『世界』3月号
明日発売の雑誌『世界』3月号の案内が岩波書店のHPにアップされているので紹介しておきます。
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2009/03/directory.html
特集は「雇用の底が抜ける――〈派遣切り〉と〈政治の貧困〉」ということで、こういう中身になっています。
【インタビュー】
派遣村は何を問いかけているのか
湯浅 誠 (NPO法人 自立生活サポートセンターもやい)
【貧困の克服】
反貧困運動の前進――これからの課題は何か
宇都宮健児 (弁護士)【執筆者からのメッセージ】
【労働法政策】
派遣法をどう改正すべきか――本丸は均等待遇
濱口桂一郎 (労働政策研究・研修機構)
【「派遣切り」から見えたもの】
なぜ派遣労働者は「寮」にいるのか――雇用に縛られる日本の「住」
岩田正美 (日本女子大学)
【政治への問い】
麻生首相に貧困は見えるか――「平等社会日本」の崩壊という政治課題
柿﨑明二 (共同通信)
【政治の役割】
<政治の時代>における<政治の貧困>
宇野重規 (東京大学)
【政治の論じ方】
道徳的非難の政治を超えて――「ネオリベ」排除は自明か?
杉田 敦 (法政大学)
【ルポルタージュ】
危機の中の在日ブラジル人コミュニティ
西中誠一郎 (フリージャーナリスト)
私の文章の説明は:
>派遣労働をめぐって、現在、製造業の派遣を禁止すべきだとの議論が高まっている。しかし、それでは非製造業の派遣労働者の労働条件は改善されないことになるし、問題の本質的解決をもたらすものとは言いがたい。EUでは昨年11月に派遣労働者と派遣先労働者との均等待遇を保障する労働者派遣指令が制定された。この指令の内容を紹介しつつ、日本における派遣労働規制はどうあるべきかについて考察する。
ということですが、後半はセーフティネットの問題を取り上げており、とりわけNHKの「視点・論点」でも強調した非正規労働者の住宅問題について、公的な住宅手当制度という方向を提起しています。
と思ったら、なんと同じ号で岩田正美先生が
>昨年末の「派遣切り」やその受け皿となった「年越し派遣村」で明らかとなったのは、非正規労働者が解雇されるとすぐ住居を失うという構図だった。企業が福利厚生として労働者に住宅を供給する仕組みは、労働者側にもメリットはあるものの、「住」が雇用に縛られてしまうというリスクを伴う。それは特に派遣労働者など非正規労働者において顕著だ。これらの構造的問題を、データで分析し、そして問題解決への提言を行う。
と、やはり住宅問題を取り上げておられたんですね。岩田先生がこの問題をどういう風に書かれているのか興味があります。まあ、最近ワーキングプアとともにハウジングプア問題が提起されてきているので、不思議ではありませんが。
その他私もまだ読んでいないのですが、杉田敦氏の論文は面白そうですね。
>世界的な経済危機が強まる中、この10年以上にわたって、言論の世界を支配してきた市場主義的な言説が影をひそめ、社会的な連帯について盛んに語られるようになってきている。つい最近まで市場主義の旗をふっていた論客が懺悔してみせるなか、いまや「ネオリベ」という言葉はすっかり悪の代名詞となった感すらある。しかし、善悪対立の単純な図式で政治が語ることが繰り返されることには別の落とし穴が潜んでいないか。現在、自明とされているかに見える議論の前提を問い直しながら、政治の領分で追求されるべき問題は何かについて考える。
中谷巌氏がどうとかこうとかいう話ばっかりやってるとまずいんでしょうなあ。
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