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2009年5月27日 (水)

フレクシキュリティ

判ってる人も判ってない人も、口々に語る・・・割にあんまり(あるいは全然)理解されてない概念の典型が「フレクシキュリティ」でしょうか。

国会図書館が発行している『レファレンス』誌の5月号(700号目だそうです)に、この3月で退職された柳沢房子さんの『フレクシキュリティ-EU社会政策の現在』が掲載されています。

EUのフレクシキュリティ政策の解説の間に、デンマークのフレクシキュリティとオランダのフレクシキュリティについての大変詳しい解説が入っていて、OECDのセコハン情報だけで知ったかぶったかしているのが多い日本では、とても貴重な論文です。

はじめに

I EUによるフレキシキュリティ政策の採用                    

1 リスボン戦略の決定
2 リスボン戦略の見直し - 積極的労働市場政策重視へ
3 フレキシキュリティ政策の採用

II デンマークのフレキシキュリティ政策                      

1 失業者への所得保障政策
2 生涯教育政策
3 積極的労働市場政策
4 労働法政策
5 まとめ

III オランダのフレキシキュリティ政策                      

1 失業者への所得保障政策
2 生涯教育政策
3 積極的労働市場政策
4 労働法政策
5 まとめ

IV EUでのフレキシキュリティ政策実施の現状                   

1 失業者への所得保障政策
2 生涯教育政策
3 積極的労働市場政策
4 労働法政策
5 まとめ

おわりに

最後のところで、こう語っているのは肉声でしょう。

>同じく「フレキシキュリティ」のモデル国でも、デンマークとオランダの政策形成は異なっている。ただし、両国に共通しているのは、戦後の成長期に豊かな福祉の基盤を形成したこと、その後、未曾有の財政・雇用危機に直面した時期に、政労使が協力して、単なる対症療法ではない抜本的な政策転換を果たしたこと、現在は、教育・職業訓練をはじめとする社会政策を通じてグローバリゼーションに対応してゆける「人」を育てることに重点を置いていることである。また、そうした政策を選択し、政策の行財政にかかわっているのは、自分にとってより良い生活を選択することを教育の中で学ぶ個人と、それらの個々人が労使団体や地域などでさまざまに連帯した組織である。

わが国も、グローバリゼーションに対応でき、かつ、わが国のあり方に合った有効で長期的な構造改革を、危機にあってこそ考えるべきであろう。また、そうした改革に向けて考え、政策選択してゆける個々の「人」を支える社会政策こそが、わが国が学ぶべきフレキシキュリティ政策の核心であると思われる

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コメント

提言:規制改革で成長機会の阻害要因を取り除け=大田弘子教授

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82602420120307?pageNumber=4

隔靴掻痒

”例えば、グローバル化を全面的に受け入れて成長しようとしている北欧諸国は、フレキシビリティとセキュリティを合わせた「フレキシキュリティ」とよばれる労働市場を構築した。柔軟な労働市場と、失業の際の安全網の両立だ。国際競争力を失った企業は一切守らないが、失職した労働者は次の職に移れるようさまざまなかたちで守られる。多種多様なタイプの職業訓練が用意されており、転職は新しい技術を身につけるチャンスでもある。

日本型雇用システムは持続できなくなっているが、では、その後に日本はどんな雇用システムをめざすのか。むろん、北欧諸国と同じモデルを採用する必要はないが、我が国の労働市場におけるフレキシビリティとセキュリティのあり方を労使で正面から議論する時期が来ている。雇用は生活の根幹だけに議論を起こすこと自体難しいが、硬直的な雇用システムを変えないと、企業も社員も国際競争に取り残される。また、正規と非正規の壁を低くすることもできないだろう。”

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