リストラされた100人貧困の証言
>雇い止め、内定取り消し、正社員の大量整理…待ち受ける衣食住の危機、貧困ビジネスの魔手。大不況の最底辺でどんな悲劇が起きているのか?突き落とされた人々、100人の生の声。
殺伐とした雰囲気が漂ってくる一冊です。リストラの実態は山のように書かれているわけですが、本書が面白いのはそれによって歪められる生活の臭いが漂ってくる記述です。派遣の寮にいたため布団も何もなく、県営住宅には入れたけれども畳の上に段ボールを敷き、雨合羽を着込んで何とか眠った、屋根のついたホームレスみたいなもんだ・・・とか。寮を追い出されて雇用促進住宅に入ったが、家財道具は粗大ゴミを拾おうと考えていたら、当てが外れて、何もない部屋であるだけの服を着込んで畳の上で寝た・・・とか。
解雇通告書を妻に見せたら、ビリビリに破り投げ捨てられ、面接で落とされて帰って妻を殴り、離婚された・・・というのも悲哀を感じさせます
最後の方になると労働問題を超えてブラックな世界に限りなく近づいていきます。このあたり、どうやって取材したんだろうという感じですが、ワーキングプアを詐欺の名義人として使うとか、盗品売買のために古物商免許を取得させるとか、部屋で大麻を育てる仕事とか、障害者を斡旋してその手数料を稼ぐとか、果ては臓器のドナーにしてしまうとか・・・すさまじい。
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» 現代社会の大きな落とし穴:リストラされた100人貧困の証言 [本読みの記録]
リストラされた100人貧困の証言 (宝島社新書)作者: 門倉 貴史出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2009/03/09メディア: 新書 現代社会では大きな落とし穴が2つある。 一つは、新卒で(まともな)就職ができないこと、もう一つは、年金支給年齢まで時間をたっぷり残してリストラされてしまうことだ。 こうした風潮が正しいとは思わないが、現状では回復不能に近い大きなダメージを負ってしまうのだ。 本書は、そうした一つの落とし穴、リストラにあった人の証言集である。 ... [続きを読む]
更新分読みました。
『リストラされた100人貧困の証言』面白そうですね。
特にブラックな部分が「読みたい」という気持ちをそそられました。
不可思議なことですが、こういう本を手に取るのも
読んで感情移入するのも、管理人さんみたいな人「だけ」なのですよね。
一番こういう本を読んで回心しなければならないネオリベの連中は
この手の本は見向きもしないという傾向があって
「他人よりも優秀な自分」を確認する作業に追われているようです。
投稿: rdfgy | 2009年3月12日 (木) 10時16分