キリスト教民主主義と日本型システム
タイミングを合わせたわけではないのですが、平家さんのエントリに反応したとたんに、関連する記事を見つけました。
本日送られてきた『生活経済政策』3月号に、篠原一先生の「小さなユートピアを」の最終回「3つの政治潮流とその行方」が載っています。その中で、
>さて、20世、特にヨーロッパの政治には大きくいって3つの流れがあった。第一に自由主義、第二に社会民主主義、第三がキリスト教民主主義である。・・・この3つの流れの中でキリスト教民主主義は現実の力としては大きかったが、理論的には十分明らかにされてこなかった。これは近代の歴史をあまりにも近代化の直線的展開という一点から見過ぎたためであろう。この流れは、ヨーロッパの伝統社会が民主化する過程で、伝統との厳しい闘いの中から生まれた、いわば土着型のものであり、特に第二次世界大戦後、つまり20世紀の後半になって初めて民主主義にコミットするようになった。キリスト教民主主義は古くて新しい現象である。・・・
>例えば、朝日・東大共同調査では、日本の戦後政治を分析する枠組みとして、終身雇用や財政出動などを好む日本型システムが「構造改革」との対比で論ぜられているが、この日本型システムなるものの世界史的位置づけがはっきりしない。しかし日本型をキリスト教と置き換えてみると、比較的わかりやすい。戦後日本の民主主義は日本の伝統社会を民主化する過程で、その融合として生まれた土着型のものであり、その意味で独自性を持っている。これを日本的社会民主主義などということは妥当ではないだろう。このように日本にも伝統社会に基づいた民主主義と弱小な社会民主主義があり、それらが新自由主義をバネとする自由主義に攻撃されたのである。なお、アメリカには伝統社会もなく、社会民主主義の経験もないので、新自由主義とグローバリズムという新型ヴィールスの強烈な自由主義が成長し、挫折した。・・・
と、ほとんど昨日のエントリの趣旨そのままのことを書かれています。
これは別に偶然ではなく、篠原先生の文章でも紹介されているように、最近、田口・土倉編『キリスト教民主主義と西ヨーロッパ政治』(木鐸社)という好著が出されたからなんですね。
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