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2009年7月 7日 (火)

『POSSE』第4号つづき

Hyoshi04 ようやく『POSSE』第4号が届きました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/posse-fb68.html

日曜日のエントリのつづきです。

木下武男さん作成の論壇MAPをめぐるインタビューは、これはほんとにおもしろいですから是非お読みください。

で、その次には、

C1a90adae4aa784b160293a53c6e2304 座談会「「ニート論壇」って言うな! ~「セカイ系」化する論壇か、論客の「精神の貧困」か~」

杉田俊介(有限責任事業組合フリーターズフリー)×増山麗奈(超左翼マガジン『ロスジェネ』編集委員)×後藤和智(『おまえが若者を語るな!』著者)

が載っていますが、これがなんともはや。

POSSEのHPでは、

http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/5c4a8ed976fc659a41d7a17400c45180

>そしてもう一つ、座談会「「ニート」論壇って言うな! ~「セカイ系」化する論壇か、論客の「精神の貧困」か~」も要注目です。本企画では、超左翼マガジン『ロスジェネ』から増山麗奈さん、『フリーターズフリー』から杉田俊介さん、そして「俗流若者論」批判で著書をいくつか出されている後藤和智さんにご参加いただき、批評的・思想的な立場から「格差論壇」を論じていただきます。

とさらりと書いていますが、全く噛み合わないどころか、スノーじゃないけどこりゃもう「二つの文化」かという感じ。最後はもう完全に喧嘩モードです。

正直いって、30代半ばの杉田氏と増山氏には、全然言葉が通じない感覚。20代半ばの後藤氏の言ってることがすっと入ってくるのと好対照。

こんな具合です。

>後藤:・・・というのも社会問題の原因や対策を実存やアイデンティティの問題に求めすぎて、結局そのような問題を設定した人間が、自分こそが現実を知っている、若者を理解しているという態度になってしまうという傾向は以前にも見られたわけです。具体的には宮台真司さんですね。経済だとか構造的な問題をどう解決するのかというところには触れないで、アイデンティティ的な対策ばかりを講じるわけです。

後藤:いま、格差をめぐる議論に求められているのは、ある程度最大公約数をとれば労働法や制度、経済学的な側面の問題というところにあると思います。

増山:今出てきている話は労働とか福祉の話だけど、お金さえあれば生きていけるのかっていうとそうではなくて食うものが今後なくなりそうだという話があるじゃないですか。たとえば、もし国から毎月15万円もらったとしても、18万円でりんごが売ってたら生きていけないわけですよ。・・・だからまず。正社員でお金持ってて家があって車があって庭があってっていうそういう生活が一番豊かだという感覚をまず捨てないとあかん。

増山:あと宗教について話したいんです。現世欲ばかり膨らませて消費させるのが今の資本主義ですよね。

後藤:オルタナティブとかいろいろな話が出た中で申し訳ないですが、お二人の言っていることに、制度的・経済的な側面の具体的な像というのが私のはあまり見えてこないんです。そのような問題意識を持たないような人たちに、今おっしゃられたような理念をどう働きかけていくのでしょう。

こういう調子でやりとりしているうちに、ついに杉田氏がキレかけます。

>杉田:だから他人へ要求ばかりせず自分で戦略的に働きかけろって。お勉強して政策提言だけしていればあとは何もしなくていいわけ?同時に問え、と僕は繰り返すしかない。一つ言えるのは、生存に必要な金や住居の再分配を政府に要求することはもちろん大事だけれども、富裕層のみならず、当事者こそが権利意識の増長や要求感覚にうんざりしている面もある。

後藤:新しい「何か」を創造する必要性は分かります。しかし、そもそも既存の手法を活用できているのかと思います。たとえば労働法です。まずはその適切な運用を企業に求めたり、学校に知識、実践のための教育を求めていくべきではないかと私は思うんです。

杉田:どうも最初から最後まで後藤さんの議論の背景がよく分からないな。僕は他人じゃなく自分の議論が取りこぼす盲点が気になる。自分の足下を顧みずに、他の誰かを排除しながら饒舌にお喋りできているんじゃないか。・・・ある問題を「経済学」や「実証性」の許容範囲でしか考えたくない傾向、人生の無限に多様な諸問題を軽蔑し切りつめる傾向には、抵抗し迎撃せざるを得ないだろう。

後藤:私はどこかで切りつめていくことが必要じゃないかと思います。むしろ経済学とか労働法とかの側面でできることを考えた方が問題解決には効果的でしょう。

杉田:さっきから後藤さんは執拗に「全く見えてこない」と繰り返すけどさ。それは君が「見ようとしない」「見たくないものを見ない」だけじゃないのか。・・・繰り返すけど、そうやって他者の現実を切りつめて恥じないこと、自分の言動の自己矛盾を自覚すらできないこと、それこそが絶対的な「精神の貧困」じゃないのかい?

こうなると、後藤さんはもはやつきあってられないと撤収準備にかかります。

>後藤:すみません、私は精神も貧困ですし、出版界や同人界の隅っこで皆さんが客観的に物事を考えられるための手がかりやそういうツールを皆さんに細々と提供し続けていきます。それで皆さんがある程度政策を構築していただくときにお役に立てれば幸いです。 精神は「貧困」なままでいさせてください。以上。結局みなさんとは認識はあまり共有できないと言うことが分かりました。

杉田:悲しいよ。いや、後藤さんとも何かを共有できる。いつか君も僕も自分に必要なやり方で「精神の絶対的貧困」を少しはましにできるって信じるよ。

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コメント

この杉田という人物は何を論じたがっているのか、何を問題にしているのか何度読み返してもよくわかりません。社会制度に問題があることなど議論の余地もなく明らかなのに、杉田がそこに触れることを回避する理由は何でしょう。

いずれにせよ杉田俊介の間抜け振りがよくわかる引用で、濱口先生の指摘はお見事でした。

後藤さん以外は精神論的雑談をしたいわけですか?

杉田さんは…よくわかんないな。どうしたいんだいこりゃ?

買わないで済みました。ご紹介ありがとうございました。

そういう反応は困ります。
論壇MAPのインタビューは買って読むだけの値打ちはあります。
五十嵐仁氏のインタビューにも、違った形で私の名前が登場したりしていて、なかなか一興ですよ。
ロスジェネ鼎談も、上に引用した部分以外もなかなか凄まじいものがあり、話のネタに最適です。

>杉田:悲しいよ。いや、後藤さんとも何かを共有できる。いつか>君も僕も自分に必要なやり方で「精神の絶対的貧困」を少しは>ましにできるって信じるよ

って所がなんというか・・
lenazoさんがおっしゃられるように
>杉田がそこに触れることを回避する理由

というのが、精神的貧困さえ変えればなんとかなると本気で考えているってことなんでしょうかね・・

初めまして

なかなかかみ合わない話し合いですね(笑)
私も後藤氏と会って話したことがあるので、杉田氏のいらだちは何となくわかります。
あのかみあわなさ、のれんに腕を押したような感覚、無力感の反動で私は今ガンガンガンガン若者支援の団体や活動に行っています。
先日は有機水田の草取りを若者と集って行うというイベントに参加し、近隣の若者の問題点がわかりました。
その草取りは農作業で婚活というものでしたが、参加した40人くらいの若い男女は婚活以前に人のつながりがない砂漠のような環境で生きているのではないか、などとも考えました。
今後はその感覚の実証的研究と支援策を全力で考えていきます。

そういうわけで私の今の合い言葉は「後藤に追いつけ追い越せ!」で、とりあえず住んでいる新潟のあちこちの若者支援集まりで話しています(笑)
杉田氏にも会いたいわ♪

濱口さんの過去の『世界』投稿論文、熟読させていただきます。

ついか

私は東北大学文学部出身なので法律がわからず、今これから1からやらないとと思っています。
あと統計調査がわからないとどうしようもないのでその勉強も。
後藤氏は大学が同じなので引きつけられるところもありますが、逆に納得がいかないところもあります。
…が、我が文学部社会学研究室が(私は史学科ですが)象牙の塔的学問で、分野が全く違う後藤氏の方が社会学的研究では知名度が圧倒的に上がってしまったという学問の世界の失墜のようなものは感じます。

ようこそ、ナカヤマサチヨさん。私は残念ながら(幸いにして?)後藤氏とも、杉田氏ともまったくお会いしたことはありませんので、「あのかみあわなさ、のれんに腕を押したような感覚、無力感」といわれても、なんとも言いようがないのですが、少なくとも文字に起こされたやりとりだけでみると、「なんともはや」という感想になるわけです。

トラバは来ていないのですが、リンクが張られていたので気がつきました。POSSE第4号「何ともはや」鼎談へのコメントが、「緑町日記」さんのブログにありましたので、ご紹介まで。

http://midorinocho.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/posse-vol4.html

>左を自認する人間であっても、心に「労務屋」を飼っておくのも必要だろう。自己内の対話という奴である。


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