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2009年7月18日 (土)

学校用務員さんの飲酒運転で懲戒免職は行き過ぎ

いうまでもなく飲酒運転はいけません。いけませんが、だからといって、何でもかんでも一緒くたにして厳罰!厳罰!という「世間」の「空気」にうかつに乗ってはいけませんよ、という頂門の一針として。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090717090103.pdf

懲戒免職処分取消請求事件(大阪地方裁判所平成21年07月01日)(平成20(行ウ)31)

>市立高等学校の管理作業員が公務外の飲酒運転(酒気帯び運転)で検挙されたことが信用失墜行為(地方公務員法33条)に当たるとしてされた懲戒免職処分(地方公務員法29条1項1号,同項3号)が裁量権を逸脱濫用しているとして取り消された事例

この管理作業員さんの仕事はこういうものでした。

>(ア)学校園内外の美化・清掃に関する業務
a) 学校建物内部の清掃
b) 校舎屋上(屋根)平面部の清掃
c) 校舎建物周辺及び屋外運動場の清掃
d) じん芥処理
(イ)施設・設備の維持管理及び補修等営繕業務
a) 校舎等建物・屋内設備関連
b) 屋外施設・設備関連
(ウ)園芸業務
a) 樹木等の管理全般
b) 花壇等草花の管理全般
(エ)幼児・児童・生徒の安全にかかる業務
a) 登校時の校門の開閉並びに施解錠
b) 登下校時の幼児・児童・生徒の安全確保
c) 来校来園者の受付確認
d) 校園内外の巡視
(オ)休業期間中の合同作業に関する業務
(カ)校務運営上,必要な連絡,公文書等搬送業務
(キ)学校園行事の準備及び後片付けに関する業務
(ク)その他校園長が校務管理運営上特に必要と認める業務

大阪市教育委員会は、こういう「懲戒処分に関する指針」を出していました。

>ア 飲酒運転で人身事故,又は物損事故を起こした教職員は,免職とする。

イ 飲酒運転をした教職員は,免職とする。ただし,酒気帯び運転をした教職員について,一定の情状が認められるときは,停職とする場合がある

この管理作業員さんは酒気帯び運転で捕まり、免停処分を食らってます。それは当然ですが、大阪市教育委員会は、こう言って彼を懲戒免職処分にしたんですね。

>原告の行為は,本市学校に勤務する職員としての職の信用を著しく傷つけ,学校教育に寄せる生徒・保護者及び市民の信頼を大きく裏切るものであることから,地方公務員法33条が規定する信用失墜行為の禁止に違反するものであり,全体の奉仕者たるにふさわしくない非行であると言わざるを得ない。
よって,地方公務員法29条1項1号及び同項3号に該当するので,本処分を行う。

判決の重要部分に曰く、

>しかし,原告は,本件酒気帯び運転により人の生命,身体及び財産に対して損害を与えたことはない。原告は,本件高校に勤務していたものの教員ではなく,「管理作業員」という現業職の職員であって,生徒に対する教育指導を主たる職務内容とする教員とは地位及び職責が異なり,求められる資質も自ずと異なっていた。また,本件酒気帯び運転によって直接原告の業務や本件高校の業務に支障が出たり,学校園の管理作業員としての適格性に直ちに疑義が生じたものでもない。そして,同運転は公務上のものでもなく,職場の同僚との会合等公務に関係するものでもなく,私的行為としてなされたものである。

>原告に対して職員の身分を失わしめるという本件処分を科すことは過酷というべきであって,重きに失し,社会的相当性を逸脱しているというべきである

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コメント

あれですね、飲酒運転の問題は早くメーカーさんに頑張ってもらって、短期的には、酒気帯び状態ではそもそも運転できないシステムを開発する、長期的には、自動運転システムの導入で、解決できるのを待ちましょう、という感じですね。

テクノロジーで解決するのが、エコと同じで(これもネットでシニカルに語られるほど軽視してよい問題ではない訳で)一番だと思います。

でも、この問題も難しいですな。度合いにもよりますが、飲酒すると、ほんと人間の運動制御能力はガタっと落ちるので、そこに原理的には凶器にもなりうる自動車運転をあんまりカジュアルにされる判決にしてしまうのも別の意味で問題が生じてくるのは確実な訳で、当該被告人がかわいそうという論理で刑を軽くしすぎると、今度は未来の同種犯罪への誤ったメッセージを与えてしまう訳で、かくも裁きは難しいというお話ですな。

自治体は、職員の不祥事があるたびに具体的な綱紀粛正を対外的に発表しなければならないという強迫観念で行動しているだけで、労働法的な視点は全くないということが、内部にいるとよくわかります。
労働法的な正論を持ち出すと、浮いてしまうのでしょうね。

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