『DIO』で麻生裕子さんが拙著を書評
本日、連合総研の『DIO』241号がアップされました。
http://rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio241.pdf
特集は「セーフティネット論再考」で、3編とも大変興味深い論点を示しており、このあとすぐに取り上げますが、本日はまずなにより、同号に掲載されている拙著の書評を紹介させていただきます。26ページです。
書評していただいているのは、連合総研主任研究員の麻生裕子さんです。
>いま労働問題への国民の関心は確実に高まっている。さらには民主党への政権交代によって、本書のタイトルどおり「新しい労働社会」をどう築くかが問われている時期でもある。その意味でも、本書から得られる示唆は実にタイミングがよいといえる。
タイミングがいいというのは、いろんな方から言われました。
まあ、こっちが別に総選挙に合わせたわけではなくて、解散の方が勝手に拙著の発行日にぶつけられてきたわけですが(笑)。
以下、
>第一は、すべての労働者に仕事と生活の両立を保障するために、労働時間規制や解雇規制をどのように改革するか
>第二の論点としては、三者間労務供給システムを実態に即してどのように再編成するか
>第三の論点は、均等待遇を実現するための社会的条件をどのように整備するか
>第四の論点として、労働組合は職場におけるルール形成にどのようにかかわるか
について拙著の内容を要領よくおまとめいただいた上で、
>いずれの論点も、正社員のみならず非正規労働者をも包摂したルールの形成と深くかかわっており、全体をつうじて示唆に富む内容である。
と評価いただき、さらに
>とりわけ第四の論点は、産業民主主義という社会の根幹にかかわる提起であり、きわめて重要である。
とひとまずは褒めておいた上で、
>ただ、企業内の課題の解決に限定される労働者代表組織の役割を重視しすぎると、労働組合が果たす社会的機能の側面が小さくなるのではないかという疑念も残る。社会的組織としての労働組合の役割を重視するならば、また、社会のあり方として「新しい労働社会」を論ずるのであれば、従業員代表制度の構成員としてのみではなく、非正規労働者を含む労働組合としての組織化の意義についても重視したほうがよいと考える。
と、言葉柔らかにかなり鋭い批判を投げかけられています。
これをもうすこしはっきり言い換えると、ミクロの労働者代表としての労働組合像と、マクロな産業民主主義の担い手としての労働組合像とをリンクさせるロジックが拙著には明確に示されていないのではないか、というのは、わたし自身認識しているところです。ここは突っ込むといろいろと論点が湧いてくるところでもあります。
麻生さんからは最後にも、
>著者らしい広い見識に裏づけられた、そして、いま日本の労働組合に問われているテーマが盛りだくさんの必読書である。
とご推薦いただきました。ありがとうございます。
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