フォト
2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 楠正憲氏の「派遣切り・ロスジェネを見捨てるツケ」 | トップページ | 労働政策審議会意見「地方分権改革に関する意見」 »

2009年2月10日 (火)

日本経団連の意見書「日本版ニューディールの推進を求める」

昨日付で、日本経団連が標記の意見書を公表しています。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/009.html

内容的には、後半の「国家的プロジェクトの推進」が中心なんでしょうが、

>新しい雇用の創出と中長期的な成長力の強化に向けて、(1)産業競争力の強化、(2)国民生活の向上、(3)地域の活性化、(4)低炭素・循環型社会の実現を重点分野として、省庁横断的に取り組むとともに、官民の有する人材、資源、資金等を集中的に投入し、早期に国家プロジェクトを実施すべきである

本ブログ的にはその前の「雇用の維持・安定の取組みとセーフティネットの拡充」が興味深いところです。

>過去に類を見ないほどの厳しい経営環境の中、企業は雇用の維持に向け、最大限の努力をしなければならない。すでに個別企業においては、労使の話し合いを踏まえた配置転換、休業、時間外労働の削減や時短、さらには副業の容認など、ワークシェアリングをはじめさまざまな形により雇用の維持・確保の取組みが進みつつある。雇用の安定は企業の社会的責任であることを十分認識し、今後も、企業はこうした取組みを継続的かつ積極的に推し進めることを通じて、社会の不安を払しょくしていかなければならない。

緊急避難的には、企業としても離職者等に対する住居提供などの生活支援に最大限の努力をしていく必要もある。

まずは企業の責任を述べた上で、

>同時に、雇用のセーフティネット強化を官民一体となって実現することが求められる。例えば、「ふるさと雇用再生特別交付金」により各都道府県に基金が創設され、地域ブランド商品の開発など地域の実情や創意工夫に基づき、地域求職者などを雇い入れる事業を支援する施策が展開される予定である。その基金に企業が拠出を行う仕組みを設けるとともに、個々の事業支援に向けてアイデアや人材、施設等を提供していく方策などについても検討していくべきである。

また、政府は、企業の雇用維持努力を補完するべく、雇用保険制度の適用拡大や給付拡充を行う改正法案を国会に提出したほか、雇用調整助成金制度の要件緩和等を進めているが、今後の雇用失業情勢を見極めつつ、雇用調整助成金制度のさらなる拡充などを行うべきである

雇用調整金の具体的な拡充策については、別添資料に詳しく書かれています。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/009shiryo1.pdf

>なお、雇用失業情勢が悪化していることから、セーフティネットからもれる離職者が増加している。そのため、まず、従業員の社会・労働保険の加入などの徹底を図るべきである。また、派遣先のコンプライアンスは当然のこと、派遣元等の取引先にもコンプライアンスの徹底を求めていくことが不可欠である。さらに、職業訓練の受講を条件に、一般財源を活用して生活保障のために暫定的に給付を行う仕組みを速やかに検討すべきである。

中長期的には、雇用の多様化に対応した雇用保険制度の見直しについて議論を行うべきである

前半は派遣元・先のコンプライアンスですが、後半のところがさりげなさげで重大なことを言っています。「職業訓練の受講を条件に、一般財源を活用して生活保障のために暫定的に給付を行う仕組み」って、連合が主張している「就労・生活支援給付」と似た発想に見えます。

連合の主張は、

http://www.jtuc-rengo.or.jp/kurashi/saftynet/page1-3.html

>第2層ネットの「就労・生活支援給付」制度は、EU諸国の若者に対する就労支援や失業給付(社会手当)などを参考に、雇用保険と生活保護制度との中間に位置するものとして、以下のような内容としています。
①対象者は、一定の所得・資産を下回る者(フリーター、日雇い派遣等の不安定雇用者、長期失業者、母子世帯、廃業者等)
②「就労・生活支援給付」は、現金給付と職業・教育訓練、生活支援(現物給付)
③「就労・生活支援給付」を受給するためには、各人の年齢、能力、経験、健康状態等に則して適切に策定した「就労・自立支援プログラム」への参加を要件とする
④現金給付の水準は、雇用保険の失業給付と生活保護基準(生活扶助)を勘案して定め、賃金等の収入に伴う穏やかな給付減額を行う(就労インセンティブ措置)
⑤給付期間は、最長5年とし、1年ごとに申請する

というものですが、労使双方がこういう中間的セーフティネットを主張してくると、実現の可能性が高まってくるかもしれません。

« 楠正憲氏の「派遣切り・ロスジェネを見捨てるツケ」 | トップページ | 労働政策審議会意見「地方分権改革に関する意見」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本経団連の意見書「日本版ニューディールの推進を求める」:

« 楠正憲氏の「派遣切り・ロスジェネを見捨てるツケ」 | トップページ | 労働政策審議会意見「地方分権改革に関する意見」 »