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2009年5月31日 (日)

人生前半の社会政策としての教育政策

つい先日まで、有害情報やら生活習慣の乱れやらで小中学生に携帯電話を持たせないことに熱中していた教育再生懇談会が、

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku_kondan/houkoku/singi-matome.pdf

5月28日の第4次報告では、突如として

「教育安心社会」の実現-「人生前半の社会保障」の充実を-

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku_kondan/houkoku/singi-matome4.pdf

と言い出したようです。ようやく教育問題が空中ふわふわ観念論からまっとうな社会政策に移ってきたようで、心から敬意を表したいところです。

基本的視点として、

>○ 国民が安心して生活を送ることができる社会を実現するためには、全ての子供たちが安心して教育を受けることができる社会を構築することが不可欠。

○ 現実には、我が国では教育費(特に就学前と高等教育期)の私費負担が大きく、家庭の所得水準によって進学機会や修学の継続に影響(格差の固定化・再生産)。

○ 我が国の将来の発展や少子化対策のためにも、「人生前半の社会保障」であり、成長に向けての投資である教育の充実を図り、家庭の教育費の負担軽減を図ることが必要。

○ 保護者が安心して地域の学校に通わせ、「読み・書き・計算・英会話」の力を確実に身に付けることができるよう、教育再生を「ビジョン」から「実行」の段階に進め、学校教育への信頼を回復することが必要。

○「教育安心社会」の実現に必要な安定的財源を確保しつつ、社会総がかりで取り組む。

具体的取り組みとしては、まずなによりも「保護者の教育費負担の軽減方策の確立」として、

>・ 幼児教育の無償化の早期実現を目指し、当面、幼稚園就園奨励費の拡充など家庭への経済的支援を充実。

・ 小中学校の児童生徒に対する就学援助を充実し、自治体の財政力によって差が生じないよう、財源措置等の在り方を含め、就学援助の新たな仕組みを検討。

・ 経済的に困難な高校生に対し、授業料減免措置の拡充や奨学金の充実を図るとともに、これらとの関係も含め新たな給付型教育支援制度(高校版就学援助)の創設を検討。

・ 高等教育に対する授業料負担の大幅軽減を目指し、公的支援の拡充を図るとともに、授業料の減免措置を拡充し、給付型奨学金を充実。

後ろのほうに、やや説明的な文章が「審議のまとめ」として載っています。

>しかしながら、現実には、我が国では家庭における教育費の負担は諸外国に比べて重く、特に、公的支援が少ない就学前の時期と高等教育期における教育費の私費負担は極めて大きく、看過できない水準にまで至っている。収入が比較的少ない若い世代にとって、幼稚園や保育所などの就学前教育を受けさせることは、経済的に大きな負担である。また、大学に進学する年代の子供がいる標準的な世帯で、子供二人が同時に大学教育を受けた場合、その費用負担は平均年収から税や公的年金等を除いたうちの約1/3を占めるなど、家庭の負担は限界に達していると言える。

このような状況の中、子育てや教育のために多額の費用がかかることを理由に子供の数を制限する人が多いなど、教育費負担が少子化の要因の一つになっているとともに、家庭の所得水準によって進学機会や修学の継続が左右されてしまうという事態を招いている。

また、公教育への不信が根強い中、家庭の経済状況の差によって、塾や習い事など学校外での学習を受ける機会に差が生じるなど、受ける教育の量や質にも差が生じている。
さらに、義務教育段階では、経済的に困難な家庭に対しては就学奨励を目的とした援助が行われているが、財政状況が厳しい中、地方自治体によって支援の格差が生じており、また、高等学校段階では、こうした修学援助のための支援制度が十分でないため、進学や修学の継続に困難を来しているという状況がある。

一方、文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査では、就学援助を受けている児童・生徒の割合の高い学校の方が、その割合が低い学校よりも平均正答率が低い傾向が見られるなど、親の経済的な状況が子供の学力に影響を与えているという状況も生じている。

親世代の経済的な格差が、子世代が受ける教育の格差に結びつき、その結果、格差の固定化・再生産を生み出すという事態を絶対に生じさせないよう、全ての子供たちが家庭の状況にかかわらず、それぞれの意欲と能力に応じて希望を持って教育を受けられる機会をしっかりと確保するため、着実に手を打っていくことが必要である

>次代を担う子供たちの教育は、安心社会の実現のための基盤であると同時に、将来の我が国の成長のための投資である。我が国の社会保障は、諸外国と比べ、高齢者関係の比重が高く、その見直しの議論も高齢化の進展に伴う負担増にどう対応するかが中心になりがちである。しかし、我が国の将来の発展や少子化対策のためにも「人生前半の社会保障」として、また、成長に向けての投資でもある教育の充実を図り、幼児教育期から高等教育期に至るまでの家庭の教育費の負担軽減を図っていくことが、今まさに我が国に求められていることである。「人生前半の社会保障」の充実・強化は、北欧諸国がそうであるように、人生のスタートラインにおける個人の平等に資すると同時に、将来世代の潜在能力を高め、高い国際競争力や経済活力の基盤強化にもつながるものであり、これまでの我が国の成長が教育によって支えられてきたことを、今一度銘記すべきである

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コメント

>親世代の経済的な格差が、子世代が受ける教育の格差に結びつき、その結果、格差の固定化・再生産を生み出すという事態を絶対に生じさせない

>「人生前半の社会保障」の充実・強化は、人生のスタートラインにおける個人の平等に資すると同時に、将来世代の潜在能力を高め、

具体的な戦略は何?と突っ込みたくなりますねww<教育再生懇談会。
(1) 教育に金がかかりすぎるのが悪い→だから大学までの学費を全額無料にしましょう、といくのか、
(2)高卒後の進路として職業訓練校を選ぶ子供の比重を増やす(大学学費が無料だから社会人もすぐに大学に戻ることができる)というフィンランド型ヴィジョンで進むのか。

いずれにしろ「高卒後のあらまほしき進路は大学進学のみ」「学校を出たら死ぬまで本を1冊読み切ることが無いのが世間の大半」という意識や実態が変化すればいいでしょうけど;

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