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2009年4月29日 (水)

小倉秀夫弁護士の勘違いについて

小倉秀夫弁護士の発言、とりわけ3法則氏の下劣な言動に対する痛烈な皮肉は、ほとんど芸術品の域に達するものといつも感嘆の念を禁じ得ないところですが、とはいえ、勘違いによる発言はそれとして指摘しておく必要があります。

http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2009/04/socialism-for-t.html

知的誠実さとか知的廉直さというのは、その発言者が誰であるかに関わりなく、是は是、非は非ときちんと指摘することであって、誰やらのような露骨な党派性は、結局その信頼性を失わせるだけですからね。

おそらく、小倉弁護士はOECDの仕組みを余りよくご存じないための勘違いだと思うのですが、

>"When people see a trillion dollars being spent to try to bail out the banking system, and then when people are losing their jobs and the government says, well, they can't intervene -- that's socialism for the rich and neo-liberalism for the poor -- and we must not go down that road."

という発言を

>一時期,OECDの見解を盾にとって日本に雇用規制の緩和を迫った経済評論家がいたようですが,France24に掲載されたOECDの見解は重視していただけないようです。

と、OECDという機関自体の見解であると理解されておられるようですが、このリンク先記事にあるように、この言葉を発したのは

http://www.france24.com/en/20090329-g8-labour-ministers-kick-off-social-summit

>said John Evans, the chief trade unions adviser to the Organisation of Economic Cooperation and Development (OECD).

OECDのTUAC、つまり労働組合諮問委員会の委員長です。OECDには労働組合側からTUAC,経営側からBIACというふうに、労使それぞれの意見を吸い上げる仕組みがあります。上の「金持ちのためには社会主義で、貧乏人にはネオリベラリズムか」という批判は、このTUACの見解であって、OECD自体の見解というわけではありません。

いわば、日本でも経済財政諮問会議にちゃんと経団連と連合の代表が出ているならば、その経済財政諮問会議の労働者代表がこういった、というようなものですから、それが直ちに日本政府の見解にはならないわけです。

ただ、(ある面ではネオリベラルな政策を唱道する)OECDという組織がそういうマクロな産業民主主義に立脚する三者構成原則の上に立っているということを、小倉弁護士のような方ですらあまりにも知らないという日本社会の知的欠落点を浮き彫りにしたという意味では、なかなか意味のある勘違いであったといえるのかもしれません。

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