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2009年5月29日 (金)

安心社会実現会議意見集約素案

昨日開かれた安心社会実現会議の資料です。この方向で報告がまとめられるのでしょうね。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ansin_jitugen/kaisai/dai04/04gijisidai.html

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ansin_jitugen/kaisai/dai04/04siryou3.pdf

>こうした中で私たちが目指す安心社会は、まず、「働くことが報われる公正で活力ある社会」である。国民が活き活きと働く機会が保障されることが、社会の活力の根本であり、活力のない社会からは安心は生まれない。安心社会は、決して「いたれり、つくせり」で受け身の安心を誘う社会ではない。国民一人ひとりの、能動的な参加を支える社会である。
またそれは、「
家族や地域で豊かなつながりが育まれる社会」である。人は人とのつながりのなかで安心を感じ、モラルを高め、成長することができる。助け合い、いたわり合い、支え合うコミュニティを持続させていく支援が要る。
国民が安心して働き、生活していくためには、教育・訓練、医療、保育、介護、住宅などの基本的な支えが不可欠である。国民の必要に沿った、質の高い支えをつくりだす上で、国、自治体、民間企業、NPOの連携が求められる。したがって「安心社会」は、「
働き、生活することを共に支え合う社会」である。

スローガンとしては言うことなしですね。

>これは単なる理想の社会像なのではない。21世紀に持続的な経済成長を実現するうえで、まず求められる社会のかたちである。それは、どこか外国のモデルをそのまま移入するものでもない。時代とのずれが明らかな旧い制度を徹底して改革しつつも、日本社会のまとまりをつくってきた安心確保のかたちを、今日にふさわしいかたちで再生させていくための構想である。

このあたりの感覚も実にすばらしい。こういう「地に足のついた理想主義」というのが日本になさ過ぎる。

>今、社会的公正と自由市場経済を新しい次元で統合し、日本型の自由市場経済を構築していくべきである。グローバル時代に見合った新・日本モデルともいうべき、新しい頂が目指されるべきである。それは、官の介入に牽引されるものでも、市場を放任するものでもない。企業と各ステークホルダー(消費者、労働組合、NPO、地域社会)との間での信頼形成とルール創造を基礎とした、節度とモラルのある自由市場経済である。

以下本論に入ります。

まず「雇用をめぐる安心」

>意欲のあるものには働く場があること、能力を発揮する機会があること、すなわち雇用の安心こそが、5つの安心の扇の要であり、安心を活力につなげていく起点である。
日本の活力を生んできた
長期雇用の保障を継承しつつも、雇用を社会全体で支えるかたちを強めていく必要がある。わが国の積極的労働市場政策への支出(GDP比0・3%、2005年)は諸外国に比べて小さい。長期雇用に、中途採用、職業訓練、社会人入学の支援制度などを組み合わせて、一生チャレンジし続けることができる条件づくりを急がねばならない。
失業者や、さまざまな理由で雇用から遠ざかっている人々に対しては、職業能力開発、職業紹介、住宅、生活保護などが相互に連携しながら、社会への迎え入れ(ソーシャル・インクルージョン)を図らなければならない。自治体で質の高いワン・ストップサービスが提供されるように、国は財政的、行政的な支援をするべきである。
真面目に汗を流して働いているのに生活が厳しくなるばかり、ということがあってはならない。
ワーキング・プアと呼ばれる低所得層に対しては、働く見返りを高める仕組みとして、勤労所得に対する給付つき税額控除の導入が求められる。また、非正規労働者への雇用保険、厚生年金、健康保険の適用拡大も必要である。この場合、企業負担の増大に対しては法人税の引き下げなどで調整する。
雇用そのものの維持に不安が拡がる地方では、農業や建設業が、持続可能で環境融和型の仕事(グリーンジョブ)として再生し発展できることが必要である。また、労働力人口が減少する我が国にあっては、今後増加する高齢者が意欲や能力に応じて働くことができるような就労機会を創っていくことが、経済成長の上でも重要である。

給付付き税額控除は子育て支援にもでてきます。

>母子家庭における子どもの貧困率が6割を超えていることは看過できない。人生のスタートラインにおける格差が世代を超えて固定化されることは、日本社会から夢を奪い活力をそぐ。低所得世帯と並んで、子育て世帯に対して給付つき税額控除が導入されるべきである。

教育論も、例の如き空中戦的教育論ではなく、社会政策の観点からしっかりと論じられています。

>将来を担う世代が、様々な変化や困難を乗り越える知識と能力を備えていくことは、安心の源である。教育は、将来に向けたきわめて見返りの大きな投資であり、「国家百年の大計」である。また、機会の均等化をすすめ、個人の努力で階層間の移動を可能にする。しかしながら、日本の公私の教育支出の対GDP比は、4・9%とそれ自体が相対的に低い。さらに私的負担の割合が高く、とくに高等教育の私的負担の支出全体に対する割合は、OECD平均が27%であるのに対して、66・3%となっている。
高等教育では、社会人の学びなおし、生涯学習社会の構築と高等教育との連携、高等教育と雇用をつなげるキャリア・カウンセリングなどの整備をすすめることが、雇用を社会全体で支えていくためにも重要である。
就学前教育は、一生の間さまざまなチャレンジを重ねていく基礎力を形成するものであり、各国でもその効果が指摘されている。生まれ育った家庭における格差を固定化させないためにも、社会保障と教育が交差する領域として、厚労省、文科省の関連組織の一元化を図りながら、財源を確保していく必要がある。

このあたりが麻生首相の最近の発言のもとになっていたみたいですね。

以下、医療、介護ときて、

>以上の5つの安心領域は、雇用を軸として相互に密接に支え合う関係にある。教育の再編による安心強化は、長期雇用を社会全体で支える仕組みにつながり、雇用の安定は老後の安心を高める。雇用の場でワークライフバランスがすすみ、産科、小児科を中心に医療供給が整備されたとき、社会全体での次世代育成に弾みがつく。そして5つの安心領域の交点となる雇用領域で、年齢性別を問わず国民の力が発揮されるとき、安心社会は安定した経済成長の基盤となる。

と、まとめられています。その軸になるのが「雇用」というわけですから、これこそまさに連合の言う「労働を中心とする福祉社会」の構想そのものではないですか。

最後に載っている「取り組むべき優先課題」は、

>・非正規労働者への厚生年金・健康保険・雇用保険適用の拡大
・低所得世帯と並んで子育て世帯、とくに貧困率の高い母子世帯に対する給付つき税額控除の導入
・第二セーフティネット(職業能力開発と一体となった求職者の所得保障)
・高齢者雇用の促進・就労環境の整備
・「安心保障番号制度/カード」(社会保障番号/カード)
・地域医療の再生、とくに二次医療圏における救急体制の整備と当該救急部門のファイナンスの確立
・コミュニティにおける医療・介護連携推進と連動した独居高齢者に対する住宅保障
・就学前教育、育児休業(所得保障)と保育(サービス保障)の総合化
・教育費負担の軽減(給付型奨学金制度の拡充など)
・高等教育における職業適性診断・職業指導(キャリアガイダンス)の制度化など、職業生活移行の支援強化
・改革を着実に遂行するための行政組織の再編・人的資源の再配分

その次に書かれている

>安心社会への改革は、社会保障国民会議で主に打ち出された年金(長寿と老後の安心)、医療・介護、次世代育成の3つの領域に、雇用と教育を加えた5つの領域として示し直された。このことは、必ずしも新たに雇用と教育という2つの領域で改革の重さが増したということにはならない。むしろ、雇用と教育は、他の3つの領域と連携しつつ、安心社会を社会の活性化と経済成長にむすびつける接合点である。

こういうしっかりした哲学的理念に基づいてこそ、省庁再編論議はなされるべきなのでしょう。

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