自営業主にとって最賃引き上げは望ましい件
和歌山で珈琲店を営んでおられる江川さんが、そのブログで最低賃金の引き上げを歓迎しています。
http://blog.goo.ne.jp/ekawa1024/e/5f680f42086e86f0663fe3f709e90523(最低賃金1000円)
>理論的には、失業は、労働という商品の需要と供給の問題ですから、最低賃金を1000円にしたりして、賃金の伸縮性を奪ってしまえば、失業が増大するということなのですが、この考え方には、どうしても同意できません。
経済が停滞しているので失業が発生しているのなら、内需を拡大させるなどして雇用を確保するのが、政府・行政の仕事だと考えるわけです。
最低賃金で一生懸命に働くよりも、生活保護で生活する方が生活が楽になるという矛盾を解決するのが、政府・行政の仕事だと考えるわけです。
>自己雇用者(個人の自営業者)の場合、普通の労働者の2倍~3倍働くことで、人並みか、それよりもちょっとだけ多くの収入を得ていたのですが、平成になってからのデフレ経済と優秀な低賃金労働者が増加した影響をもろに受けていて、「働いても、働いても、我が暮らし楽にならず」の状態になってしまっています。
ということで、法律で定める最低賃金が上昇すればするほど、個人の自営業者の収入も、それに連動して上昇するはずですから、今、巷で話題になっている最低賃金1000円という話は、個人の自営業者としては歓迎すべき話です。
ちょっとかっこよすぎるかな?と感じるかも知れませんが、もう一つのエントリを読むと、自営業主が最賃引き上げを望む気持ちが明晰に書かれています。
http://blog.goo.ne.jp/ekawa1024/e/99dae1ece5d706f7f615a5330042d437(最低賃金)
>私のように零細な独立自営業者、10年も前なら、別に経営方法についてあれこれ考えなくても、会社勤めをしている人の倍働けば、普通の生活を楽しむことができる収入を得ることができました。
会社勤めをしている人の倍働くことで、人を雇用している事業者よりも、コスト的に簡単に優位に立てたわけです。
現在はどうかというと、零細な独立自営業者は、人を雇用している事業者に、コストだけで対抗することができなくなっています。
何故かというと、事業者側の人件費コストが低下してしまったからです。
最低賃金を引き上げると、事業者が人を雇用しなくなるという意見もありますが、人海戦術を採用している事業所の場合、人を雇用しなければサービスのレベルが低下するだけですから、競争力が無くなってしまいます。
競争力を維持しようとすれば、人の雇用を中止することができないと思います。
そうすると、我々零細な独立自営業者も、ある程度、息をつくことができるわけです。
零細自営業者は、法律上労働者の賃金ではないが経済学的には人件費である自己労働コストを合法的に最低賃金以下に下げることによって、価格競争力を獲得しているわけですから、最低賃金が下がれば下がるほど、自営業者の生き残る余地は限りなく少なくなっていくわけですね。
世の中には、最低賃金反対、労働者保護はことごとく廃止せよといいながら、その同じ口で脱サラ自営業開業を推奨する奇妙な方々もいますが、零細自営業者のサバイバル戦略という観点からは、雇用労働者の労働コストのみを高めに維持しておくことが望ましいということになるわけです。
逆に、労働者保護の観点からは、自営業者の自己労働コストを無規制のままにしておくとそれに引きずられて最低賃金も上がらない、という議論がこれは昔からありまして、そこで雇用労働者の最低賃金だけではなくて、家内労働者(内職)の最低工賃も規制せよという話になってきたという歴史的経緯があるわけです。
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コメント
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>世の中には、最低賃金反対、労働者保護はことごとく廃止せよといいながら、その同じ口で脱サラ自営業開業を推奨する奇妙な方々もいますが、
笑。でも自分もやばいです。まじやばい。ネット依存症の底つきを感じます。ほとんど「ファイトクラブ」の世界です。
ところで「偽物が出てくるようになれば本物」って本当ですか?
http://hamachan-law.cocolog-nifty.com/blog/
投稿: 読者 | 2009年8月22日 (土) 23時30分
まあ、すでに以前から、ほかのブログのコメント欄で、わたくしの偽物は出没していたようですけど。
投稿: hamachan | 2009年8月23日 (日) 09時21分