OECDベイビー&ボス総合報告書
明石書店から、『国際比較:仕事と家族生活の両立 OECDベイビー&ボス総合報告書』が刊行されました。高木郁郎先生監訳で、熊倉瑞恵さん、関谷みのぶさん、永由裕実さんの3人で翻訳されています。
まだ明石書店のHPには載っていないので、左の写真はOECDの原本です。向こうで赤ちゃんを抱いた夫婦が何か喋っていて、こっちではお姉さん(?)らしき女の子がまじめな顔でペンを咥えながらコンピュータに向かってなにやらお仕事をしていますね。
この「ベイビー&ボス」シリーズ、3カ国ずつまとめた報告書が4冊出され、そのうち2つめの「日本・オーストリア・アイルランド」編は、すでに2005年に同じ明石書店から翻訳が出されています。
こちらも高木郁郎先生監訳で、翻訳は麻生裕子さん@連合総研、久保田喜美さん、松信ひろみさんでした。
これも、スーツにネクタイしめた坊やがなにやらメモをもってコンピュータに向かってますね。これは各国版4冊共通のデザインです。全体版は女の子に変わったわけです。
てな話はどうでもいいんですが、
仕事と家族生活の適切なバランスを見出すことはすべての親たちにとっての課題である。 OECD諸国の多くの親たちは、いまある仕事と保育の状況について幸運な状況にあるが、他の多くの親たちはあれやこれやのかたちで、深刻な緊張感にとらえられている。一部の親たちは、(もっと多くの)子どもをもちたいと思っているが、そのための責任と就業とをマッチさせる方法を見出せないでいる。ある親たちは、家族のなかに何人かの子どもをもっているという点では幸せであるが、できるならもっと働きたいと思っている。しかし家族の状態では満足している親も、いまとは異なった時間帯で働きたいとか、労働時間をもっと短くしたいと思っているかもしれないが、実際にはそうしてはいない。それには、賃金の引き下げを受け入れる余裕がないとか、自分の職業上の未来を危険にさらしたくないといった理由がある。
親たちが自分たちの望む仕事と家族生活のバランスを達成できない場合には、本人の福祉が低下するだけでなく、親たちの労働供給が減少するために経済発展もまた阻害される。出生率の低下は将来の労働力供給に影響を与えるし、社会保護システムの財政面での持続可能性に影響を与える。親としてのあり方は子どもの発達と、その結果としての将来の社会の形成に決定的な意味をもっているから、政策担当者たちは親がより良い仕事と家族生活のバランスを発見できるよう支援したいと思う多くの理由がある。
ベイビー&ボスの検討では、これまでにオーストラリア、デンマーク、オランダ(OECD, 2002)、オーストリア、アイルランド、日本(OECD, 2003)、ニュージーランド、ポルトガル、スイス(OECD, 2004)、カナダ、フィンランド、スウェーデン、イギリス(OECD, 2005)の政策と家族の状況を分析してきた。シリーズの最終版であるこの報告書は、従来の事実発見を総括するとともに範囲を広げて他のOECD諸国をも検討の対象としている。この報告書では、OECD諸国全体の指標にもとづき、親の労働市場と家族の形成についての決定を支援するための税・給付政策、親休暇制度、学童保育支援、それに職場慣行について検証している。
熊倉瑞恵さんは過去数年間わたしが日本女子大学で何回かお話しをさせていただいたとき、そのアレンジ役をしていただいたこともあります。昨年から今年にかけてデンマークに留学されて、日本に戻られたんですね。これからのさらなるご活躍を期待しております。
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