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2009年5月11日 (月)

水町勇一郎先生@ダイヤモンド

Dw_m 今日発売の『週刊ダイヤモンド』が、「大失業減給危機」という特集を組んでいます。この手のおどろおどろしい題名の特集にもいささか食傷気味の感がありますが、内容的にも玉石混淆です。「石」を叩いてみても仕方がないので、ここでは「玉」の方を紹介します。

http://dw.diamond.ne.jp/contents/2009/0516/index.html

連合総研の「イニシアチヴ2009」で2年間ご一緒した水町勇一郎先生のインタビューが59ページに載っています。水町先生とは、若干の点で異論のあるところもありますが、労働法制の多くの点で共感するところの大きい方です。今回のインタビューの中身も、ほとんど同感です。労働問題というと、過激な市場原理主義者がわめきたてるか、悲惨な実態をこれでもかこれでもかと突きつけるという2パターンに陥りがちで、こういう立場の意見はなかなか出てこないんですね。

>非正規問題の本質の一つは、雇用が不安定な状態にあることだ。・・・・・・・従って、雇用の不安定さに対処するには。②のセーフティネットの整備の方が、筋としてはいい。

>今の政府の対応は、①で派遣に一定の入り口規制をかける一方で、有期契約社員の雇用は何ら保護されていないため一貫性がない。・・・・・・政策の方向としては、まず短時間労働者であっても有期契約社員であっても、すべて雇用保険加入義務を課すことで、企業が保険料負担を回避することを抑制する。その際、労働者のモラルハザードを防ぐために、自発的な離職者については、例えば「離職前6ヶ月間に3か月以上の就労が必要」などの受給要件を設定すればいいだろう。

>一方、正社員の雇用は、不安定どころかむしろ整理解雇が難しく、これは先進国の中でももっとも厳しい規制となっている。その理由の一つに、日本では裁判例上「整理解雇の4要件」が設定されていることがある。・・・・・・問題は、この4要件が型にはまった状態で判断されていることだ。たとえば、②の一つとされることが多いのは、正社員の解雇の前に非正規社員の人員整理を行うこと。だが、場合によってはその前に、正社員の時間短縮や賃下げなどの雇用調整を行うことも合理的と考えられる。

私が今まで書いてきたものをご存じの方にとっては、ほとんどちがいが見えないくらいでしょう。あえて言えば、この整理解雇法理が実質的に機能しているのは企業規模が大きい分野であって、中小零細になればなるほど、その効果は小さくなります。そうすると、一般的な解雇権濫用法理は、島田先生の名文句を借りれば「あるようでない、ないようである」ようなものですから、実は日本の労働者のかなりの部分は結構解雇されやすいという状態なんですね。ここは、判例の世界と現場の世界の乖離が大きいところでもあります。

ダイヤモンド誌のすぐ前の54-55ページの「社員を人間扱いしない経営者 容赦ないクビ切りが増加している」というのも、また日本の労働社会の実態でもあるわけです。

>何か言えば、長年あこがれていた仕事をクビになるかも知れない。片岡芳江さん(仮名、30歳)はそう思って、少しくらいの理不尽さには目をつむってきた。憧れ続けてきた映画制作会社に身を置くためには仕方のないことだった。

雇用保険に加入することは会社の義務だ。しかし、片岡さんの勤めていた会社は、雇用保険に加入していなかった。社長に直訴したことがあったが、むっとした表情で、「そんなコストはかけられない」と一蹴された。

・・・2月、突然社長から事業の縮小が告げられ、退職を促された片岡さんはやむを得ず退職することにした。3年8か月務めたが退職金が支給されず、失業給付の受給資格もなく放り出されてしまった。

これもいままで本ブログ等で繰り返してきたことですが、解雇規制の最大の意義は、「VOICE」を確保することにあります。そこを忘れがちな議論には注意が必要です。

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