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2009年9月27日 (日)

伊東光晴氏の拙著書評@毎日新聞

本日の毎日新聞読書欄「今週の本棚」で、拙著が書評されています。評者は高名な経済学者の伊東光晴氏です。

http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20090927ddm015070004000c.html

「日本の労働市場の法的特質とは」と題されたこの書評で、拙著序章について、

>労働法の研究者は、個々の労働裁判については発言するが、日本の労働市場の特質について発言するのは珍しい。この本は序章で、これを試みている。

と、法律の中の人には珍しく・・・という感じで評されています。

>今まで労働経済学者が明らかにしてきたものを、法的に--なかなか見事に説明していく。

>国際比較を交え、経済学者の実証的研究を無視するところが心にくい。この分野は大河内シューレ(東大教授、故大河内一男氏、故氏原正治郎氏などの流れ)によって開拓されたものであるが、これらの労働経済学者の批判的見解が聞きたい。

いや、それは、「労働経済学者」というより先日の高梨先生ではありませんが「社会政策学者」というべきではないでしょうか、すくなくとも大河内先生や氏原先生は・・・と詰まらぬ突っ込みを入れたくなるのですが、それより、労働問題に関してはもともとそういうこっちは法律学だ、そっちは経済学だ、という方法論にこだわるディシプリン志向よりも、人々が働く現場がどうなんているんだろうという対象志向、オブジェクト指向が強い分野なので、そういう風に対立させて考える必要はないのではないかと、私は考えているのですが。

また、別に「経済学者の実証的研究を無視」しているつもりもなく、単にこれまでの労使関係論や労務管理論や産業社会学なども含めたさまざまな知見をごく簡単に要約したものであって、まあ、あえていえばすべてをメンバーシップ論という「公理」から導き出されるコロラリーとして説明したというところが新機軸かなとは思っていますが。

>第一章以下は、たしかに労働法学者の筆である。

私が労働法学者だなんて言ったら怒り出す人もいそうですが、少なくとも論理の運びは労働法制のそもそもの趣旨から議論を展開しておりますので、「確かに労働法学者の筆」なのかも知れません。

何というか、伊東先生はわたくしの議論の進め方があんまり肌にぴたっと来ないようで、いささか扱いかねているのかな?と思われる記述がいくつか見られました。

>ではどう改めるのか。それがよくわからない。

>適度に保守的、適度に進歩的、それがこの本の視点である。

どっちかにはっきりしろ、と言いたい気持ちがにじみ出ているように感じられます。

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