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2009年1月18日 (日)

雇用保険の加入対象拡大、野党が法改正案を提出へ

日経によると、

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090118AT3S1700U17012009.html

>民主党は3月末までに社民、国民新両党と共同で雇用保険法改正案を国会に提出する。1年以上の雇用見込みと定めている加入条件を「31日以上」に緩和し、雇用保険の給付対象を拡大する。与党は「6カ月以上」とする改正案の年度内成立を目指すが、修正協議に柔軟な姿勢も示している。一方、民主党が検討している、製造業の派遣労働を禁止する労働者派遣法改正案には党内になお慎重論が残る。

 民主、社民、国民新の野党3党は、週明けから政策担当者が本格調整を始める。深刻さを増す雇用情勢を踏まえ、政府・与党より一歩踏み込んだ内容にして、次期衆院選に向けたアピール材料としたい考えだ。

これは、製造業派遣禁止とか何とかに比べると、ずっと筋のいい話だと思います。

雇用保険の安易な拡大はモラルハザードにつながるという人もいますが、そうではありません。これは「加入条件」の拡大で、「給付条件」の拡大ではないからです。

雇用見込み1ヶ月以上で加入しても、加入期間6ヶ月未満で辞めれば、保険料を払っただけで給付は受けられないのですから、モラルハザードにはなりません。

むしろ、反対論は保険料の半分を払わなければならない使用者側からくるでしょうが、こういう人々を加入させていなかったために、結果として6ヶ月以上勤続していたのに、雇用保険を受けられない人々が出てきているという今の状況を考えれば、加入条件は漏れがないようにするべきでしょう。

本ブログでも何回か書いたように、そもそも失業保険法では日雇い(1ヶ月以下)は日雇い失業保険、それ以上は一般の失業保険で漏れはなかったのです。臨時工や期間工も失業保険の対象でした。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-ff05.html(派遣労働者への雇用保険の適用について)

ところが、「家庭の婦女子や学生アルバイト」は失業の恐れがないからと対象から外され、それが巡りめぐって、今のパートや派遣の扱いにつながってきているのですから、現に失業の恐れがある人々になっているいる以上、臨時工や期間工の扱いに一致させるのは自然だと思います。

ちなみに、給付条件は安易に拡大すべきではありませんが、短期勤務で受給できない人が出てくる以上、そちらに対しては昨年末の緊急対策で打ち出された「転換社債みたいな失業扶助」で対応することになるでしょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-4f99.html(転換社債みたいな失業扶助?)

ちなみに、読売では、

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090114-OYT1T01054.htm(雇用保険に加入させぬ派遣業者、許可取り消しも…与党検討)

>与党の「新雇用対策プロジェクトチーム(PT)」(座長=川崎二郎・元厚生労働相)は14日、派遣労働者の保護を強化するため、派遣会社が雇用保険など社会保険に加入せずに雇用した場合、派遣事業の許可取り消しを含めた処分ができるよう労働者派遣法を見直す方向で検討に入った。

と報じていますが、(改正案でも)制度上半年以上の雇用見込みがなければ加入させないのであれば、「いや半年以上の雇用見込みがないんです」といえば許可の取り消しはできないことになり、余り実効性がないでしょう。

製造派遣禁止の話と違い、こちらは与野党の動きはうまく補完的になっているので、組み合わせると望ましい方向に行くように思われます。

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