アーベルスハウザー『経済文化の闘争』
三連休のじっくり読書用の本。大きくいえば、「資本主義の多様性」の一環なんですが、著者はドイツの経済史家で、ドイツ型経済モデルを中世にさかのぼる歴史的パースペクティブの中に位置づける手際がとても興味深いものがあります。
http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-040246-0.html
>経済文化の闘争 資本主義の多様性を考える
ヴェルナー・アーベルスハウザー, 雨宮 昭彦 訳, 浅田 進史 訳
>内容紹介
19世紀後半にドイツとアメリカで誕生したニュー・エコノミー.ライン資本主義(ドイツ型団体調整的市場経済)の特質を,アメリカ型自由主義市場経済と比較しながら紹介する.自由主義市場経済への収斂化に警鐘を鳴らし,「資本主義の多様性」の必然性を論じる
>主要目次
I 生きている過去
1 「歴史の終わり」を超えて
2 ライン資本主義の栄光と悲惨
II ポスト工業的経済制度の温室
1 自由主義的生産体制から団体調整的生産体制へ
2 ドイツ経済の社会化モデル――イギリスとの比較
3 二つのコーポラティズムのはざまの利害政治
III フォーディズムの試練――20世紀の団体調整的市場経済
1 団体調整的市場経済の生産体制
2 アメリカの挑戦
3 共同決定――エージェンシー問題解決への独自な道
4 生産的秩序政策としての社会的市場経済
IV 21世紀への多様な道
1 目標への多様な経路
2 「経済の奇跡」という時代錯誤
3 団体調整的生産体制の強みと弱み
ライン資本主義と経済文化の闘争――訳者解説
アーベルスハウザーにとっては、戦後西ドイツの経済成長は、アメリカ流のフォーディズムを押しつけられながらもそれに抵抗してドイツ流を維持したから達成されたものであり、これからもますますドイツ流で行かなければならない、という強い信念がこの本を彩っています。
私にとっては、いわゆるライン型資本主義モデルが中欧の中世社会に起源をもち、19世紀末の新産業革命期に始動したものであるという歴史観は、大変納得のいくものでした。
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