連合の政策制度要求
恒例の連合の政策制度要求ですが、本日、2010~2011年度政策制度要求が公表されました。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/kurashi/seisaku/yokyu_teigen2009.pdf
膨大かつ詳細なものですので、ここでは冒頭の「基軸」というところをみておきましょう。
ここも、「世界を混乱に陥れた金融危機」から、「新自由主義の政策がもたらした負の遺産」から、「格差問題に対する政府の姿勢」と、現状と課題がるる書かれていますが、それはリンク先を読んでいただくとして、5つの基軸という形で提示しているところが、中身は目新しいわけではありませんが、興味を引きます。
>第1は、「連帯」である。社会は国家と個人、企業と個人という二極で成り立っているわけではない。家族、地域共同体、労働組合、NPO、各種団体、政党などさまざまな中間組織が市民社会、健全な民主政治を支えている。これまでの市場原理主義指向の中で、企業においても、個人の価値や能力も市場価値で測定するという風潮が広まった。雇用関係、労働関係の個別化、個人化も進んだ。英国の著名な社会学者であるロナルド・ドーア教授は、これを「市場個人主義」と呼んでいる。「市場個人主義」とは、自己の経済的利益のために働くという論理のことで、「自立自助」「自己責任」「依存排除」「選択の自由」といったフレーズに共通する思想である。しかし、市場個人主義からは、ぬくもりのある社会は生まれない。「お互いさま」という、協力原理を社会の中心に据えることが重要である。
第2は、「公正」である。市場原理主義が生み出したのは、格差の資本主義であった。今、転換すべきは、公正な資本主義である。健全な市民社会は、層の厚い中間層で成り立っている。この中間層が、雇用社会を支え、社会保障を支え、消費の主役であった。格差の拡大は、富める人と貧しい人を作るだけでなく、社会を支える人と社会から支えられる人を固定化し、二極化社会を作ることになる。もう一度日本を、厚みのある中間層の国にしなければならない。そのためには、税・社会保障を通じた「公正」な所得再分配の強化、労働分配率の向上、教育の機会均等保障、さらに「公正」で透明な企業間取引などが不可欠である。
第3は、「規律」である。倫理無き、欲望の追求が未曾有の金融危機を招き、世界経済を混乱に陥れた。新自由主義思想は社会にとって必要な規律までをも脇に押しやってしまった。法的規制だけではなく、社会、市民による監視機能、企業や組織の倫理的行動を呼びさます必要がある。今回の金融危機を教訓として、こうした根本的な混乱を再び起こすことのないよう、緩和ではなく、必要な規律を政策体系に組み込むべきである。適切なワークルールの設定、従業員を含むすべてのステークホルダーとの信頼関係の構築による倫理的な企業行動の追求、規制逃れの防止、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を促す仕組みづくりが求められる。
第4は、「育成」である。日本を、金融主導のマネー経済ではなく、ものづくりと産業技術力を重視した経済にしなければならない。公正な処遇と人材育成という視点を欠いたまま雇用形態の多様化を先行させたことが格差社会の大きな要因にもなっている。のみならず、それが、労働者の不満を高め、職場を分断化し、個別労働紛争を増加させている。これまでの企業行動は、雇用削減、総額人件費抑制のバイアスがかかり、人材育成という理念、戦略が軽視されてきた。労働の価値を置き去りにした低価格志向社会への暴走も人材軽視に拍車をかけてきた。競争を通じて、安くて、良い商品やサービスを提供することは市場経済システムのプラスの側面である。しかし、不当な安値競争は、そこに働く労働の価値そのものを損なうことになりかねない。市場競争においても、労働の価値を適切に評価し、不当な価格ではなく、労働の価値が正当に評価されねばならない。
第5は、「包摂(インクルージョン)」である。失業、低所得、健康の悪化、家族の崩壊などの問題は、根本的原因まで遡らなければ真の解決にならない。すべての人が、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を求める権利を有している。社会参加にあたりハンディのある人には社会的支援が必要である。また、あらゆる面で再挑戦の機会が与えられなければならない。職業を必要としている人々には訓練の機会と、その間の生活保障を、そしてより質の高い雇用機会を提供する等、雇用と生活、健康、安心、安全のためのセーフティネットが張り巡らされた社会的、地域的サービスが提供されなければならない。社会的に様々なハンディのある人々が孤立し、排除されるのではなく、すべての人々を社会的に支え合い・包み込み、ともに活きる社会を実現する社会的「包摂」の政策理念を追求すべきである。
併せて、2010年度の重点政策も公表されています。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/kurashi/seisaku/jyutenseisaku2010.pdf
8分野の「重点政策」はいろいろと書いてありますが、「最重点運動課題」はこの3つだけということです。
>(1)労働者保護の視点での労働者派遣法改正の実現、非正規労働者の就労支援・能力開発の強化、雇用安定と均等処遇の確保
(2)労働者の雇用安定・能力開発、連合の「180万人雇用創出プラン」実現や「ふるさと雇用再生特別交付金」等の活用を通じた雇用創出
(3)長時間労働の抑制などによる働き方の見直し、子育て基金(仮称)の創設等による包括的な次世代育成支援の拡充を通じたワーク・ライフ・バランス社会の実現
やはり、連合は労働団体なのですから、「エコ」もいいけど、やはりそういうもんでしょう。
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