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2009年2月10日 (火)

楠正憲氏の「派遣切り・ロスジェネを見捨てるツケ」

gooニュース×Voice連携企画 話題のテーマに賛否両論!という企画で、「雑種路線で行こう」で有名な楠正憲氏(国際大学GLOCOM客員研究員)が標題のような文章を書かれています。

http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/life/gooeditor-20090206-01.html

内容は、楠氏が今まで何回も書かれてきたことの総まとめみたいなものですが、特に最後のこのあたりは迫力があります。

>これまで日本は福祉や職業教育を家庭や会社に依存して、先進諸国と比べて低い行政コストを維持してきた。しかし高度成長で核家族化が進み、若者から故郷は 失われた。非正規雇用の拡大で、会社を中心とした社会保障の枠組みから滑り落ちる層が生じるなか、行政はセーフティネットの綻びと格差の固定化から目を背 け、社会保障費の伸びを抑えることに躍起となっている。

このツケは、出生率低下を通じた高齢化の加速や生活保護世帯の増加、治安悪化への行政コストの増大による国民負担率の増加を通じて、若年層や子孫が支払う ことになる。セーフティネット再構築で重要な論点は、同時代の所得再配分ではなく、世代間再生産のためにどう投資するかだ。

雇用の流動化を通じて企業に対して従業員の雇用を守る義務、職業訓練の義務、社会福祉を提供する義務を緩和するのであれば、代わりに誰かが国民の雇用を守 り、職業訓練を施し、社会福祉を提供しなければならない。誰もが安心して結婚し、家庭をもち、子育てできる環境を用意しなければならない。これらは大きな 財政支出を伴うが、自己責任をスローガンに現実を直視せず、足元の人材を見捨てつづけるならば、そのツケはかえって高くつくだろう。

国情を無視して米国の制度をつまみ食いし、未来への投資を怠って先食いした利益を、規制緩和の配当と勘違いしてこなかっただろうか。誰もが希望をもって学 び、働けるよう、まずはフェアな雇用慣行の確立や、福祉の充実に対する財政支出の拡大を通じて、世代間で改革の痛みを分け合うべきではないか。

このあとに読み進んでギャイーーーン。なんと、

>楠氏への対論、人材派遣会社ザ・アール社長の奥谷禮子氏の『「社会が悪い」は本末転倒』は、明日(10日)発売の「Voice」3月号に掲載されています。「格差論は甘え」などの発言で注目を集める奥谷氏が、「ロスジェネとは単なる言葉遊びでしかない」「今回のような危機が発生したとき、派遣社員の調整によって人件費を削減しようとするのは当然」など、雇用を取り巻く企業の本音を語っています。

だそうであります。本日発売だそうです。これは読まねば。

奥谷禮子氏に関しては、本ブログでも(池田信夫氏と並んで)未だに読者の絶えない有名エントリの主でありますが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_bcac.html(奥谷禮子氏の愉快な発言)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_1a6b.html(奥谷禮子氏の愉快な発言実録版)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_e152.html(雇用融解または奥谷禮子氏インタビュー完全再現版)

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