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2009年4月13日 (月)

地域政策と雇用政策の関連

Index_03 財団法人国土計画協会から発行されている『人と国土21』という雑誌の「時を斬る」というコラムに、「雇用政策の転換」という文章を寄稿しました。

http://www.kok.or.jp/hitokok/backnumber/34_6.htm

中身は、こちらにアップしておきます。4分の3くらいは、これまでの雇用政策の転換とこれからの方向性という一般的なテーマを簡単に述べたもので、

1.自由主義の時代と社会主義の時代

2.近代主義の時代

3.企業主義の時代

4.市場主義の時代

5.市場主義の時代の終焉

6.市場主義の時代の次に来るのは何か?

という感じになっていますが、

http://homepage3.nifty.com/hamachan/hitotokokudo.html

そのあとに、雑誌のメインテーマである地域政策に話題を引っ張っていって、こんなことを書いてみました。いかがお考えでしょうか。

>7 地域政策と雇用政策の関連
 
 最後に本誌『人と国土21』のメインテーマである地域政策と雇用政策の関わりについて触れておこう。
 近代主義の時代は労働力の広域移動政策が中心であった。1959年の炭鉱離職者臨時措置法により、職業安定法の居住地紹介原則の例外として広域職業紹介の規定が設けられたのがはじまりである。1960年の職業安定法改正によりこれが一般化され、労働大臣による広域職業紹介活動命令の規定が設けられた。1966年の雇用対策法では、国の施策として労働者の地域間の移動のために必要な措置が掲げられ、労働力流動化対策が中心に位置づけられた。
 上記炭鉱離職者臨時措置法により炭鉱離職者援護会が設置され、移住資金の支給を行うとともに、再就職のための労働者用宿舎の貸与などの事業を開始した。さらに1961年に雇用促進事業団が設置され、炭鉱離職者に限らず一般の移転就職者への移転資金の支給、移転就職者用宿舎の設置運営などを行うこととされた。これが雇用促進住宅として全国に設置されていくことになるが、まさに広域移動の活発化を前提とした政策であった。
 これに対して、近代主義の時代の末期から政策方向の転換が進んでいった。1971年の農村地域工業導入促進法は、出稼ぎが社会問題化し、農村地域の就業機会確保が課題になる中で、都市の過密解消をも目指して制定されたもので、農村地域に工業を導入して農業従事者を工業に就業させようという政策である。1972年には工業再配置促進法が制定されている。
 人を企業のあるところに動かすよりも企業を人のいるところに動そうという地域政策が明確な形をとったのは、1975年の雇用保険法によって設けられた地域雇用促進給付金である。これは労働大臣が指定する雇用機会不足地域において、製造業等の事業所の新増設を行い、これに伴って労働者を雇い入れた企業に一定額を給付するという仕組みである。人よりも企業を助成の対象にするという点に、企業主義の時代の刻印が浮かび上がっている。1982年にはさらに、市町村等の協力で雇用機会の開発を行う地域雇用開発推進事業が設けられた。これはいってみれば、地方自治体が行う地域開発施策に、雇用機会創出という観点から企業への一定の支援をしていく枠組みといえる。1987年には地域雇用開発等促進法が制定され、こういった政策が法的に確立された。その後、同法は何回か改正が繰り返されたが、人の移動ではなく企業の移動を目指すという政策理念は基本的に変わっていない。
 雇用政策としては1990年代になって広域移動政策に再び舵を切ったという事実は存在しない。しかしながら、この時期に遂行された労働市場規制の緩和政策により、事実上民間主導で労働者の広域移動が再現されるようになってきた。公共職業安定所と雇用促進事業団(後に雇用・能力開発機構)という公的サービスによるのではなく、偽装請負ともいわれる事実上の労働者派遣事業者によって、雇用機会の乏しい北東北や南九州のような地域で募集された労働者たちが、なお人手不足気味の関東や東海地方に移動させられ、請負会社や派遣会社の寮に収容されて、その地域の工場等で就労するという姿が一般化したのである。こうした民間主導の広域移動においては、労働者の待遇が必ずしも良好とはいえない場合が多く、特に近年の市場主義の見直しが進む時代風潮の中で、強い批判を受けるに至っている。
 しかしながら、悪辣な業者を非難することは当然としても、それだけで済むわけではない。社会経済の変化の中で地域政策の主軸が「国土の均衡ある発展」から首都圏一極集中に移行する中で、地域雇用政策が広域移動を無視し続けたことのツケがそういう形で現れてきたともいいうるのである。今日派遣切りされて路頭に迷っている労働者たちを急遽廃止予定だった雇用促進住宅に収容するという施策が講じられているが、地域政策と雇用政策の関わりをどう考え、どういう方向に進めていくべきなのか、改めて真剣に検討される必要があろう。

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