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2009年1月23日 (金)

労働者を気分次第で簡単に解雇するような経営者はいる

下のWEDGE大竹論文の問題点とまったく同じ視点から、小倉秀夫弁護士が標題のようなエントリを書かれています。

http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2009/01/post-ba7f.html

>このあたりが,解雇規制撤廃派の浮世離れぶりを示しているように思われます。現実には,法的に解雇が制限されている現在ですら,不当な理由で労働者を解雇した例が溢れており,法律実務家等が介入しているというのが実情です。

 とりあえず,池田先生やbobbyさん,木村剛さんが推奨するような「解雇規制のない社会」が実現した暁には,女子労働者については,①容姿が衰えたから解雇,②経営者(の子息)の求愛を拒んだから解雇,③結婚したから解雇,④出産したから解雇,という事例が頻発し,労働者が泣きを見ることになりそうな気がします。また,男性労働者を含めても,①平日に病欠をとったから解雇,②有給休暇を消費したから解雇,③残業代を請求したから解雇,④経営者の私用を無償で手伝わなかったから解雇,⑤給料の引き下げに不満を漏らしたから解雇,⑥特定の政党,政治家,宗教団体の集会に参加しなかったから解雇という例は頻発しそうです。

まさに、なぜこの世の中に解雇規制などというものが必要なのか、現実から思考を出発させない方々には見えるはずのものが見えないといういい例でしょう。

日本における興味深い事例としては、本ブログで紹介した

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_586b.html(ベンチャー社長セクハラ事件)

「君はセックス要員で雇った。社長とセックスするのが君の仕事だ」

「それならハローワークの条件に書いておいてください」

「そんなこと書いたら誰もきいひんやろ」

「君はセックス要員で雇った」「社長のスケジュール管理とセックス管理をするのが秘書の役目だ」

「明日は同じホテルに泊まるんやで。分かっているな」

「セックスできないなら,最初から君を雇わない」「何でセックスできないのに俺に同行してグリーンに乗るんや。経費かかるわ」「セックスしないなら社長室を退け。お前は降りろ。うちの会社と関係ない」「セックスできないなら用はない」「君は社長秘書をはずす。一切降りろ」

「なんで(社長室にいる)他の二人(の女性職員)はセックスしなくていいのに,私だけセックスしないといけないのですか」

「そのために君を選んだからや」「90%仕事で頑張っていると認めても,あと10パーセント肉体関係がないと君は要らない」「セックスが雇用の条件。それを了解してもらわないといけない。セックスできなければ終わり。」

「家内とはずっとセックスをしてきた。しかし彼女はもうできない。淋しいから君に求めたという事はわかるでしょう。でも,できないと言うなら君はもういいわ「家内の代わりをするだけだから,これは不倫ではない」「君はセックス担当。秘書はセックスパートナーだ。A(得意先会社の社長の名前)とB(同社の秘書)との関係もそうだ」「C(社長室の女性職員の名前,Xが競え。俺の寵愛を受けてセックスした方が役員。給料も上げる「仕事を ちゃんとしていると言ってもそれは俺が判断することでポイントは俺とのセックスだね。君が出来ないと言ったらそれでいい。できないのだったら,じゃあ,もう辞めろ。ありがとう」

「Xを好きになってるんやけど,これ(男性性器)大変なことになってるで。手で出してくれ」

「君は社長室の主任次は課長役員やぞただしセックスが条件だ」

「もう会社に来るな。俺の寵愛を断ったら,君はもう終わりだ。辞めろ」「俺が君を雇ったのは君を抱きたかったからだ。それを断ったら君はもう仕事ないで」「仕事は俺とセックスするのが条件だ。しなかったら,もう良い」

「君は私の寵愛を拒んだから,もう用はない。一身上の都合で辞表を出しなさい「明日はもう来なくていい。ただ,考え直すなら話を聞く」

「お前何しにきたんや。ここではもう仕事はない。他の会社に行け。雇ってくれるかどうかは別やけど」「君を愛した。寵愛をした。でも君断ったやろ。だから終わりや。君もう社長室はだめや」「寵愛って知ってるか。社長に抱かれてセックスするのが,まずお前の責任。イヤやったらそれでいい。君に はもう辞めてもらう君はもう仕事ないでどうすんのえ全部D(社長室の女性職員の名前)に移転する。仕事ないんやもん,どうすんの」

「なんでDさんなら良くて,私ではダメなんですか」

「俺が君を雇ったのは君を抱きたかったからやそれだけそれを君が嫌やったらもう辞めろもう辞めなさい君,いてくれたら困る」

「仕事が出来たらいいじゃないですか」

「いや,君は仕事できない。君は頭がアホや。どっか行き「それは俺とのセックスの問題だけ。セックスしないと俺はもう厳しいからね」

「君を一番にしてやりたかったけど無理やと思う。辞めるか。しかし君はどこでも通用しない。君,辞めるか。君の学歴からしても社長室の主任は出来ない「君は終わり。俺が終わったら終わり。俺が切ったら君は必ず終わるよ。辞表持ってこい。辞めた方がいいよ,君は」

「解雇ですか」

「解雇というとおかしくなるから」

「社長はいつもセックスが出来なければ解雇,クビと言っていましたね」

「そうやね」「俺には支える人間がいるの。女がいるの「君は何をする。もう用がなくなってしまった「君は社長室の能力がない」「お前は一番になろうと思った。大変なことやけどそんなんもん出来ない,お前は。はっきり言うたるわ。お前には出来ない。お前,学歴考え
ろ」

「セックスできなかったら手で出せ」

「じゃあ辞めろ。そういう人を雇う」

・・・・・・・・・

よのなかにはこの手の話はごろごろ転がっています。

ちなみに、世界で唯一、一般原則として解雇自由であるアメリカではどういう風になるかというと、これは中窪裕也先生が中嶋還暦記念論集に書かれた「解雇の自由雑感」の例ですが、

>カレンは・・・D社のスーパーマーケットに勤務する、勤続26年のアシスタントマネジャーである。彼女の夫は地元の警察の巡査部長であるが、1997年の6月上旬、飲酒運転の取り締まりの際に、ある女性ドライバーの呼気検査を行った。検査の結果、基準を超えるアルコールが検出され、女性は逮捕された。その女性は、D社のオーナーの妻であった。8月末、カレンは解雇された。

もちろん、この解雇は正当です。正当な理由があろうがなかろうが、道徳的に間違った理由であっても、解雇は正当です。解雇自由とはそういうことです。アメリカ並みになるというのは、そういうのを当然のこととして受け入れるということです。もちろん。

なお、この小倉弁護士のエントリのリンク先には、真偽不明の「俺は不当解雇されかけた!」という誰ぞやのエントリがありますが、切込隊長ブログにおける会津泉氏によると「事実無根で悪意に満ちた誹謗と中傷ばかり」だそうで、その後なんの音沙汰もないことから判断すると、おそらくそうなのであろうと想像されますが、それにしても、当該人物が解雇自由を唱えるというのは精神病理学上興味深い症例であるように思われます。

ちなみに、労働相談においては、労働者の言い分ばかり聞くのではなく、ちゃんと会社側の言い分も聞いた上で判断しなければならないのはいうまでもありません。世の中には事実無根のでっち上げで会社と喧嘩しては辞め、また次の会社で同じことをやらかし・・・という札付きの労働者もいないわけではないのです。このあたりは、現場の労働相談員の方々が一番よく理解しておられるところでしょう。

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