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2009年9月 1日 (火)

毎週評論さんの書評

「毎週評論」さんに拙著を書評いただきました。

http://maishuhyouron.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-daa7.html(リセット思考の拒否)

こうして、多くの方々の批評を読ませていただいてくると、ほんとにいろんな視点があるのだな、という感を強くします。

毎週評論さんが「著者に底通する最も共感できる(と私が一方的に感じた)価値観」として挙げられているのは、

>それは、最終章で既存の日本型労働組合を再活用していく道を模索しているように、「リセット思考を徹底的に拒否する」ということである。ここで「リセット思考」というのは、現行の社会制度とその歴史的な文脈、世論の感情や文化意識などを抜きにして、法律学にせよ経済学にせよ、単純に論理的な一貫性のみで政策論を展開してしまうことである。

ここで指摘される「リセット思考」について、

>残念なことに今や政治動向に圧倒的な影響のあるマスメディアでは、こういう一見歯切れのよい人たちばかりが目立ってしまっている。

>「リセット思考」の政治家や学者は、政策がうまくいかなかったことを「既得権益層」のせいにすれば、自分の責任から逃避することができる。

>われわれが下からの熟慮と討議、地道な利害の調整に基づく民主主義というものを放棄すべきでないとすれば、「リセット」は不可能なのである。

と述べられています。その挙げ句の果てとして挙げられるのは

>冷戦時代には気骨のあるバランス感覚を示していたはずの日本の保守論壇は、田母神氏のような人物を無邪気に持ち上げるまでに堕落してしまった。

と、いささか労働問題から離れますが、そのお気持ちは大変共感できます。わたしが雪斎こと櫻田淳氏の文章を愛好するのも同じ感覚ですので。ですから、

>その意味で本書は保守主義的思考のもっともよい部分を継承していると言うことができる。

という評価は、大変嬉しく、ありがたいものです。

一点だけ注釈的に申し上げておきますと、

>逆に言うと、「正社員の賃金を下げれば問題は解決する」などという「リセット思考」の持ち主にとっては、最後まで我慢して読み通せないかもしれないのだが。

正確に言えば、本書を最後まで我慢して読み通せないような「リセット思考」とは、正社員の賃金を下げること自体ではなく、ごく普通の正社員を敵として血祭りに上げることを政治的目的とするようなある種の扇情的思考だと思います。

拙著第4章は、まさに中長期的に正社員の賃金を非正規労働者との関係で相対的に引き下げることを提起しています。ただし、正社員と非正規労働者を包括する産業民主主義的枠組みの中で、「不利益の再分配」という形で。

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