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2009年8月18日 (火)

若年層に対する重点雇用対策(骨子案)

8月13日にとりまとめられた若者雇用対策プロジェクトチームの「」若年層に対する重点雇用対策(骨子案)」が内閣府のHPに載っていました。ちょっと目立たないところにあったので、気がつくのが遅れましたが。

http://www5.cao.go.jp/keizai1/2009/0730jakunenkoyou.html

http://www5.cao.go.jp/keizai1/2009/0302shiryou2.pdf

はじめに現状が1枚書かれて、2枚目からが政策ですが、まず「若者雇用対策の基本的考え方」として、「「構造的な問題」に着目」と明記されています。

>若者雇用問題を考える上でまず重要なのは、これが若者の「意識」というような問題だけではなく「構造的な問題」を有している、という基本認識を持つことである。

若者雇用問題の背景には、まず第一に、「新卒一括採用」という採用・就職慣行がある。この慣行は、新卒者・企業双方にとって有用な面があり、また若年者の失業率を低く抑えるという効果を生んできた一方、一旦就職の機会を失った者(世代)にとっては再挑戦が難しいという構造的な問題を有している。

第二は、若者の能力形成をめぐる問題である。若者にとっては職業能力形成が極めて重要であるが、キャリア形成上重要な時期に学校等での職業教育や企業内OJTの対象から外れた者は、その後の能力形成に重大な支障が生じ、負のスパイラルに陥る傾向が強い。

これらの問題を解決するためには、雇用政策のみならず、文教政策や産業政策の観点からの対応も重要となってくる。

そこで、「雇用政策・文教政策・産業政策の統合運用」ということで、

>このため、若者が自らの希望と能力に応じた雇用機会が得られるよう、政府あげて、産業界等の関係機関の協力を得ながら、若者雇用支援に取り組む必要がある。若者雇用に関する施策や関係機関は多岐にわたっているが、これら施策の深化・徹底に力を注ぐとともに、各施策がこれまで以上に有機的に連携し、地域をベースに政策資源が効果的・効率的に動員されるよう、若者雇用の観点からの雇用政策・文教政策・産業政策の統合運用を目指し、以下の3本柱の重点対策を推進する。

その3本柱とは:

(1)「新卒者緊急支援チーム(Sチーム)」による新卒雇用支援
- 新卒者求人状況の悪化を踏まえ、当PT内に「専門支援チーム」を設置し、
①政府全体で就職支援に全力をつくすとともに、②「多様な人生スタート
を尊重する社会」の創造に向けて取り組む。

(2)「ワンストップ+マンツーマン+シームレス」の雇用支援の推進
- 一人ひとりの若者の雇用と生活を、局面が変わっても一貫してきめ細かく支援するため、①各段階の雇用支援サービスの充実とネットワーク化、
②「雇用支援人材」の養成・活用、③職業能力評価の定着などに取り組む。

(3)成長分野における若者雇用推進
- 将来の成長が期待される分野の人材確保・育成のため、成長分野ごとに若者の雇用を重点的に支援する取組を進める

ということです。

新聞等で報じられていた「マンツーマン」の雇用支援は:

>ニート等の困難を抱える若者については、
・ 原則として、一人ひとりに対して、職業的自立・就職の支援から職場定着に至るまで、同一のカウンセラーが1対1で継続的に支援する、
・ 局面に応じて必要とされるサービスが異なるため、上記のカウンセラーが若者の環境・ニーズに応じたサービスにつなぎ、必要に応じチームを形成し、総合的な支援を実施する。子どもや若者を地域で支援するためのネットワークを整備する子ども・若者支援地域協議会を設置した地方公共団体にあっては、その積極的な活用を図る、
・ こうした支援では、支援対象者の生活の場等に出向く「アウトリーチ」の姿勢を重視する。

と書かれています。

さて、このプロジェクトの配付資料が上のHPに載っていますが、8月3日の2回目会合に出てきた面々は、

大久保 幸夫 株式会社リクルートワークス研究所所長
勝間 和代 経済評論家
川本 裕康 日本経済団体連合会 常務理事
北脇 保之 東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター長
古賀 伸明 日本労働組合総連合会事務局長
小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構統括研究員
笹 のぶえ 東京都立大学付属高等学校副校長
山田 久 株式会社日本総合研究所調査部ビジネス戦略研究センター所長・主任研究員

という、お一人を除いて毎度おなじみの皆様方ですが、私にとって、一番新鮮で興味深かったのは、このお一人、都立大附属高校副校長の笹のぶえさんのレジュメでした。

レジュメだけですが、現場の感覚がじわりと伝わってくる感じです。

http://www5.cao.go.jp/keizai1/2009/sasashi.pdf

>1.自己紹介
昭和56年4月 東京都立高等学校(全日制・普通科)に勤務
全日制・商業科 定時制・総合学科 全日制・進学校 を経験
平成 5年頃~ 全国高等学校進路指導研究協議会 教材開発委員会に所属
『高校生の進路ノート』『キャリアノート』等
進路学習教材の開発を手掛ける

2.高校生の就職状況、就職指導・進路指導、キャリア教育

(1) 商業高校の経験(昭和63年~平成11年)

①90%の生徒が就職 5%の生徒が指定校推薦で大学進学 5%の生徒が専門学校進学
「経済社会の下支えをする生徒を育てる」
②入社試験に合格させる指導
・企業情報の収集 ・一般教養 ・適性検査 ・履歴書 ・面接
職業人としての生活を全うさせる指導
・自己理解と職業適性 ・将来設計

(2) 総合学科高校の経験(平成12年~平成19年)

①70%の生徒が、小・中学校時代に不登校を経験
「生徒を将来の納税者に育てる」
②基礎基本の学力の育成とコミュニケーション能力の育成
キャリア教育=職業生活を通して自己実現できる生徒の育成
自己理解と職業理解を経て勤労観・職業観を育てる
ワークキャリアとライフキャリア
・科目「産業社会と人間」 ・キャリア教育のための学校設定科目
・ロータリークラブによるインターンシップ ・「私のしごと館」への研修旅行
・ハローワークのジョブサポーター ・NPOのキャリア教育コーディネーター

(3) 進学校の経験(平成20年~平成21年)

①100%の生徒が大学進学
「第一志望の進路実現を果たせる生徒を育てる」
②受験指導
学ぶ意欲を引き出す指導
・大学の授業聴講 ・職業人講話 ・オープンキャンパス ・卒業生との懇談会

(4) 課題

①教員がキャリア教育に専念できるゆとりの確保を
・教員の力量で、外部の教育力が活用できる
・有能な教員がその能力を発揮できる環境つくり
・教員へのキャリア教育推進の研修
②普通科高校、特に進学校におけるキャリア教育への意識変革を
・「国公立○人合格」の壁
③新たな産業・雇用の創出を
・発達障害を含む障害のある生徒の雇用

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コメント

こういう場面では必ず「私のしごと館」の名前が出てきますね。
先日来日した中国の要人もやはり「私のしごと館」を視察して感銘を受けたようです。
やはり廃止というのは馬鹿げていると思います。

「新しい労働社会」を購読いたしまして、このWEBにたどり着きました。

非常に勉強になりました。ありがとうございました

私は就職氷河期に社会に飛び出し、アルバイトなどのいわゆるフリーターを5年近く体験いたしました。
その後、正社員として常用雇用の派遣会社に従事し(内勤であり派遣する側になります)、
採用担当も経験し、さらに一般派遣会社(いわゆる製造派遣会社)にも所属いたしました。

常用雇用である派遣社員に対する事務、採用、営業と経験してゆくなかで、法的に疑問に思っておりました「有期雇用」についての知識を得られたことは、特に有益でしたし、
自身で勉強してきた労働市場についてバラバラに認識していた諸問題が総括して書かれている本として教科書のように各問題を確認ができたこともためになりました。

労働市場について企業側の内側から関わってきた身としましても、この本に描かれている内容は納得できるものです。

私自身を振り返っても「外部労働市場」に属している人間であるとはっきり認識できたことも大きく得るものがありました。

自分経験から申し上げますと、社会人としても教育についてはOJTもありましたが、必死で自分なりにお金を拠出して「外部」で学んできたと思っております。
TOEIC、社会保険労務士、GCDFキャリアカウンセラーなど学んでまいりましたが、GCDFの資格を取る際には、
会社から資金を支給されて学ばれる大企業人事部の方々に「自分でこの(高額な)資格のお金は出したくない」と正直におっしゃる方もいて、
自腹である自分は彼らをうらやましくも、ねたましくも思ったことを思い出します。

今後は本の中で語られているように、社会保険を充実させてゆくなかで、労働市場を「外部」側へとシフトしてゆくことが、
自然な流れと私も思っております。

しかしながら、「シフト」してゆく移行期は外部の人間にとって非常に厳しいものであり、また「内部」から「外部」へ自分の意思とは関係なく移動を余儀なくされる方にとっては、
ショックも大きいものと思われます。

どうにかその「厳しい」という心理てきな圧迫、「ショック」などの心が後退した状況を支えられるシステムを微力ながらも創りだして行きたいと考えております。

今回は、どうしてもお礼を申し上げたく、コメントとしては異例の長い文章で申し訳ございませんが、
ここに感謝の言葉としてとして記入させていただきました。

ありがとうございました。

ご丁寧なコメントをいただき、ありがとうございます。
このような深いレベルで読んでいただける読者を持てることは、わたくしにとってもこの上ない喜びです。

また、伝統ある岩波新書としてはおそらく異例だったでしょうが、あとがきでわたくしのHPと本ブログを紹介しておいたことが、こうして良き読者との出会いにつながっているのだと思います。

上記提言だとギャップイヤー制度なんて入り込む余地はないのでしょうか(涙)

ついか

POSSEvol4買って全部読みました。
例のニート論壇対談

後藤氏 P129「具体的により多くの人々を救い、別の立場にいる人の反感を減らすためにどんな政策が必要なのかというのを問う」

>2回目会合に出てきた面々

後藤氏は官僚や大学研究者でないのでゆくゆくは上記のような政府の若者雇用対策プロジェクトチームに入ることを望んでいるのだろうか??
対談を読んだ限りではそこまでのギラギラ感もなかったですが。

実は大学が同じと言うだけで昨年後藤氏と会って杉田氏と同じように「今までの俗流若者論批判から持論の積み上げをしたら? 私は今、新潟で若者支援NPOに行っているからどんどんネットワーク作っていきましょう。」と言ったら、見事に玉砕しました(笑)。
だから杉田氏のけんか腰のいらだちも何となくわかるような気がします。

同人誌的に政策などを考えていくなら今のスタンスでいいと思いますが、もし本格的に政策実行を望むなら、杉田氏p134の
「宮台や東の愉しいが不毛な文献批判に時間を浪費せず、その倫理の核から言葉を開き直して実証的に普遍化できたら、後藤さんはもっと遠くの人まで言葉を届けられるんじゃないか。」
の助言のようにやればゆくゆくは上記の勝間氏や小杉氏のような存在になれると思いました。

私も法制度などがよくわからないのでこれから勉強して理論と実践の中間的な若者ボランチ論者を目指します。

労働者派遣法改正に伴い派遣業界に教育機能を

◆人材派遣に“教育型派遣制度”の導入を
 派遣法改正で“人材ビジネス”は大きく縮小していきます。産業の縮小は、日本の経済発展には大きなダメージを与えます。そこで、今の人材ビジネス企業と今の非正規労働者に対して、仕事と職業訓練の機能をプラスしてはどうでしょうか。 そこで、実践に限りなく近い教育を、今の人材ビジネス企業に委託していくという方策です。そして、新しい「就業者支援制度」を確立して活用することが肝要と考えます。
 日本国内にとどまらず、今の企業は“即戦力”を望んでいます。成長著しい中国でも学卒者の就職が無い、これが時代なのです。中国では学卒者が1年間無給で仕事をし、キャリアを身に付けてから社員になる人も数多くいるのです。わが国内においては、非正規労働者を単に“労働力”としてではなく、“戦力化”するための教育を実施し、国内の生産性向上に邁進していくときではないでしょうか。それがひいては日本の将来発展に繋がっていくものと考えます。
関連記事は下記をご参照下さい
◆人事総務部ブログ http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/ 

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