901/d41/d41-04.pdf
各種報告・提言等は、
http://www.mhlw.go.jp/za/0901/d41/d41-05.pdf
ここに、国民生活審議会の消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて(意見)、今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告書、男女共同参画会議影響調査専門調査会の「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての報告、有識者の発言などが並んでいます。
また、最近の事例というところは最近話題になった事例がよくまとまっているので、引用しておきますね。
>○ バイク便
バイク便業界は、会社が個人事業主であるライダーと「運送(業務)請負契約」を結び、配送業務に従事させるのが一般的なため、労災や雇用保険などを適用しないケースが多い。
厚生労働省は平成19年9月27日、「バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について」とする通達を出し、一定の要件を満たす場合には労働者に該当するとの見解を示した。
○ 飲食店アルバイト
大手牛丼チェーン店にアルバイトとして雇われていた者が、残業代の支払いを申し入れたところ、会社は、アルバイトの店員を、請負契約に類似する業務委託契約を結んだ個人請負であるとし、残業代支払を拒否した。
仙台労働基準監督署は平成20年12月10日、会社と賃金担当役員を労働基準法違反(賃金不払い)容疑で仙台地検に書類送検した。
○ メーカーの修理技術者
大手電機メーカーの子会社に対し、その子会社から業務を請け負っている「代行店」と呼ばれる委託契約労働者らが、待遇改善を求める団体交渉を会社に申し入れたところ、労働者ではないとして交渉を拒否された。組合はこれを不当労働行為であるとして、救済を申し入れ、中央労働委員会は、組合法「労働者」であると判断して救済命令を出したが、東京地方裁判所では労働者性は否定され、中労委の救済命令は取り消された。
○ コンビニオーナー
公正取引委員会は、大手コンビニエンスストア経営会社に対し、独占禁止法の規定に違反する行為を行っているとして、排除命令を行った。違反の概要は、会社側が優越した地位を利用し、加盟店が、消費期限の近づいている商品を値引きすることを禁止しているというものであった。
また、本年8月には、大手コンビニエンスストアの加盟店経営者を中心に、コンビニエンスストア加盟店経営者による労働組合が結成された。
※ フランチャイズ契約は、厳密には業務請負契約ではなく、一方が自己の商号・商標などを使用する権利、自己の開発した商品(サービスを含む)を提供するする権利、営業上のノウハウなど(これらを総称してフランチャイズパッケージと呼ぶ)を提供し、これにより自己と同一のイメージ(ブランド)で営業を行わせ、他方が、これに対して対価(ロイヤルティー)を支払う約束によって成り立つ事業契約である。
諸外国については、英独仏及びILOについて
http://www.mhlw.go.jp/za/0901/d41/d41-06.pdf
先行研究としては、
http://www.mhlw.go.jp/za/0901/d41/d41-08.pdf
リクルートワークス研究所、JILPT、村田弘美さんが挙がっています。
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