第1回 有期労働契約研究会
去る2月23日に開かれた有期労働契約研究会の第1回目の会合の資料がアップされています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/s0223-12.html
まずこれは何が目的の研究会かというと、
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0223-12a.pdf
>本研究会においては、次に掲げる事項を中心として調査・研究を行う。
・有期契約労働者の就業の実態
・有期契約労働者に関する今後の施策の方向性
労働契約法の時に積み残しになった形の有期契約に関する議論をやるわけです。どういう方々が検討するのかというと、
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0223-12b.pdf
阿部正浩獨協大学経済学部教授
あべまさひろ
荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授
あらきたかし
奥田香子京都府立大学公共政策学部准教授
おくだかおこ
鎌田耕一東洋大学法学部教授
かまたこういち
佐藤厚法政大学キャリアデザイン学部教授
さとうあつし
橋本陽子学習院大学法学部教授
はしもとようこ
藤村博之法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授
ふじむらひろゆき
山川隆一慶應義塾大学大学院法務研究科教授
労働法学系5人、労働経済・経営系3人というバランスになっています。いうまでもなく、いずれもこの分野の立派な研究者です。年齢的には中堅クラスですね。
具体的な論点として示されているのは、
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0223-12o.pdf
1 有期労働契約に係る施策の在り方
(1) 契約期間(上限制限)
(2) 有期労働契約の範囲、職種ごとの期間制限
(3) 契約締結時の労働条件等の明示
(4) 通常の労働者との処遇の均衡等
(5) 契約の更新、雇い止め
(6) その他有期契約労働者の待遇の改善対策
2 その他
必要に応じ、適宜論点を追加
となっていますが、大きく分ければ雇い止め関係と処遇関係の二つでしょう。
スケジュールとしては、
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0223-12n.pdf
>平成22年夏頃目処
・報告書取りまとめ
ということですので、だいたい1年強ほどかけて議論するということのようです。
興味深いのは、実態調査に関する案の中で、有期契約労働者の類型分けをしているところです。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0223-12p.pdf
>事業所における呼称により分類することとした場合、多様な労働者が同じ就業形態中に混在することとなり、実態の把握が困難となるため、就業形態ごとに定義を与え、それに基づき労働者を分類することが適当ではないか。
ということで、
Aタイプ: 正社員と職務の内容が異なる者(その内容が正社員に比べ高度な者)
Bタイプ: 正社員と職務の内容が異なる者(その内容が正社員に比べ高度とはいえないが専門的な者)
Cタイプ: 正社員と職務の内容が異なる者(その内容が正社員に比べ軽易な者)
Dタイプ: 正社員と職務の内容が同様である者(その内容が専門的な者)
Eタイプ: 正社員と職務の内容が同様である者(その内容が非専門的な者)
という5つのタイプに分けています。
このわけ方がいいのかどうかも議論の対象でしょうが。
やや情緒的なマスコミ報道主導で急激に盛り上がって急速に醒めていった派遣の議論とは違い、この有期契約の問題は労働市場のあり方を根本から議論するものですから、じっくりと丁寧な議論をしていただきたいと思います。
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