パワハラと職場の隅に隠れる『ひどいいじめ』」
本日、日経BizPlusにアップされた丸尾拓養氏の「法的視点から考える人事の現場の問題点」、今回は「パワハラと職場の隅に隠れる『ひどいいじめ』」なんですが、
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/jinji/rensai/maruo2.cfm
たぶん、日経の責任なのでしょうが、ごくはじめの方で
>厚生労働省は、2009年4月6日付で「心理的負荷による精神障害等に係(かか)る業務上外の判断指針」を改
・・・・・・・途切れちゃっています。
是非読みたいテーマであるだけに、残念ですね。早く修復して欲しいですが、その間の座持ちとして、一言二言。
ご承知の通り、昨年度の労働局における個別紛争解決制度では、いじめ・嫌がらせ関係は、相談が32,242件で12.0%、助言指導が997件で12.7%、あっせんが1,340件で15.2%と、年々増加してきています。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/05/h0522-4.html
そして、内容的に見ても、解雇や労働条件引き下げのような「何が起こったか」自体は割と単純明快な事案と違い、そもそも職場で何が起こったのか自体が労働者側の言い分と会社側の言い分が天と地ほどに食い違っていることが多い事例が多いのです。ほとんど「藪の中」。
丸尾氏は冒頭、「特別な事情がある場合に対人関係でのトラブルを理由に労災が認定されるにすぎず、上司の部下に対する一般的な指導が違法となるものではありません。むしろ、上司が部下とのコミュニケーションに過度に慎重となるような誤解は正されなければなりません」と言われているのですが、そもそもひどいいじめだったのか、一般的な指導だったのか自体が外部からは窺い知りにくいわけです。
これは、現にこれだけ多くなっているというだけではなく、これからますます増えていき、しかも解決の方法論がいまだ必ずしも確立しているわけではない、という意味で、これからの大きな課題であることは間違いありません。
(追記)
下のコメントにもあるように、本日未明に修復されていていたようです。
個別紛争事案をいろいろと見てくると、丸尾さんのいう
>現場では「パワハラ」を主張する側に問題があることも少なくありません。自分勝手なことを言ったり、仕事を満足にしていない労働者が、上司から正当な指導を受けているにもかかわらず反抗して、その中で「パワハラ」を口にします。
というのにまさに当てはまる話だなあ、というもありますし、一方、
>実際に起きた事件を見ると、職場の周縁部で「ひどいいじめ」が生じているように思われます。地方の小さな営業所や、比較的高齢の係長がいるような職場です。
というのは大企業の話ですが、中小零細になると、社長、会長御自身が「地方の小さな営業所」長や「比較的高齢の係長」みたいなところもありましてね。
なんにせよ、
>近年は「学校のいじめ」世代が管理職になる時期となり、職場でも同じようなことをしている例もみられます。このような現場では、上司の側に問題行動を起こしているという自覚がないことが少なくありません。
まあ、学校のいじめ自体、いじめが社会問題になるずっと以前から脈々と存在していたわけですから、世代の問題ではないと思いますが、学校のいじめみたいな職場のいじめというのは確かでしょうね。
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リンク先の記事は、7/30 1:00AMには、読めるようになっていました。
田舎だとよくあることなんだと思ってたんですが、やはり悪質化しつつある現象なのでしょうか。
私も、社内での態度について数時間集団で詰問されたあげく、「窓から飛び降りて詫びろ」「飛び降りる振りでもすれば男気を認めたのに」と、よく意味のわからないことを言われたことがあるので、なかなか全体的にも興味深く読める内容だったのですが、
「学校いじめ」の世代が云々というところを読んだときには、そう言えばあの係長は「学校いじめ」のハシリの世代だなぁ、と思い返し、初めて時代性について意識させられました。
最近読んだブログエントリ「和魂と洋才と残業したい人々(下): マーケットの馬車馬」(
http://workhorse.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-207d.html )
に解説されていたように、これまでは、"同僚たちは雇用主に頼らずに「使えない人々」を排除していくしかない。"故の行動なのだろうか、と思っていたのですが、
どうもそれだけではないような感じがしていたので、世代の話でようやく腑に落ちた感じです。
隠れて行われることだけに、解決は容易でない現象ですが、構造が認識できるだけで気が楽になる人間もいるので、こういう記事にも周知の価値はあると思えます。
投稿: khs | 2009年7月30日 (木) 01時29分