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2009年6月 5日 (金)

生産性新聞「今後の雇用政策のあり方」

日本生産性本部の機関紙「生産性新聞」の6月5日号が「今後の雇用政策のあり方」というタイトルで、わたくしとみずほ総研の堀江奈保子さんのエッセイを載せています。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/seisansei0605.html

短いものですので、全文をここにのっけておきます。

>現在、日本の雇用政策は何回目かの転換の時期にある。1990年代後半からの「市場主義の時代」からの転換である。しかし、転換した先にどういう時代に向かうのかは、未だに明確なイメージが確立されているとはいいがたい。まず、これまでの日本の雇用政策をおおむね20年ごとに時代区分してみよう。

 疾風怒濤の時期を過ぎ、春闘と生産性運動で幕を開けた1950年代半ばから1970年代半ばまでの20年間は、すでに忘れている人も多いかも知れないが、職種と職業能力を基盤とする西欧型の近代的労働市場の確立が目指された時代であった。当時、同一労働同一賃金を掲げていたのは経営側であり、労働側は職務給に否定的であった。政府は企業横断型労働市場の確立を目指して、公的職業訓練や技能検定制度、広域労働移動の促進とそのための住宅整備などに取り組んだ。臨時工や社外工といった不安定雇用問題が大きな関心の対象となった。

 ところが1970年代半ばから1990年代半ばまでの20年間は、企業や政府も日本的雇用慣行を高く評価するようになり、雇用維持や企業内訓練への助成金が政策の中心となった。男女平等政策の裏側で、非正規労働者への政策的関心は顕著に失われた。やがて1990年代半ばから新自由主義的な思想が席巻し、政策の基調は規制緩和と労働の流動化におかれたが、非正規労働の柔軟化ばかりが進み、正規労働の柔軟化は遅れた。このアンバランスが噴出したのが2000年代半ばであり、ここ数年非正規労働者の悲惨な実態が報じられるにつれ、労働再規制の傾向が強まっている。

 ここで考えるべきことは、市場主義からの転換の先にいかなるシステムを構想するかである。80年代型の企業主義に戻るのか、60年代型の近代主義に戻るのか。これは雇用政策だけではなく、社会保障政策や教育政策、住宅政策など広範な政策領域に大きな影響を与える。企業主義ならば、労働者の生活保障の大部分は企業に依存することになるが、近代主義ならば企業よりも国の責任が重くなる。転換点直前の1974年の労働白書(田中博秀編)は、年齢に応じて増加する生計費を年功給ではなく社会的に支える仕組みを提起していた。

 今日政策課題として目の前にある非正規労働者や社会的セーフティネットの問題は、このシステム構想の一環である。非正規の正規化といったときにどういう正規労働モデルを念頭に置いているのかが問われなければならない。問題の焦点はそこにある。

 企業中心社会への反発が過度な市場志向をもたらす原因でもあったことを考えれば、また労働者の利害の個別化や、差別問題への感覚の鋭敏化といった社会の流れは逆転するどころかますます進行するであろうと考えられることからすれば、単純な内部労働市場志向政策が適切であるとは思われない。一方、職務給や職種別労働市場の形成といった半世紀前の理想がなぜ現実化しなかったのかという問題に正面から取り組むことなく、漫然と外部労働市場中心の社会を掲げてみても、実現への道筋が見えてくるわけではない。

 いまこそ次代を作る具体的な構想力が求められている。

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