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2009年7月25日 (土)

大学の「職業的」有用性

労務屋さんにもコメントいただきました。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090723大学の有用性

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090724大学の有用性その2

話は下に参考資料としてリンクを張っておいた3年前のれりばんすシリーズのときと大して変わっていないのですが、結局、大学を全部十把一絡げに論じようとするからおかしくなるのだと思うのですね。

まず、理工系の大学教育は技術系の職業の基盤であり、それをきちんと修得することが技術者としての職業生活の出発点のはずですから、それを妨害するような就職活動を規制すべきというのは当然のことだろうと思います。昔は理工系の場合、教授の推薦でというのが就職のメインストリームだったのが、ルールのない形で自由市場化してしまったという実態でしょうから、どういう形が望ましいかは別として、大学教育を妨害しない就職活動の秩序を作り上げていく必要があるでしょう。

逆に、ブンガク系の大学教育にはそもそも職業レリバンスなどという下賤な発想は無いのでしょうから、

http://blog.tatsuru.com/2009/07/21_1120.php(反省しない人々)

学生が大学の授業内容とは関係のない自分の将来の人生のために就職活動を行いそのために大学の授業に出られなくなるという事態があっても、特段文句は仰らないのでしょう。この場合、大学とは一種のカルチャーセンターとして一人の大人が自らの教養を深めるために希少資源としての可処分時間を振り向けるべき一つの選択肢ということになりますから、その選択に国であれ大学であれ、よけいな介入をするなどというのは、まことに不適切ということになりましょう。

で、3年前と同じく、やはり問題の焦点は法学部、経済学部といった「一見」実学風で、実はどこまでレリバンスがあるのかよく分からない、そして現在の大学生の相当量を占めている非ブンガク系文化系学部ということになります。いったい、こういった学部で教えている中身というのは何なのか?という本質に関わる問いを回避して、この問題に答えることはできないのです。

これは、労務屋さんが言う

>もうひとつは、企業は法学部や経済学部を好んで採用し、教育学部や文学部はそれほどでもない、という傾向が明らかに見られることです

という現象の規定要因は何なのか、ということとも絡みます。

法学部や経済学部で実際に勉強したことなのか、というと多分そうではなかろう。労務屋さんは「リーガルマインド」「実証研究の考え方」といわれるわけですが、本当にそうなのか。それとも(大学入学時点で、ブンガク部などではなく)法学部や経済学部を選択したという事実に示される人生への姿勢なのか?

と、書いてくればくるほど、これは3年前のレリバンス論の二番煎じ三番煎じだなあと痛感します。

(参考)

本ブログにおけるレリバンス論の経緯は、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/04/post_c7cd.html(哲学・文学の職業レリバンス)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/04/post_bf04.html(職業レリバンス再論)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/04/post_722a.html(なおも職業レリバンス)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/04/post_c586.html(専門高校のレリバンス)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/post_8cb0.html(大学教育の職業レリバンス)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/vs_3880.html(爆問学問 本田由紀 vs 太田光)

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コメント

”野球部の職業レリバンス”なんていうエントリもあったんですね。未読でした。


「雇用大崩壊」をお書きになった先生?が
大学新卒の内定率の悪化についてお書きみたいですね。
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20091006
他)


http://www.sankei-kansai.com/2009/10/20/20091020-015921.php

大阪府立大学のニュースで
”経済学部のほか、人間社会学部、看護学部を廃止して理工系、生命環境系、健康保健系、現代システム科学系(いずれも仮称)の4学部に再編する。”
という計画があるらしいというのを伺いました。
看護学部は保健系に移るものと推察されますので
”「一見」実学風で、実はどこまでレリバンスがあるのかよく分からない、そして現在の大学生の相当量を占めている非ブンガク系文化系学部”
の廃止を狙っているということになるのでしょうか。

http://b.hatena.ne.jp/entry/jbpress.ismedia.jp/articles/-/4183

当然観測範囲には入っていらっしゃると思いますが

http://togetter.com/li/101819
興味深いですね。
ふりーどまんもどきのexit (without voice)と見ることもできますし極論的主張と根拠として挙げているモノとの結びつきのいつもの薄さの一例とか

このブログを読んでると哲学科と理学部工学部を一緒にするような議論には、それなりの態度で向かえるのですが……

些細なことかもしれませんが、
これまでの議論で抜け落ちている学問分野があると思います。


1、実学でない理学系
理論物理・地球科学・(古典的な意味での)動物学植物学人類学

東大学内では就職活動における理・工格差が言われています。
つまり、実学は工学部や農学部、薬学部で十分に行われており、
理学部で行われる研究は例えそれが科学のメソッドで行われていて「自然」を対象としたものであっても、
当該分野での学習を直接生かせる就職先は基本的にアカデミズムの世界以外にはありません。


2、科学の手法をとる従来文系とされてきた分野
心理学(・社会学)

系をだいぶ単純化した形ではありますが、実験や統計を用いた研究が定着しています。
系が単純化されてはいるが、科学的手法を重要視する点では、上記の1であげた分野における地球科学や古典的な生物学に近いのですが、
そもそも専門として志向する学生の大学入学時点での数学や理科の習熟度が低いためか、
職業的レバレンスの観点からの一般的な扱いは、1の分野よりも低く見られているように思います。

>結局、大学を全部十把一絡げに論じようとするからおかしくなるのだと思うのですね。

とすると、
理系、実学(?)文系、非実学文系という論じ方は限界があまりに「早い時点で」あらわれるように思います。
本田さんがこの議論にのっかってこないのも、
彼女の専攻が社会学であることから必然であるように思います。

>実学は工学部や農学部、薬学部で十分に行われており、

http://from-toyama.jugem.jp/?eid=376
”薬学部6年制の就職活動”

「企業でへの就職で内定が出ているのに、6年生の夏ごろから病院や公務員の就職活動をして、引き続き研究室に来ないで、そちらも内定をもらって、さらに、驚いたことに秋口には薬局への就職活動していて・・・

結局のところ、研究したのは3カ月もない・・・と、その知人は言っていました。
さらに、その知人の愚痴が最高潮になったのは、その学生が、『就職活動っていえば、研究室休めるから、とにかく企業から始まって、ずっと就職活動しとけ』と、大きな声で研究室で後輩たちに教えているのを聞いてからみたいです。」


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