« 渡辺章『労働法講義(上)』(総論・雇用関係法Ⅰ) | トップページ | 屈託庵さんの書評 »

佐藤博樹編著『人事マネジメント』

4623052672 本ブログにも時々コメントをしていただいている佐藤博樹先生より、先生の編著になるミネルヴァ書房の「叢書・働くということ」の第4巻、『人事マネジメント』をお送りいただきました。

http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/32314331

目次を各章の執筆者とともに示しますと、

序章 企業環境の変化と人事管理の課題 佐藤博樹

第1部 コア人材の活用と課題

第1章 労働費用と個別賃金管理—持続と変化 今野浩一郎

第2章 人材育成の未来 守島基博

第3章 新しい労働時間管理—規制の強化と緩和 佐藤厚

第2部 環境の変化と人材活用の課題

第4章 ミスマッチを軽減する採用のあり方—RJPを手がかりにして 堀田聡子

第5章 ワーク・ライフ・バランスと企業組織への課題 藤本哲史

第6章 定年延長か継続雇用か?—60歳定年以降の雇用延長 八代充史

第3部 非典型社員と外部人材の活用

第7章 非典型雇用の人材活用—非典型雇用の仕事とその割り振り 佐野嘉秀

第8章 パート社員の活用と均衡処遇—法的観点からの考察 土田道夫

第9章 非正社員から正社員への転換—正社員登用制度の実態と機能 原ひろみ

となっていまして、どの章を取り上げてもいくつか言えることはあるのですが、ここでは編者の佐藤先生の序章から、最後近くの「雇用区分の多元化と人事管理と賃金管理の課題」から若干のセンテンスをピックアップしておきます。

>第1に、雇用区分ごとの仕事やキャリア管理に適合的な賃金制度を設計することである。このことは一つの企業の中に複数の賃金制度が併存することを意味する。

>第2に、同一企業内に複数の賃金制度を導入することは、雇用区分間の賃金水準のバランスや均衡という新しい賃金管理上の課題を浮上させることになる。

>第3に雇用区分に即した賃金制度を導入し、雇用区分間の賃金水準のバランスに配慮する前提として、雇用区分の合理的な設定が求められる。・・・正社員・非正社員の区分を廃止し、雇用区分の実態に基づいた雇用区分の再編成が求められる。

>第4に、同一企業内に複数の雇用区分を設定した場合、雇用区分間の移動のルールをどのように設計し、運用するかが課題となる。

>第5に、正社員、非正社員の区分を超えて既存の雇用区分を再編する際の最大の問題は、雇用契約の違いである。・・・一時的な仕事以外はすべて雇用期間定めなしの無期雇用とし、同一の雇用区分内は同一の雇用保障水準とするためには、雇用区分の多元化に応じた「雇用保障の多元化」が求められよう。具体的には、無期雇用を前提とした上で、雇用契約における働き方の限定の在り方に応じて、雇用保障の範囲を限定する仕組みである。

最後が「具体的には」といいながらよく分からないかも知れませんので若干説明を付け加えると、たとえば仕事非限定・勤務地非限定の今までの典型的男性正社員型は職務変更や転勤ができるので雇用保障が一番強く、仕事限定・勤務地非限定や仕事非限定・勤務地限定がそれに次ぎ、仕事限定・勤務地限定タイプは職務や勤務地を変えられないので雇用保障がその分薄くなるということですね。

本書ではあと佐野さんの第7章が必読だと思います。これのもとになった調査報告がJILPTのHPにアップされていますので、こちらも参考までに。

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2008/08-036.htm(非正社員の雇用管理と人材育成に関する予備的研究)

|

« 渡辺章『労働法講義(上)』(総論・雇用関係法Ⅰ) | トップページ | 屈託庵さんの書評 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 佐藤博樹編著『人事マネジメント』:

« 渡辺章『労働法講義(上)』(総論・雇用関係法Ⅰ) | トップページ | 屈託庵さんの書評 »