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2009年4月30日 (木)

東京目線の地方分権

2月5日の労働政策審議会の議事録がアップされていました。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/txt/s0205-2.txt

例の地方分権改革推進委員会の第2次勧告について、こういう痛烈な皮肉が語られていました。運輸労連の土屋委員長です。

>たとえば、副知事が地方分権改革推進委員会の委員を務めている東京都であれば、雇用保険を都道府県単位にしても雇用保険料を下げて給付を増やすということは可能なのだろうと思いますが、逆に、例えば私は北海道出身ですが、北海道なり沖縄等々のそれぞれの地域では、逆の現象が起きるのではないかということを大変心配しています。即ち、大都市での企業と労働者の、言い方は悪いのですが独り勝ちを認めて、地方は切り捨てるという印象を拭えないという感じがします。

たしかに、東京都の立場からすれば、都下の大企業が納めた莫大な雇用保険料が田舎の連中の雇用のために使われるのは面白くないのかも知れませんが、それは都道府県を越えた連帯を否定するということになりかねないわけで。

>この間、各分科会において、ハローワークの都道府県の移譲や地方での労働局のブロック化について、疑問や懸念される意見が多くあったと聞いています。しかし、そもそも、地方分権改革推進委員会が、労働行政の最大のユーザーである労使団体からヒアリングをしていれば、この労政審で本当に論議する必要はなかったのではないかということについても、問題意識をもっています。委員会が勤労者や事業者に対して、今次改革がどのような影響を及ぼすかについて把握されてこなかったということについても、疑問をもたざるを得ません。

労使という利害関係のあるステークホルダーの意見に左右されるのはけしからん、真理を知った偉い学者先生とヒョーロン家がすべてを決めるのが正しいという、90年代以来はやりの考え方の一つの帰結といえましょうか。

経営側も、無考えな地方分権論を手厳しく批判しています。

>ハローワークに関しての改革の部分ですが、これはいまの土屋委員の発言とほぼ同じ意見で、日本経団連としても都道府県に切り分けるのではなく、全国レベルの組織で対応すべきであるということを、提言で触れているわけです。
 雇用保険というのは、労使の保険料によって運営されているわけですが、それを小さなブロックに分けて保険をやるというようなことは、非常に不合理を生むと思っています。
そういう意味では、ハローワークを都道府県のレベルに落としてしまうということについては、反対です。また、ハローワークの縮小も、現在の雇用情勢を鑑みた場合、以前日本はほとんど完全雇用でしたから、そんなにハローワークは大きな機能を背負う必要はなかったかもしれませんが、いまは働き方も大変多様化している中で、このハローワークの果たす役割は従来よりも増しているわけで、そういう意味で縮小ということには問題があるという見解です。

(次のエントリに続く)

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