正規・非正規二元論を超えて
リクルートワークス研究所の「雇用の在り方に関する研究会」が、去る7月7日に「正規・非正規二元論を超えて-雇用問題の残された課題」と題する報告を出しています。
http://www.works-i.com/flow/survey/koyou_style001.html
座長は佐藤博樹先生、他の委員は、
大内 伸哉 神戸大学大学院法学研究科 教授
神林 龍 一橋大学経済研究所 准教授
野田 稔 明治大学大学院グローバルビジネス研究科 教授
山田 久 (株)日本総合研究所 ビジネス戦略研究センター所長・主席研究員
本原 仁志 (株)スタッフサービス・ホールディングス代表取締役社長 社団法人日本人材派遣協会理事長
大久保幸夫 (株)リクルート ワークス研究所所長
です。
15頁ほどの割と薄いものですが、内容は
テーマ1
臨時・非正規雇用者向けセーフティネット
~所得保障と職業訓練をセットとした仕組みの構築~
テーマ2
常用・非正規雇用者の処遇
~新たな正規社員モデルと能力開発プログラム~
テーマ3
非正規雇用者の契約更新と終了に関するルール
~予見可能な雇止めルールの構築~
テーマ4
登録型労働者派遣制度
~労働者派遣の位置づけの見直しと派遣元・派遣先責任の明確化~
テーマ5
不安定就労者に対する支援
~自立を目指したアクティベーションと生活保障の整備~
と、広範です。
「はじめに」にあるように、
>一般的に、正規雇用と非正規雇用の二極化が進んだと理解されている。しかし、「正規雇用」、「常用・非正規雇用」、「臨時・非正規雇用」と三層化していると考えた方が、雇用構造の現状と変化をよく理解できる。
という認識から、
>こうした雇用の多様化を前提として、それぞれの働き方を選択した人々が、より安心でき、能力向上やキャリア形成など将来に希望をもてる雇用社会を構築していくことを目指した。従来の正規雇用・非正規雇用の両者内の多様化と重複化を前提とし、正規・非正規の二元論的な区分を解消し、両者が連続的に接続された新しい雇用社会の実現を目指した。新しい雇用社会の下では、正規・非正規という言葉も死語になるだろう。
具体的には、①非正規雇用から、従来型の正規雇用や本提言による新しい正規雇用への移行の円滑化(テーマ2、4)、②非正規雇用(有期雇用、登録型労働者派遣)の雇用機会の安定化(テーマ2、3、4)、③非正規雇用における能力や処遇の向上を可能とする仕組みの整備(テーマ2、4)、④雇用の多様化に即した新しい所得保障の仕組みや自立支援の整備(テーマ1、5)などである。
といった提言を示しています。
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