農業は底ぢからを発揮するか?
昨日の経済財政諮問会議では、前回の人「財」力、コンテンツに続いて、農業と観光が底力発揮として議題に上がっています。
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2009/0310/agenda.html
正直、アニメとかゲームとかのコンテンツ話はスルーするしかありませんが(笑)、農業は連合や日本経団連の提言でも大きく取り上げられており、世間的にも介護育児等と並んで雇用吸収の期待できる労働集約的産業という期待を一身に集め始めているようなので、全然わかっていない素人談義であるということを始めに明確にお断りした上で(つまり、私は農業については一知半解を通り越して無知蒙昧ですよ、ということです。知ったかぶりはいたしません)、ちょっと考えてみたいと思います。
というのは、日本経団連の提言についてのエントリーに、「地方に住む人」さんからこういうコメントがついたからです。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-8ece.html#comment-55258933
>農業の現実をわかっていないと思います。
新規就農は並大抵の大変さではありません。
耕作放棄地というのは経済的に成り立たなくなって放棄地になっているわけです。面積が狭い。利水問題。農地の集約の問題、いくつも問題が重なって放棄しているわけです。特に中山間地の放棄がひどいわけです。
いい農地は手に入りずらい。まとまった面積を買うにはそれなりのお金が必要。まして機械代が高い。
正直、新規就農には最低数千万いると思うのですがそうしないとまともな農業ができないと思います。
戦後の集団開拓を思い起こさせます。
これはその通りだと思うのですね。工場で働いていた人であれ、オフィスワークしていた人であれ、「新規就農」が簡単にできるはずはない。ただ、それは、日本の農業がもっぱら農家という個人経営の形態でのみ行われてきたためで、つまり自営業者たる「農家」になろうとしてもそんな簡単ではないという話なのではないでしょうか。
いい農地を手に入れるとか、機械代を払うとか、つまり自営業者としてのイニシアルコストであって、農業労働者として労務を提供する「就農」であれば、そんなに難しいわけではないでしょう。
ただ、そうすると問題は農業分野に雇用労働力を活用する企業経営を導入するのかという農政上の大問題が出てきて、むしろそっちの方が大論争になるのではないかな、という感じで書いたのですが。
この点について、2月3日に提出された有識者議員のペーパーで、
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2009/0310/item9.pdf
>(1) 「農業経営体(農場、農園)」の支援の総合化
農業が産業として持続し、成長していくためには、政策も、これまでの「農家」対策ではなく、「農業経営体(農場、農園)」が伸びていけるような環境をつくることが必要。「農業経営体」とは、規模の大小ではなく、農地、労働力、資本(農業金融)、技術(農業技術、経営技術)、ノウハウ(販売ネットワーク、マーケティング)等の総合力を駆使し、自らの経営感覚と創意工夫をもって、高い付加価値、収益力のある農業経営を行おうとする主体である。こうした「農業経営体」が力を発揮できる環境を整備する政策を実行すべき。
このため、例えば、以下の取組が必要である。
• 農業経営に関する施策の体系化
現行の各種施策は農業経営体の創意工夫や自由な経営展開と両立し、促進するものとなっているか。こうした観点からすべての施策を抜本的に見直し、体系化すべき。
• 法人化の推進
農家の法人化は、事業リスクを家計から遮断することを可能とする点で、農業経営上メリットがある。経営の意欲と能力のある農家の法人化と企業の参入により、消費者ニーズを踏まえた農産物を低コストかつ安定的に供給できる体制にすべき。特に、米作など土地利用型農業については、これにより大規模化を推進すべき。
というような記述がされていることと、実は話はつながっているのだと思うのです。家族経営の農家を前提にしては農業への雇用吸収なんてできるはずがないから、逆にこの雇用危機の中で農業分野に大量の労働力を吸収できるようにするために、大規模化、法人化を進めて、彼らを雇用できる農業経営体を形成していくのだというイメージではないのでしょうか。
だから、「これは農水省というより、農協や農業関係議員の皆様がどういう対応をされるのか、興味深いところ」なんだと思うのですが。
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狭小ながら農地がある身としては、「農業は大変やでー」といいたい(笑)
農家(農業)の法人化にあたっては、当該法人に如何に公益性のワクを嵌められるかがポイントのような気がします。
投稿: NSR初心者 | 2009年3月11日 (水) 21時58分