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2009年7月 2日 (木)

今年度版労働経済白書のもう一つの読みどころ

一昨日公表された平成21年度版労働経済白書ですが、もちろん、第3章第3節の雇用システムに関するところが一番力が入り、かつ注目を集めるところでもあるわけですが、もう一つ、あまり認識されていませんが、労働経済白書としてはかなり踏み込んで書かれたところがあります。それはマクロ経済に関する記述です。石水さんによれば、労働経済白書がここまでマクロ経済に踏み込んで書いたのは空前絶後だそうで。

たとえば、第2章「賃金、物価の動向と勤労者生活」第1節「賃金、物価からみた我が国経済の展開」の最後のところですが、

>(求められる賃金停滞と総需要停滞からの転換)
今までみてきたように、1990 年代後半以降の賃金、物価の停滞は、我が国における総需要の伸びの弱さによるものであり、貯蓄過剰から生じるところの供給過剰が生じていることによるものと考えられる。企業の積極的な投資環境を整えることで、投資支出が回復してくることが期待されるが、同時に、賃金の拡大に支えられた消費の拡大によって、過剰貯蓄自体の解消に努める必要もあると思われる。さらに、こうした賃金上昇の環境を整えるためにも、雇用情勢の改善に向け雇用対策に積極的に取り組むことが重要であり、雇用、賃金の底堅さを創り出しながら、消費、投資の拡大を通じて、さらなる拡張的な経済循環を生み出していくことが求められる。

とかははっきり賃金上昇による総需要拡大を打ち出していますし、、あるいは同じ第2章の第3節「物価の動向とマクロ経済」の半ばにある

>一方、2008年の動きをみると、貿易サービス収支が急激に減少し赤字となる一方、為替レートは、上述の分析の因果関係とは逆に急激に円高方向へ動いている。このような為替レートの動きは、各国の中央銀行が協調しつつ過去に例のない金融緩和を実施している中で、我が国は金融緩和の余地が限られており、その結果、各国通貨に対する円の価値が相対的に高まったことを反映し急激な円高が生じたと考えられる。このような急激な円高は、輸出主導による経済成長を困難なものとし、我が国の産業の中で比較優位の位置を占める輸出産業に打撃を与え、ひいては我が国経済の生産性を低下させることも懸念される。

とかは、ほとんど「日銀、ゴラァ」の気持ちがにじみ出ています。

そういう読み方もできる今年の白書です、ということで。

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コメント

> 我が国は金融緩和の余地が限られており

と言ってますが、それが日銀の責であるというのは?「余地が限られている原因」から考えないことには…

少子高齢化というと年金に焦点いきがちだけど

年金が崩壊する前に
既に少子高齢化のせいで日本の労働環境が崩壊してる
今更手遅れ

日本型雇用は昔は上手く行った
人口ピラミッドのときは、若者から薄く広く集めて、中高年に手厚くする年功序列が機能した

しかし、若者の比率が下がって上記方式が困難になった。
そうなるとどうなるか
中高年をリストラして、ピラミッドに無理やり戻そうとしたり
若者から取る量を多くしたり
有期雇用を増やしたり

労働白書からは少子化による労働環境の悪化の視点をもりこんでほしい

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