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2009年9月10日 (木)

Gelsyさんの書評

Gelsyさんの「concretism」ブログで、拙著を書評いただきました。左下にトラバを送っていただいています。

http://d.hatena.ne.jp/Gelsy/20090909/1252509309

わたしが池田信夫氏の無内容ないちゃもんに対して

>拙著の序章で示している認識枠組みは、労働研究者の中ではごく普通に共有されているものの一種であって、たかが10年前に池田氏が博士論文を書いて始めて提示したようなものではありません。

と本ブログで述べたことに対して、

>私のように、現状を的確に示した「序章」により大きな価値を見いだす人は多いのではないでしょうか。少なくとも、労働問題の門外漢から見れば、これだけの内容が700円で手に入る新書に詰め込まれていることは非常に喜ばしいことです。

と述べていただいています。ありがとうございます。いままでの多くの書評を読ませていただいても、そういうご意見の方々が多いようです。

さて、この書評の眼目は、

>興味深いのは、「日本型雇用システム」を欧米、特にEUのそれと対比させていきながらも、どちらが優れているのかについて本書は断言を避けている点であり、これは、かなり意識的になされていることだと思われます。当然、我々読者はどちらが優れているのかを考えながら読むわけですが、メンバーシップに基づく雇用システム自体は、職務に基づく欧米のそれと比べてそう劣るものではない、という私の所感は、おそらく著者の考えとは逆なのでしょう。

という観点から、

>根本的な解決にはならないのかもしれないけれど、より多くの人がより厚い恩恵を受けられるようなメンバーシップを作り上げ、メンバーシップから外れてしまった人には国が手を差し伸べるという従来のシステムを、より「漏れ」のないように維持していくことが最も現実的だと思います。

という見解を示されているところでしょう。

実のところ、わたしはジョブ型とメンバーシップ型の優劣は、雇用システムそれ自体としてはつけようがないと考えています。むしろ、戦後半世紀の経験は、メンバーシップ型のシステムがどこまで成果を収めることができるかを示しているとも言えます。

メンバーシップ型システムの問題は、それと整合的に作られた隣接する社会システムにおいて矛盾が生ずるという形で発生してきているのでしょう。ですから、拙著の提示する対策もより補修的な性格になっています。

いずれにしても、拙著をきっかけにさまざまな議論を始めていただけるのは、著者として大変うれしいことです。

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