労働市場における統合と排除
自治労関係の雑誌の『月刊自治研』の5月号に、標題の文章を書きました。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/jichikenhaijo.html
特集は「貧困と社会的排除」で、次のような論文やインタビューが載っています。
http://www.jichiro.gr.jp/jichiken/jichiken_details.html
論文01:貧困・社会的排除・存在証明 ―― 西澤 晃彦(東洋大学社会学部 教授)
帰属する組織と家族をもつこと、そして定住していること、
そのような要件を充たすことで、私たちは「まとも」であった。
貴族証明を喪失したまま、社会の周縁へ追いやられてきた当事者が、
自らの貧困と苦悩を公共空間に提起することの意味を問う。
論文02:労働市場における統合と排除 ―― 濱口 桂一郎 ((独)労働政策研究・研修機構 労使関係・労使コミュニケーション部門 統括研究員)
会社という共同体から排除された、低賃金の非正社員。
人々を救うはずのセーフティネットにも、大きなほころびが見える。
柔軟性と安定性を組み合わせた新たな雇用システムと
労働市場への統合を模索するEUの政策に、新たな解を求めたい。
論文03:母子世帯の子どもの貧困 ―― 阿部 彩(国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部第2室長)
日本の母子世帯の母親のほとんどが「働く母」であるにも関わらず、
その貧困率は66%と、OECD24ヵ国中最悪なのはなぜか。
親の就労・経済状況にかかわらず、子どもが幸せを享受するために
「母子世帯対策」に代わる「子ども対策」の確立こそが急がれる。
論文04:ルポ:派遣切りに立ち向かう市民と自治体―― 北 健一 (ジャーナリスト)
派遣切りにより、次々と路頭に投げ出される非正規労働者たち。
名古屋経済圏を直撃したトヨタショックを受け、
自治体も異例の対応へと乗り出した。
相談窓口や抗議集会を通じて明るみに出された過酷な労働実態と、
そのしわ寄せを一手に引き受ける福祉の最前線からのルポルタージュ。
論文05:インタビュー:貧困があるかぎり、多重債務問題は解決しない!―― 宇都宮 健児 (弁護士・反貧困ネットワーク代表)
生活苦からサラ金に手を出し、生活破綻に追い込まれる人々。
多重債務の救済活動に、30年来取り組んできた宇都宮弁護士が、
なぜ、反貧困運動を先導するに至ったのか。
サラ金被害者支援から、「派遣村」立ち上げに至るまでの軌跡を収録。
最後の宇都宮さんの言葉から、
>30年来取り組んできて思うのは、多重債務問題の背後には、つねに「貧困」があるという現実です。そしてセーフティネットや社会保障の「貧困」が、悪質な民間高利貸しをはびこらせ、大量の多重債務者を生み出してきた。貧困を解消し、生活再建を支えるセーフティネットを強化しない限り、多重債務問題は真の意味で解決しない。
« ILO条約が日本の労働・雇用法制に与えた影響 | トップページ | フランス人は寝てるが、日本人は起きてる »
コメント