社会の安全と不安全
これは、題名からはなんだか「セコムしてますか?」みたいな本という感じを受けますが、いやいや、まさに社会保障の根本的な議論なんですよ。
>社会の安全と不安全
――保護されるとはどういうことか――
<同志社大学ヒューマン・セキュリティ研究叢書>
ロベール・カステル著/庭田茂吉/アンヌ・ゴノン/岩﨑陽子訳
http://www3.kcn.ne.jp/~kizasu-s/pages/kikanzenbu/kikansorezore/huanzen.html
>国家による保護システムの弱体化が世界的規模で顕現する今日,その再編成に向けて,「社会的所有」あるいは「集団的保護」の観点から,現実的かつ具体的に問題の所在を解明。フランスで理論・実践の両側面で注目される社会学者の本邦初訳。
ロベール・カステルって、なんだかフランスの労働社会問題の議論によく出てくる名前ですが、邦訳されるのはこれが初めてでしょう。
原題は、
L'Insécurité sociale : qu'est-ce qu'être protégé ?
セキュリテ・ソシアル(社会保障)に否定の接頭辞をつけてアンセキュリテ・ソシアル(社会不保障?)というのは、多分造語なんでしょうね。
こういうひねった題名が好きな方らしく、他の著書も、
Le Psychanalysme, 1973
L'Ordre psychiatrique, 1977
La Gestion des risques, Minuit, 1981
La Société psychiatrique avancée, 1979
Les Métamorphoses de la question sociale, une chronique du salariat, Fayard, 1995
Propriété privée, propriété sociale, propriété de soi (avec Claudine Haroche), 2001
L'Insécurité sociale : qu'est-ce qu'être protégé ?, Éd. du Seuil, 2003
La discrimination négative, 2007
La montée des incertitudes : Travail, protections, statut de l'individu, Ed. du Seuil, 2009
といった感じです。
この「社会問題の変容」は、水町勇一郎先生がよく引用されている本ですね。是非どなたか翻訳していただけるとありがたいです。
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ロイック・ヴァカン『貧困という監獄』
を読んでいるのですが、
「社会問題におけるセキュリティという単語が社会保障でなく、警察による警備・保安・治安を示すものになってしまった」(大意)というフレーズが出てきたのを連想しました
投稿: 匿名 | 2009年6月22日 (月) 19時20分
横のものを縦にする段階が終わり、いま日本語のブラッシュアップ中です。だいぶん日本語らしくはなってはきていると思うのですが・・・。
投稿: なかのひと | 2009年10月26日 (月) 12時45分
順調にいくといいですね。
http://canpan.info/open/news/0000004119/news_detail.html
投稿: 匿名希望 | 2009年10月27日 (火) 07時49分