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2009年7月22日 (水)

経済危機に立ち向かう包摂的社会政策のために

去る6月25日付で、日本学術会議の社会学委員会経済学委員会合同包摂的社会政策に関する多角的検討分科会が、標題のような提言を発表しています。

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/Kohyo-21-t79-1.pdf

この分科会のメンバーは次の通りです。

委員長 古川 孝順(連携会員)
東洋大学ライフデザイン学部教授、同大学院福祉社会デザイン研究科委員長

副委員長 大沢 真理(第一部会員)
東京大学社会科学研究所教授

幹 事 岩田 正美(連携会員)
日本女子大学人間社会学部教授

幹 事 小杉 礼子(連携会員)
労働政策研究・研修機構 統括研究員

井上 英夫(連携会員)
金沢大学大学院人間社会環境研究科教授

木下 秀雄(連携会員)
大阪市立大学大学院法学研究科教授

笹谷 春美(連携会員)
北海道教育大学札幌校教授

武川 正吾(連携会員)
東京大学大学院人文社会系研究科教授

橘木 俊詔(第一部会員)
同志社大学経済学部教授

二木 立(連携会員)
日本福祉大学副学長・教授

具体的な提言は次の通りですが、これから始まる選挙戦ではどの政党もこういうしっかりとした政策提言をきちんとふまえて論戦を戦わせてほしいものですね。

>(1) 社会政策の総合的な立案に資する調査審議機関の設置

社会保障を継続的かつ包括的に調査審議し、改革の道筋を明らかにするために、内閣総理大臣の下に、新たに恒常的な調査審議機関を設置する必要がある。その際に、旧社会保障制度審議会がその設置法によって、諮問によらず調査審議を行う任務・権限を与えられていたこと、国会議員や関係省庁の職員を含む委員構成となっていたことは、参考になるであろう。同時に、年金受給者や福祉サービス利用者といった当事者の参加を得ることも、模索するべきである。

(2) 総合的な政策立案の情報インフラとなる統計の整備

国勢調査をはじめ多くの指定統計等が存在しているが、社会政策を総合的に立案あるいは評価していくためのデータ整備が十分ではない。上記の調査審議機関は、集積されたデータの多角的な分析に基づいて審議することが必要である。データが迅速に公開され、研究者の独自の検証(二次分析)も可能にすることが望ましい。

(3) 行政機関のより緊密な連携の必要性

中央政府においては、厚生労働省の局間のより緊密な連携や部署の再編、また国土交通省の住宅関連部局や文部科学省などと厚生労働省との連携が不可欠となる。
地域に展開する第一線機関(労働基準監督署、社会保険事務所、公共職業安定所(ハローワーク)、福祉事務所、保健所、消費者センターなど)のより緊密な連携も検討されるべきである。
緊急対策においてさまざまに設けられた相談窓口を整理し直し、市民にわかりやすく利用しやすい形態にすることが重要であり、民間機関との連携のあり方についても再検討が必要であろう。

(4) 包摂的社会政策の焦点となる具体的な留意点

「失業―雇用政策」「子ども―教育政策」といった単線型の対応では効果は限定的であり、多様な生き方を前提とした「組み合わせ型」が基本となるべきである。「組み合わせ型」とは、最低生活費(現金・現物のフロー)と住宅の保障(現物のストックと現金フロー)を土台とし、その上に必要に応じて就業支援や教育支援、保健医療・介護サービス、福祉サービスなどを積み上げるようなものである。
最低生活費保障では、社会保険に税方式の社会扶助を組み合わせることで、制度からの脱落を防ぐことができる。たとえば、雇用保険と求職者扶助、年金保険と最低保障年金、医療保険と医療扶助、介護保険と介護扶助のような組み合わせが考えられる。
社会扶助には一定の給付条件(資産制限や訓練受講など)は必要であるが、資格要件や手続きをできるだけシンプルにする必要がある。
なお給付ではなく貸付的方法(とりわけ有利子)は、借金を増やして生活再建にマイナスの効果を与えるため、生活費や就業訓練費、教育費にはより適切な方法が工夫されるべきである。

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