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2009年4月18日 (土)

いつでもクビ切り社会

416660693x 森戸英幸先生から、『いつでもクビ切り社会-「エイジフリー」の罠』(文春新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.bunshun.co.jp/book_db/6/60/69/9784166606931.shtml

>アメリカ発「年齢差別撤廃(エイジフリー)」の美名の下、雇用の世界では採用時年齢制限禁止とともに、「定年制廃止」が進んでいます。高齢社会により高齢者の発言権が増した結果でもありますが、これにより(1)高齢社員の既得権を温存する一方、若者雇用を阻害するとともに、(2)年齢で解雇できない以上、正社員であっても「能力」という名目でいつでもクビ切りできるようになるのです。年功序列という日本型セイフティーネットまでが失われた社会にどう備えるべきかを論じます。

というわけで、森戸先生がここ数年来取り組んでこられた年齢差別法制に対する、内容的には高い学問的水準を維持しつつ、やや斜に構えた姿勢からの、はじけ飛んだ文体で軽妙につづった、いかにも森戸厩舎の薫り漂う一冊です。

この分野は、私もEU指令の紹介から始まって、日本における高齢者対策の歴史や年齢に基づく労務管理の歴史などをふまえて、いろいろと書いてきた領域でもありますので、大変興味深く読みました。

この分野では、柳澤武さんや櫻庭涼子さんが外国法についてきちんとした研究をしておられるのですが、現実の労働社会における法政策論として議論しようとすると、いろいろと考えるべきことが多く、それらを森戸風に軽妙に料理していく手際はさすがですね。

私自身は、下にあるリンク先の論文に書いているように、森戸先生ほど年齢差別禁止政策に否定的ではありません。年齢に基づく雇用システムを変えようとすると社会システム全体に大きな転換が必要になるという点についてはその通りだと考えていますが、標題になっている解雇規制との関係では、それを「いつでもクビ切り社会」になるというわけではないと考えているからです。この辺は、解雇自由に基づくアメリカの年齢差別禁止をベースに考えるのか、解雇規制が前提のヨーロッパで導入しようとしている年齢差別を参照するのかという違いかもしれません。

(参考)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/nenreisabetu.html法律時報』2007年3月号「年齢差別

http://homepage3.nifty.com/hamachan/yashiroken.html(経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会報告「年齢の壁」)

http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/15/work-s.pdf(上の議事要旨。大変面白いです)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/paradox.html(『時の法令』10月15日号「そのみちのコラム」原稿 「年齢差別のパラドックス」)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/daishou.html(『時の法令』12月15日号「そのみちのコラム」原稿 「「年齢の壁」廃止の代償」)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/chikounennrei.html(『地方公務員月報』2008年3月号「雇用対策法改正と年齢差別禁止」 )

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コメント

吐息の日々~労働日誌~
> 年齢以外のなんらかの理由での解雇を行わざるを得なくなる、年齢以外の理由による以上、それは年齢という点では当然に『いつでもクビ切り』ということになる
http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090615

これが適切な認識かどうかは「解雇」「クビ切り」という言葉の意味の解釈によるのでしょうね。「法的な解雇」という狭い解釈だと間違いだろうし、「雇用の終了」という広い意味なら正しいでしょう。

【注意】上記は「定年退職」を解雇(の一つ)とするような用語法ですね。

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» 【本】いつでもクビ切り社会―定年制万歳!という考え方 [企業法務マンサバイバル]
  もはや企業の人事担当者の中では有名無実化してしまっているのかもしれません。2007年10月の雇用対策法改正による“年齢差別の原則禁止”施策は。 本当に忘れてしまっている方のために補足すると、 「募集・採用時の年齢制限を原則禁止」とし、 「例外的に認められ....... [続きを読む]

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